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【参加レポート】ニコニコ超会議に行ってきた(テクノロジー編)

今日は2024年4月27日(土)〜28日(日)に開催されたニコニコ超会議の2日め(28日)に行ってきたので、せっかくだからレポートを書いてみます。
前回は日清さんの謎肉に並んだりして、あまり良く見ていませんでしたが、今回は目的をテクノロジー周辺に絞ってまとめてみたいと思います。

ニコニコ超会議とは?

まずはそもそも「ニコニコ超会議」とはなんなのかを説明したいと思います。

イベントの様子

「ニコニコ超会議」はKADOKAWAグループの株式会社ドワンゴが提供している日本発祥の動画サービス「ニコニコ動画」を中心にしたイベントで「ニコニコ超会議実行委員会」が企画・運営しています。

おおよそ毎年、千葉県の幕張メッセ全体を使って行われる、いわゆる文化祭的なイベントでニコニコ超会議を中心とした関係者がそれぞれのコンテンツを持ち寄って開催されます。周囲に貼られている微妙な完成度のポスターが高校の文化祭的な雰囲気を醸し出しています。

会場周辺に貼られるポスター

内容的には有名なYoutuberやニコ主と呼ばれる発信者による大規模なライブイベントから、さまざまな体験イベント、コミケのような小規模の頒布・販売まで様々な規模やベクトルのものが混ざりあったうえにさらにその集客に預かろうと地方の自治体とか、団体とかまで乱入し混沌としたイベントです。

今年のテーマは「ひとりのこらず主人公」で、その名の通り参加者みんなが演奏したり踊ったりするする「長演奏してみた」や「超踊ってみた」のような企画もたくさんあって、参加者が作り上げるようになっています。

そんな中にも多くのテクノロジーネタ

一般的にはサブカルチャー中心のニコニコ超会議ではありますが、そんななかにもいくつかテクノロジーなネタがたくさんあります。ニコニコ動画の配信者でもあるホリエモンが参加する宇宙開発の会社インターステラテクノロジーズ株式会社はもちろんのこと、理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」、そして加速器研究施設としてはつくば市の高エネルギー加速器研究機構KEK)や誘致している岩手県のILC(国際リニアコライダー:International Linear Collider)、などたくさんの参加がありました。


その他にもDENSOやセゾンテクノロジーなど多くのテック系企業が展示・スポンサーをしています。

ロケット開発はやればできる

まずは入場して最初に参加してきたのは超スペシャルステージのセッション。堀江貴文さんとインターステラテクノロジーズ株式会社メンバーによるパネルディスカッションでした。まだ人が入り切っていないので最初は席が空いていましたが、ステージ中に徐々に人が集まってきていました。

パネルディスカッションの様子

内容もなかなか貴重な話が多くて、参入した背景として今では下町衛星やKOSEN衛星など一般的になってきた人工衛星の小型化というムーブメントがあったとか、その先にある「フォーメーションフライト」の話が非常に興味深いものでした。

人工衛星の小型化と小型ロケットの需要
従来の人工衛星は非常に大きなもので、それを打ち上げるロケットもH2ロケットのように大型なものだったが、2000年代にはデバイスの進化・小型化の流れで人工衛星の小型化が予想されていたこともあり、その需要を見込んでロケット事業に参入した。

フォーメーションフライト
今後見込まれるさらなる人工衛星の小型化が進むと、ピンポン玉の大きさの単機能を持った小さな衛星をロケットにぎっしり搭載してたくさん打ち上げることができます。そのたくさん上がった小型の人工衛星を連携させることで1つの大きな衛星のような機能を果たすという高層がフォーメーションフライトです。
たくさんの小衛星を打ち上げることで、人工衛星の打ち上げ効率を高くするだけでなく、一部が故障しても他の衛星があつまってその代わりを行うというまるで生命体のような強靭で柔軟な機能を維持することができるので、遠い他の恒星の衛星の探索や、地上との高速ネットワークを実現することができるそうです。

バイオメタン燃料
インターステラテクノロジーズのロケットは水素やケロシンではなく液化メタンを使用しています。理由は「密度」と「比推力」のバランスが良いことと、地元十勝にたくさんある「牛糞」を原料としたバイオメタンを生産できることです。これにより地球環境に優しく持続性のあるロケット打ち上げができるようになっています。

堀江さんによるロケット解説
セッションのあとは「超宇宙開発」のブースでの堀江さん本人による解説を見に行きました。ロケットの部品やその技術的な意味についての詳しい説明を力強く語っていたのが印象的です。

堀江さんによるロケット部品の解説

いちばん印象的なのは新開発した超小型の「ガスジェネレータ」です。耐熱合金のインコネルという金属を鋳造加工して作ったとのことですが、果たしてどうやって作ったのか興味津々でした。

新開発のガスジェネレーター

推進剤タンク圧力試験
推進剤を格納するタンクは非常に高い負荷がかかりますが、このタンクをインターステラテクノロジーズではアルミ具金を使用して自社製造しています。この耐久試験はタンクにどこまで圧力をかけたら破裂するのかという限界を調べる試験を行いますが、この試験を実施して安全性を確認済みになりました。

インコネル
従来はジュラルミンを多く使用していましたが、現在はインコネルという特殊な合金を使用しています。インコネルは高温強度が強く、熱伝導性が悪いため切削加工が非常に難しい材料のため、新開発のガスジェネレーターは鋳造(溶かした金属を型に流し込んで整形する加工法)で製造されています。
・・・・まさか砂型ってことはないとは思いますが、古いイメージのある鋳造がこんな最新の機器に使われているとは機械工学科出身のワタクシも胸熱です。

エンジンの冷却は燃料で行う
ロケットエンジンのノズル周辺は非常に光熱になるため、金属が解けてしまうのを防ぐために冷却をする必要があります。その冷却には燃料を使用するためエンジン内には燃料を流す細い溝が掘られています。そこに液化燃料を通しノズル周辺で噴霧することで冷却を行います。


インターステラテクノロジーズは応援を待っています
ロケット開発には非常にコストが掛かります。インターステラテクノロジーでは企業による技術者派遣やふるさと納税を含めた様々な支援を待っているそうです。


スーパーコンピューター「富岳」

次に見てきたのが理化学研究所さんのスーパーコンピューター「富岳」の展示ブースでした。

「富岳」は「京」の後継の富士通製のスーパーコンピューターで2021年3月に共用され、2021年のスーパーコンピュータに関するランキングの「HPCG」で8期連続で1位を獲得している世界有数の性能を誇るスーパーコンピューターです。調べてみるとOSはRedhatのLinuxだったりします。

展示してあったのはコンピュータラックの模型と1ノードに値するCPUユニットの実物です。計算処理で発生する熱を抑えるために設けられた銅製の水冷配管がかっこいいです。富岳はこれが158,976ノード432ラックもあるそうです。

CPUメモリユニット

ブースでは計算バトルというクイズ二チャレンジすると富岳のラックの模型が配られてました。たくさん揃えてみたくはなりましたが遠慮しておきました。

けいさんバトル


DENSOの超QRコード

DENSOさんは「超QRコード」と銘打ったブースを出していました。今や使ったことがない人はいない便利なQRコードは30年前にデンソーさんが開発したそうで、今回はそれをお祝いしてブースを開いているそうです。

「超QRコード」

会場では色んなゲームが用意され、その最後の景品を当てるためにQRコードを読んでいました。

QRコード
1方向(1次元)にしか読むことが出来ないバーコードよりもたくさんの情報を素早く読み込めるようにと縦横(2次元)に情報を保管したコード。バーコードが普及し始めた1994年に当時のデンソーの事業部だったデンソーウェーブが発表した。「QR」とはクイック・レスポンス二由来するらしいです。


加速器の展示が2つも!

なんと今回のニコニコ超会議には加速器に関する展示が2個所もありました。ひとつは茨城県つくば市にある大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK)の展示、もうひとつが岩手県ブースで展示されていた、岩手県が誘致しているILC(国際リニアコライダー:International Linear Collider)です。
KEKのブースはけっこう派手にやっていて、加速器についての理解を深めるためのアトラクションがいくつも用意されていました。
ILC側は小さいながらも関連グッズを用意して臨んでいました。

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK)
大規模になってしまう最先端の研究分野の施設を複数の大学で共同しようという法人の1つで茨城県のつくば市と東海村にキャンバスを持っています。

KEKのキャンパス


ILC(国際リニアコライダー:International Linear Collider)
国際協力によって設計開発が推進されている次世代の加速器で、形状は円形などではなく10kmの長さをもった直線形状をした加速器です。建設により多くの研究者が集まることが期待されています。

https://www.pref.iwate.jp/kensei/ilc/1011386.html

加速器
加速器は様々な分析・研究のために使用されています。けっこう大規模な施設を擁する事が多く世界的にはスイスにある欧州原子核研究機構(CELEN)が有名ですがKEKのほかに兵庫県にあるSpring-8などさまざまな施設があります。


セゾンテクノロジーズのスポンサー企画「超絵師展」

最近「背像情報システム」から社名変更したセゾンテクノロジーさんがスポンサーしていたのが「超絵師展」。

「絵師」とはイラストレーターのことで、たくさんの人気絵師によるイラストの展示をする、以前から開催されている人気の企画です。HULFTやDataSpiderなどでBtoBでは有名なIT企業ですが、今回心機一転なのかニコニコ超会議に乗り込んできていました。

超絵師展の入口

今回の企画は「 ~IFの楽曲世界展~」と銘打って日本を代表する名だたるボーカロイド楽曲をもとに、新進気鋭の絵師たちが新たな解釈でイラストを描き下ろすという企画です。
新社名キャンペーンの描き下ろしイラストも展示されていました。

新社名キャンペーンの描き下ろしイラスト

その他にもたくさんの企画

その他にもテクノロジー関係の出典はたくさんありました。自作片手デバイスなどが展示された「超デバイス作ってみた」や基板をデザインしたグッズ販売の「超基板アート雑貨」や、ものすごい人気で近づけなかった「超アリエナイ理科」などなど理系心をくすぐる企画もたくさんありました。

・・・・というか回りきれませんでした。

ということでこの「ニコニコ超会議」。テック系のみなさんにとっても刺激いっぱいなので、来年は是非行ってみましょう。









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