【映画】期待を裏切る映画『マッドマックス:フュリオサ』批判的感想

二郎食えると聞いてきたのに、フルコースフレンチだった!

これが感想です。

(僕はマッドマックスシリーズについては、『怒りのデスロード』と『フュリオサ』しか見ていないので、その程度のやつと思ってください)


『マッドマックス:フュリオサ』観たぞ!


あの傑作『マッドマックス 怒りのデスロード』の前日譚ということで期待値上がりまくりの鼻息荒々しく見てきたのですが、

「思ってたのと違う!」と思いました!

冷静に見ると悪くないというか、すごく出来のいい映画ではあるんですが、
でも!!!!俺が求めてたのはそうじゃないんだよ!!!!!


『マッドマックス 怒りのデスロード』とは何であったのか

あのマキシマムザ亮君も興奮して、嫁に見に行かせたことが(僕の中で)話題になった映画『マッドマックス 怒りのデスロード』


荒廃した世界!やばめなキャラデザ!火薬どっかーん!唸るV8のエンジン!ギターぎゅいんぎゅいん!

熱量の高さが半端ない上に、ダレるところが一切なくて、全てが最高潮。


なるべく簡潔に何がすごいのかを説明すると
・説明しない潔さによる展開の速さ
・すべてのシーンが、音で、映像で、アクションで見せてくる
・マッドな世界をぎりぎりエンタメにとどめるバランス
・思いの強さを言葉ではなく行動で伝える人物たち
・ギター男が受け入れられるくらいのすさまじい外連味

などなど。。

キャラクターについても
マックス(トム・ハーディ)
フュリオサ(シャーリーズ・セロン)
ニュークス(ニコラス・ホルト)
この主要キャラ3人は映画中で特別説明もされない、セリフも少ない、しかも現実離れしている世界なので、感情移入できない要素が多すぎる。
なのに行動理念が分かって展開を受け入れてしまう。
そんなことある?って感じだけどそれは彼らの熱量が伝わってくるからだと思う。
(ていうか全体的に説明せずに雰囲気で分からせる力が半端ない)

キーワードは「熱量」
丁寧で荘厳な物語とは正反対の、熱量ごり押し!
画面から、車から、人物から、ギターから(!)あらゆるところから熱を発しているのがこの映画で、
その熱量に充てられたがゆえに、次もその熱量を求めてしまうのだ。

熱量とはカロリーだ。
例えるならラーメン二郎!
化調と油で脳を揺さぶる究極のジャンク飯こそが『怒りのデスロード』なのだ。


『マッドマックス:フュリオサ』とは何であったのか

ここからが『フュリオサ』の感想。
批判的な感想になる。

・シンプルに展開が遅い

わくわくどきどきで映画館のシートについて
観始めて多分15分くらいから
「あれ?展開遅くない?全然大人にならんやん」と思って
だんだんと気持ちが焦ってヒートアップしてきて
「バトルとかカーチェイスとかもっとやれよ!」
「こっちはマッドマックス見に来てんだ!!」

と思ってしまった。

ニンニクヤサイマシマシアブラカラメを注文したはずが
ちっちゃい前菜だけ出されて30分待たされてる気分だった。

『怒りのデスロード』ではありえない展開の遅さ。
フュリオサの半生を丁寧に描いたという言い方もあるが、
正直復讐心を燃やしていく過程もそこまで良くなかったと思う。


・ディメンタスどう見ていいかわからない問題

フュリオサがディメンタスに復讐する物語なのに、
ディメンタスに全然ヘイトがたまらない問題について。

最初登場したときは、ならず者をまとめる賢明なリーダーのような振る舞いだったのに
それ以降は考えの足りないバカなキャラとして動かされるディメンタス。
くまのぬいぐるみをいつも持ち歩く愛されキャラだったりもするし
かわいそうエピソードもちょろっと足されたり。
最後も情けない姿をさらしてしまうこの男は何がしたかったのか?

ちょっと腕っぷしが強いだけで、近所の悪ガキの大将やってるくらいの器。中学上がったくらいで怖めの先輩にビビって大人しくなるくらいの器。
周りの仲間も妙にコミカルなので総じて小物感が出ている。
なんかいらんキャラ多かったし。

前作イモータンジョーが宗教的権威を纏いつつ、強烈な独裁国家を築いているというラスボス然としたラスボスなのに対してこれはいかがなものか。

幼いフュリオサとディメンタスが割と長い期間ともに過ごしていたところも、ヘイトを貯める演出として機能してなかったと思う。
幼年期のストーリーはもうちょっと端折って、憎しみに必死で耐えるフュリオサの絵をいくつか見せておけばよかったんじゃない?

とにかくディメンタスのキャラがモブっぽすぎて
復讐のカタルシスがなくてしりすぼみに終わってしまった印象。


・ウォーボーイズどうした?

『怒りのデスロード』で世界観をつくる上でかなりの部分を担っていたウォーボーイズの存在。
ニュークスやギター二キもちろん、それ以外のモブキャラも個性があって、それぞれが不気味な存在感があった。
そいつらが特攻も恐れず向かってくるのが怖かったし、狂信的であるが故の統率のなさ、計画のなさがよかった。

今作は、なんかみんなモブキャラって感じで、怖くも不気味でもない。
なんでかわからんけど
身体的特徴がなくて没個性になっていたとか?
捨て身な感じも薄くて、スプレーシュー「俺を見ろ!」の決めフレーズも決め切れてなかった。


・綺麗すぎるきがする、日常の延長線にあってしまう

ウォーボーイズの件にもかかるかもしれないが
今作の登場人物みんな小綺麗じゃない?
これはあまり確信を持った感想ではないけど、水も物資も少ない世界であんなにきれいな顔で綺麗な髪でいれるのか。
アニャ・テイラー=ジョイの綺麗さが裏目に出ていたと思う。

『怒りのデスロード』はもっとやばい世界だってわかるキャラデザが主要人物もモブキャラでも徹底されていたように思う。

序盤に、ディメンタス率いるバイカー集団がいる拠点でのシーンがあるが
あれもあまり非日常感がなく、
「中東あたりのならず者ってこんな感じ」の延長線上にある雰囲気なので、
ここはほんとにマッドマックスの世界なのか?という疑問が序盤絶えなかった。
一度「日常感」を感じてしまうと、その後の世界もその地続きなんでしょ?って感じで白けてしまう。

人食い男爵に関しては、キャラデザは前作に忠実であったものの、あれを長く画面上に映すべきじゃなかっただろ!
なんだあのバカみたいな恰好は!乳首をいじるな!


・求めていたもの=熱量が伝わってこない

総じての感想として
『怒りのデスロード』で浴びた熱量が全然ない。足りない。
ほんとに同じ監督の作品か?と思うほど違う作り方をした映画だった。
丁寧に丁寧に作った映画というのはわかったが、違う、そうじゃない。

二郎食うためにお腹すかせてきたのに
フルコースフレンチを食わされてまあ美味かったんだけど。。。。って帰り道にとぼとぼ歩く感じ。


俳優は好きなんだけど裏目っぽい

フュリオサ役のアニャ・テイラー=ジョイは
ネトフリドラマ『クイーンズギャンビット』で初めて見たが、ドラマの面白さもあって一気に魅了されてしまった。

映画界でも破竹の勢いで活躍しており、今一番乗っている女優ではないか。
妖艶で存在感のある雰囲気は他にないのでこれからも活躍していきそうな女優だろう。

ただフュリオサ役は荷が重すぎたというか、配役ミスじゃないかと思う。
大隊長というには綺麗すぎたのか華奢過ぎたのか、
強い女性というのは伝わったが、リーダーを張る感じではなかった。

シャーリーズ・セロンは良かったなあと懐古してもしょうがないけど、なぜあんな雰囲気が出せるのか誰か比較分析してほしい。


ディメンタス役のクリス・ヘムズワースはMCU好きな僕は昔から知ってる俳優。
正直ソーよりもタイラーレイクがハマり役だったと思う。

なんというか本人の希望か、ソー以外にもコミカルな役が多いけど、もっとスマートだったり誇り高い感じのほうがあっていると思う。

ディメンタス役も、イカれてるといえばそうなのかもしれないが、コミカルな言動が多いし、ちょっとそこが向いてない部分として出てしまったかもしれない。
一貫した行動原理がなさそうなので、演じる側としても難しかったのではないか。

(コミカルなのに底なしに怖いヒース・レジャー版ジョーカーの凄さを今感じている)


『フュリオサ』のよかったところ

アクション映画として、アクションはトップレベルだった!
カーチェイスしながらの戦闘!バイクと車のぶつかり合い!大量の火薬炸裂の派手な演出!
このアクションに対する熱量はすごかったので素直に興奮した!

そんだけ!

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