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会社における「コミュニケーション」とは

職場でも研修でもよく聞こえてくる「コミュニケーションが大事だ!」という声。どうしてそんなに大事なのだろうか?

コミュニケーションは「社会生活を営む人間の間に行われる知覚・感情・思考の伝達」(広辞苑 第6版)とされるが、業務におけるコミュニケーションはもう少し定義が狭い。

会社でも、人間関係構築を目的としてコミュニケーションは、会社生活を楽しくする・仕事を円滑に進めるうえで大事だが、ここでは「相手に自分の意図を伝えて、相手に行動を起してもらうこと」を目的とする「業務遂行におけるコミュニケーション」に絞って話を進める。


乗り越えるべき2つの壁

コミニュケーションでは、自分が情報を発信してから、相手が行動を起こすまでに、大きく分けて2つの壁がある。

1つ目の壁が「相手に伝わる」こと。2つ目は相手に伝わった後「相手が行動に移す」ことである。これらの壁は意識しないと感じることができず、特に2つ目の壁は「大いなる断絶」と言える。

この断絶を超えるために、広告宣伝業界があるほどで、才能あるプロフェッショナル達が日々、この断絶を越えて一般消費者に商品を購入してもらおうと切磋琢磨している。

相手のいる「別世界」へ

まず1つ目の壁「相手に伝わる」とはどのようなものだろうか?

相手が言っていることが分からない、という経験は誰しもあるはずだ。相手が丁寧に話せば話すほど、訳が分からなくなってく。逆の体験もしかり。それは、自分と相手の前提が違う、持っている情報が違う、つまり「別世界」と言えるぐらい違うものが見えてしまっていることが原因だ。

例えば、皆さんが現場管理部門の担当者だったとして、本社から「このメールを現場に配信してください」と依頼があったとする。みなさんは「現場」がどこか特定できるだろうか?

本社の担当者は、そのメールの情報が会社の末端まで行き届きさえすればいい、ぐらいに考えているかもしれないが、「現場に配信」する方法は、部長または課長から情報を下ろしてもらう、課長に伝えて下に情報を下ろしてもらう、従業員全員にメールを配信するなど、複数あるはずだ。仮に従業員全員に配信するのであれば、本社から一括配信すればいいわけで、「このメールを現場に配信してください」という一文からは意図が読み取れない。

相手と話して「別世界」の入り口へ

相手のいる「別世界」に行くためには、相手に目線を合わせる必要がある。自分が伝えた情報が相手にどう受け止められ、どう解釈されるかを予想することである。私の理解のバロメーターは「自分の伝える情報に相手がどう反応するか」をどれほど鮮明に想像できるかだ。

自分と相手は別人で、簡単に相手目線に立つことはできない。そうした場合は、情報を伝える前に相手に話を聞けばいい。相手が数多くいる場合でも、何人かに話を聞けばある程度は全体の反応を想像できる。

聞く相手を間違えていなければ、想定外の反応が返ってきたとしても、ここまでは想像していたという姿勢を伝えれば、何が足りていなかったという議論にはつなげられるはずだ。

「共感」が「大いなる断絶」に橋を架ける

2つ目の壁である、相手が行動に移してもらうための「大いなる断絶」を乗り越えるにはどうすればいいのだろうか?

「知る」から「行動する」に変化させるためには、相手に「驚き・感動・共感」を感じてもらう必要がある。

「感動」を人工的に生み出すことは、プロでも難しい。ビジネスにおいては「驚き」はネガティブインパクトであることが多く、日常的に期待はしたくない。残るは「共感」。一体どうしたら作れるのだろうか。

「共感」に必要な「戦略的コミュニケーション」

共感とは「他人の体験する感情や心的状態、あるいは人の主張などを、自分も全く同じように感じたり理解したりすること。同感」(広辞苑 第6版)であり、自分と相手の共通点を見つけることから始まる。

もし「共感」が得られないのだとすると、それはまだ共通点が足りていない。相違点を減らして共通点を増やしていけば、いずれ相手の共感を得られるはずだ。

多くの仕事は「譲れる部分」と「譲れない部分」、あとは「譲りたくない部分」で構成される。より多くの共通点を見つけるとしたら、お互いの「譲りたくない部分」をよく話し合って、「譲れる部分」を見つけることだ。

そうした話し合いは「業務遂行におけるコミュニケーション」を達成するための「戦略的コミュニケーション」と呼べる。共通の目的を達成するために、同じ方向を見ながら、どこまでお互いが歩み寄れるかを探す、共同作業である。

道のりの先には、周りからの信頼

こうして2つの壁を超えることで、ようやく「業務遂行におけるコミュニケーション」の目的が達成される。乗り越えられるようになるまでは険しい道のりで、毎回乗り越えられるわけではない。2回に1回の割合で乗り越えられるようになるころには、あなたは一人前の社会人として、周りからの信頼を得られているはずだ。

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