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「何かっぽく」しない

良い意味で想像を超える展覧会だった。日本デザイナー学院九州校の卒業制作展にお邪魔した。正直なところ、まあ学生だしなとか、まあハタチそこそこだしな、とか思っていた。なので観るべき人(当社インターンの学生)だけサラッと観て、すぐに次の打ち合わせに行くつもりだった。でも結局、長居してしまった。

学生だからできること、というか学生のうちしかできないこと、はやっぱりあって、そこを思い切りやっている作品があると思わず足が止まる。それは「何かの真似でない」「どこかで観た感じがない」であればあるほど良いと思っているけど、さすがにそこまではなかなか難しい。でも「何かっぽくない」ってだけでも、十分面白いなーと感じるもの。それって作家の気分的には「よくわからないけど作ってみた」「(例えば衝動的に)作らざるを得ない」だったりするんじゃないかとも思うんだけど、どうかな。

たまたま話が出来た若い作家たちもみなさん元気で楽しくて、そんなこともあってあっという間に時間が過ぎてしまったのだった。中にはアイデアもクオリティもデザイナーとして即戦力になりそうな人もいたりして話し込んでしまったから、それはまあ仕方ないかな。

少しだけ自分の卒業制作展を思い出した。1997年12月5日がオープニングで、23歳だった。1畳サイズの作品を10点くらい描いてゼミのアトリエで展示した。近しい先生からは「偉大なる愚作」と言われて「これ褒め言葉だから」と続けられた。あれから20年以上経ったけど、「何かっぽくしよう」とか「うまくやろう」とかしてないかな。それだけは気をつけていかないと、と思っているんだけど。

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