アジャイルのためにやってきたアジャイルっぽくないアジャイルなこと

本記事はシン・アジャイル Advent Calendar 2022の12月13日の記事として書いています。
とはいえ書くことが思いつかず今日まで来てしまったので、ワタクシのしがない体験から、あまり参考にならないかと思いますが、チョット書きだしてみます。

ちなみにワタクシ、フクイは「情シス」〜いわゆる会社内にはびこるシステムのお守りとか、入れ替えとか、作り直しとか、たまに新規開発をしている人たちの一人です。実際にはたくさんのパートナーさんに助けられてIT屋さんっぽいことをしています。

そんなワタクシは「アジャイルってなに?それ美味しいの?」という世界の中でアジャイルを組織に染み込ませようと、いろいろと七転八倒しながら今日までなんとか生き延びてきた(未だ勝利宣言はできていません)のですが、これまでにやってきた取り組みの中で「今思えばちょっとアジャイルだったかな」と思った事を3つ取り上げようと思います。

ひとつめ:エンジニアさんに対するリスペクト宣言

へーしゃは前述したようにパートナー会社さんのエンジニアの人たちに支えられています。いわゆるSESという形態です。社内で実際にシステムのメンテナンスや改善を実際に行うのはほとんどこの人達で、アジャイルとかスクラムを行うにはこの人達の協力というか参加がなければできません。

これからとあるチームでスクラムっぽいことに取り組もうと考えた際にやったのがこの事です。当然チームメンバーに対してちゃんとエンジニアとしてリスペクトすることは当然なのですが、それをパートナー企業の営業さんとか、偉い人達にもその事を宣言することにしました。

スタートがちょうど年度はじめだったこともあり、先方が挨拶に来るシーズンだったので、その席で「来ていただく人たちは決して工数不足を補うためではなく、新しいエンジニアリングを持ち込んでもらうために来てもらいます。ですからこちらも協力するので新しい技術とか勉強とか・・・」みたいな話をしました。うまく語尾が表現できず噛みながらの話でしたが、なんとか相手に真意は伝わったようです。

この事は、その後の事にどう影響があったのかわかりません。

でも相手の上の方の人に伝えた事もそうですが、そうやって宣言できたのも自分にとって良いことだと信じてます・・・・信じてます


ふたつめ:モニターを良いやつにした

ふたつ目はそのチームが成果を上げ、それが周囲にも認められ出した頃のお話です。ちょうど会社の業績も良かったので財布の・・いや予算の紐も緩んでいた時期だったので、これはチャンスと思いメンバーに聞いて回りました。

「今何がほしい」

社員なら査定を、フリーランスならお金といったところですが、SES企業にお金をたくさんあげても残念ながらメンバーの手元にはきっと届きません。では何か?と思ったときに思いついたのが開発環境の事です。結構大きな企業にはありがちなのですが、いわゆる標準PCというのがあって性能から何から基本的には同じスペックのものを使うというのが普通だったので、エンジニアにとってはやや働きにくい環境だったので、思い切って何か開発環境を強化しようと思いメンバーに聞いてみました。

結果は「モニターのちょっとでかいやつ」

PCのスペックを上げてくれと言われると思っていたので若干拍子抜け足ましたが、景気が悪くならないうちにサクッと予算計上し、モニターを買いました。(実はモニターのほうが周囲の批判を受けやすいので若干ドキドキしました)

そんなある日チームが働いているオフィスを訪問したときにちょっと驚きました。

なんとペアプロやってました

いままでの小さなモニターではなかなかやりにくかったのでしょうし、とくにペアプロやりたいという話は出ていませんでしたが、モニターがでかくなったので自然発生的にペアプロが始まったみたいです。


みっつめ:勉強を「強制」

強制と聞くとアジャイルっぽくありませんが「強制」は大事です。

「ひとつめ」のリスペクトのところでパートナー企業の偉い人に宣言した「こちらも協力するので」というところの話です。強力と言っても出来ることは限られています。高い講習のお金を代わりに払ってあげることもできませんし、ましてやこちらから教えるような技術力もありません。できるのは「勉強時間を確保する」ことくらいです。

やったのは「月の労働時間の5%を明確な勉強に使うこと」ということです。これを「指示」という形で強制しました。この強制的な指示にするのには訳があります。

一般的にSES契約の場合、発注企業は「工数」を買う形になります。わかりやすく言うと時間です。これを買っているということは「時間は発注企業のために使う」事になります。ですから就業時間中は仕事(目先のタスク)をしていなくてはいけない・・・・と誰もが思っています。」

つまりは日中に「目先の仕事に関係がない事に時間を使うのはけしからん」という人のほうが多数派です。ですから「勉強してもいいよ」と言ったところで勉強なんかできませんし、ましてやセミナーを聞きに行くことなんてできません。だからあえてその責任は自分に来るように「指示」を行う必要があります。指示だから批判されたり、怒られたりするのは指示した人で、「勉強させられた」人ではありません。

そういう理由もあってなるべく外のセミナーとかに行ってもらうようにしました。テーマも直近使う領域ではなく、まだ当時は使うことがなかったクラウドとかCI.CDとかそういうのに行ってもらってました。

そんなある日、メンバーの一人に満面の笑顔で言われました

「今回はじめてデブサミに行くことができました!!」



ぶっちゃけ効果はわかりませんが、本気で良いことしたと思いました。




これらの事は正直、本当に効果があったのか・・・本当は良かったのか良くなかったのか・・・理屈の上では確証を取ることができません。成果は当然チームのものですし、チームメンバーのものです。

ですがアジャイルを実践するのはなにもチームのメンバーだけでは無いと思います。チームの外側からでも彼らを支援するすべはたくさんあると思います。それがはっきりした効果や因果関係はわからなくとも、やるべきこともたくさんあると思います。それは組織がアジャイルになるという事の一歩だと信じてみたいと思っています。









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