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新スタジアムカンファレンスについて

最初に

 いわきFCは25日、いわきPITで「新スタジアム検討の進捗状況に関するカンファレンス」を実施しました。カンファレンスは3回に分けて実施し、トータルで300人弱のサポーターが参加したと見られます。自分は16時からの回に参加したのですが、現在の状況を把握する為には非常に有意義だったのではないか、と感じました。その後に行われた、所属団体での大倉代表の説明会の中身も合わせてカンファレンスの印象や感想、自分自身の考えを書いていきたいと思います。

 カンファレンスは前半と後半に分かれ、前半では大倉代表の説明、後半部分が質疑応答という形となりました。前半部の説明では①プロスポーツクラブがある意義②Jリーグが求める要件、タイムスケジュール③検討委員会での検討内容―という3つを柱に説明していました。

①プロスポーツクラブがある意義

 大倉代表は「プロスポーツがこの町にある意義ってなんだろうと常々考えている」とし、岡山大学学術研究院教育学域・高岡敦史准教授が作成した「スポーツの産業領域への広がり」という図を提示して、プロスポーツは単に中心部で盛り上がっているだけではなく、周辺の様々な産業と結びつく―ということを説明しました。

 高岡准教授が講演したスタジアム検討委員会の記事はこちらです。「スポーツの産業領域への広がり」の概要図もあります。執筆させていただきましたので、ぜひご覧下さい。

 さらに大倉代表は例としてスポンサー企業の求人増や、いわきFCというクラブをみんなで応援することによる一体感の創出などを挙げ「それがもしかするとシビックプライドに繋がったりも地方創生や関係人口の増加になったりとかが発生している」とし、プロスポーツクラブはプラットフォームであるという考えを示しました。
 上記したnoteにも書きましたが、高岡准教授の話す「スポーツは論理的にあらゆるビジネス領域と関連する」ということになります。

スポーツをする、見る、支える」を中心に「ヘルスケア」や「スポーツツーリズム」などのサービス、サービスを取り巻く基本的領域を構成する「芸術」や「医療」「経済」「建築」、さらその周囲にある「地方創生」や「エネルギー問題」「SDGs」(中略)

「スポーツは論理的にあらゆるビジネス領域と関連するはずだと私は思ってます」

https://note.com/iwakifc/n/n27d34156385e

 つまり、当事者や関わるサポーターだけではなく「例えいわきFCというサッカークラブやプロスポーツに関心がない人たちにも、実はプロスポーツは大きく関わっており有形無形の価値を共有している」ということを伝えたかったのかと感じます。
 それが一体、新スタジアムとなにの関係があるのか。もしかするとそう思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし「プロスポーツクラブやスタジアムが単なるクラブや場所ではなく、地域課題や地方創生のエンジンとならなくてはならない」「価値共創の場であらなければならない」という基本的な考え方を共有することが大前提となり、その大前提を基本的な考え方として現在検討が進められているという部分は非常に重要かと思います。

②Jリーグが求める要件、タイムスケジュール

 現在のいわきFCの状況について大倉代表は「J2がプレーできているのは仮のライセンスを持っているから」としナイター設備やビジョン、芝生の全面張り替え、トイレの増設やシャワールームの設置など様々な機能をいわき市が整えてくれたことによる、と説明。この例外規定についてはルールとして以下の3点を挙げました。
続けて、来年6月末にリーグに提出して「ダメと言われたら2026年は自動的にJ3に落とされるという状況」と付け加えました。
その上で具体的な計画内容として①場所を1箇所決める②スタジアムのスペック③事業主体(誰がお金を出すか)―を決めることになると説明しました。

1.来年6月末までにJリーグに具体的な計画を提出
2.3再来年6月末までに着工
3.最長で2031年開幕までに新スタジアムを建てる

Jリーグに提出する大枠の内容

リーグに提出する具体的な計画の前提は何か

 リーグが規定する「理想的なスタジアム」には①アクセス②屋根③ビジネスラウンジ・スカイボックス・大容量高速通信設備 ④フットボールスタジアム―以上の4要件が求められます。続いて大倉代表はこの4要件について説明します。4要件については下記を参照ください。

 「2 、3 、4 番は機能の問題。フットボールスタジアムであるということと、今もう 5000 席以上に緩和されたので、5000 席以上というのがルール。全て屋根が覆われてなきゃいけない。あとはビジネスラウンジの使い方とか高速割合が通っている。これは機能の話となるので、作る時にこれに合わせてやっていけばいい。問題は場所にちょっと絡むアクセスというところ

 この1番のアクセスの定義について大倉代表は要約した考え方として「スタジアムと今それぞれにある地域にある資源を掛け算すると、どういう経済効果が生まれますか?社会貢献が生まれますか?それが地域の活性化にどうつながりますか?という説明が必要になってきます。つまり、山の中にボーンと作る農地の中にポーンと作るではダメよっていうこと」と説明しました。
 このアクセスを踏まえた上での立地場所は本当に多くのサポーターのみんなの最大の関心事になっていると思います。ですが、この後に説明がありますが、スタジアムの立地場所について現在、何も決まっていません。今後立ち上がる検討委員会内の分科会2で話し合われることになるかと思います。そしてその前提となるのは、地域資源とスタジアムが掛け算して、どのようなまちに対する貢献が生まれるか、です。ではこの1年行われたスタジアム検討は何を検討してきたのか、それがこの地域にとってどんな貢献や効果が生まれることが望ましいのか、この地域の地域課題解決のためにどのようなコンセプトを持ったスタジアム建設が望ましいのかを語ってきたのが昨年1年間でした。

③検討委員会での検討内容

 検討委員会内の広報グループで作成したパンフレットとユースプロジェクトの報告書についての報告。ここが昨年1年間をかけて検討、話し合ってきた内容の集大成報告となります。
 ここで、カンファレンスの参加者に配布された「新スタジアム検討委員会活動レポート」と「ユースフォーラム報告書」の2部について大倉代表が説明を行います。全体的な中身については下記画像や以前書いたnoteなどをご覧いただきたいと思います。

見開き表
見開き裏

 「こんなスタジアムあったらいいなをみんなで考えてみた!」と題された活動レポートには、分科会1で検討された「スタジアムに求める4つのビジョン」や「ユースプロジェクトからの7つの提言」のほか「Jリーグがスタジアムに求める4つの要件」「スポーツ産業領域の広がり」「IGUP紹介」などの内容が掲載されています。最も大きい部分は、検討委員会で議論してきたスタジアムに求める4つのビジョンの部分なのですが特に下記に記載する「込められた意味」にも目を通していただけたら幸いです。

スタジアムに求める4つのビジョン
1.まちの構造を変えるスタジアム
2.常に時代の先をゆく可変的スタジアム
3.教育・学びを支えるスタジアム
4.人が集い「偶然の出会い」が生まれるスタジアム

4つのビジョン

このビジョンは、それぞれ異なる要素を含んでいますが、今後さらに進む「人口減少」と「東京一極集中」という社会課題と向き合い、若い世代が誇りに思える場所、だれもがチャレンジできる場所であってほしいという願いが込められています。未来を見据えるからこそ、まちの構造を変え、人々が出会い、その成長を後押しし、スタジアム自らも変化を続ける。そんなスタジアムがこの地域には必要です。

込められた意味

レポートとフォーラム報告書について説明をした大倉代表は、こんな言葉で説明を終えました。「サッカー見に行かねぇしあんま興味ねえしっていう人((がいたとして)チームが、じゃあスタジアムを作りますってなった時に誰がお金払うかっていうことはこれからですけれども、少なからずもし税金とかを使うとかってなった時に『いやいやいや子供手当に寄こせよ』っていうのは絶対そうなるのは当たり前だと思うんですね。だけど、それが何かあることで子どもの未来が輝いたり、何かに寄与するなんて妄想すらできないのは当たり前だと思うんです。もうちょっと呼び起こすためには、こういった(説明会などの)プロセスをしっかりこの僕はもうこの年内にするとこれやっていこうと思ってるんですけど、やっていかないと難しいだろうな、というふうに思っているというところです」
 
地域の中でいわきFCに興味がない、無関心層は概ね7割を占めると考えられているとのこです。椅子取りゲームではないけれど、この7割の層が少しでも関心を持ってくれることが肝だと考えています。

最後に

 今後、スタジアム建設の話が具体化されば具体化するほど、様々な障害や立ち止まらなければならない事態も発生することが予想されます。その時に「何のためのスタジアムか」「譲れない部分は何か」というものを理解していることは重要なことと考えます。誰の為に、何の為にスタジアムを作るのか、どんな地域課題解決に寄与できるのか。
 今から約10年前に、被災地のいわき市にサッカークラブを作ろうと考えた人たちが作ったフィロソフィーは「スポーツを通じて社会価値を創造する」であり「魂の息吹くフットボール」であり「90分間止まらない、倒れない」「日本のフィジカルスタンダードを変える」などでした。そのコンセプトに従い、こだわってきたからこそ、現在のいわきFCがあると言っても過言ではないと考えています。
 現在のスケジュールでいけばスタジアム完成予定は2031年。奇しくも東日本大震災から20年目となります。仲間を増やし、理解者を増やし、色々なところで語り合って、ともにその日を迎えましょう。

質問内容への返答やその他内容については次回!



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