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採用されなかったアイデアは実は大事〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#51

世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。

テーマはアイデア。要件定義や設計の際、後半では課題の解決や障害の解消など考えてみればたくさんのアイデアを出す場があります。今回はそんな「アイデア」のお話です。

いざアイデアを出す場面

システム開発プロジェクトでは様々な場で「アイデア」が求められます。それは安全牌ばかりを求めたプロジェクトよりも「攻めた」「画期的」「革新的」「挑戦的」なプロジェクトであればあるほど求められます。

そしてプロジェクトの後半フェーズではその反動として発生する様々な「課題」「トラブル」「障害」に対しても強く望まれたりします。

良いアイデアを見るのは非常に勉強になり楽しいし、自分のアイデアが採用されれて、その結果として課題が解決されたり、目標が達成されたりすればものすごく嬉しいものです。

アイデアは楽しい時間を作り出し、そして苦しい時からの脱出を助けます。

とくに最近のIT技術はAPIなどの連携技術が発達し、必要なときにだけ使うことができるPaaSやSaaSなどのクラウドサービス、簡易的に使えるツール類、そして低コストで使えるOSSなど・・・・汎用機上でCOBOLやFORTRANを使っていた時代、オンプレサーバ上でモノリシックなプログラムを作っていた時代に比べると格段に選択肢が増えていて、より一層アイデアの重要性が高まっています。

なかなか言い出せないアイデア

しかしながら、いざそういう場に出会ったとしても、実際にアイデアを自ら出せる人はいません。知識が足りていないとか、そもそもアイデアが湧いてこなかったというのもありますが、実はアイデアはあるもののなかなか言い出せない・・・・というのもあると思います。

アイデアというものは、どんなにたくさん出てきても採用されるのはたったの1つか2つ。宿命的に狭き門となってしまいます。よっぽど自信があるか、そのへんに無神経な空気を読まない人、他人にどう見られようが気にしないサイコパス的な人であれば良いのですが、そうでない場合はよっぽど自信のあるアイデアでない限りは、どうしても尻込みしてしまうのは仕方ない事です。

さらに先輩や、上司、偉い人、すごい人に自分のアイデアが一笑にされてしまったら、みんなに「それは無理だよ」とか「考えが足りないよ」みたいに否定されてしまったら・・・・普通の神経をしていたら、なんて心配してしまったり、「自分のアイデアなんて」と自分のアイデアを過小評価して口をつぐんでしまうのはごく普通のことです。

どうせ採用されないし、良いアイデアでなかったら出す必要はない

普通の人はそう思ってアイデアを積極的にださないものなのです。

アイデアを出すためのアイデア

しかし良いアイデアというものはそう簡単に出ることはありません。一発で良いアイデアが出てそれを採用したら、どんぴしゃで課題が解決した・・・なんてことは早々ないのです。むしろそんなパターンの場合だったら、それは「アイデア」ではなく「セオリー」なのでしょう。

でも「セオリー」が行き詰まっているから「アイデア」が必要なのです。

なぜなら、誰もが考えつかないようなアイデアには、たくさんの発想の転換とか固定観念からの開放、そして限界や制約の突破が必要だからです。つまりは発想の転換のための採用されないアイデアが必要なのです。

採用されるためにアイデアを出すためではなく、その場にいるメンバーの思考の軸をチェンジするような発想を変えるためのアイデア、「マイナスになっても実は問題ない」みたいな限界の突破のためのアイデア、「実はここに関する顧客の要望はそんなに強くない」みたいな制約の突破のためのアイデアがあって思考の幅を広げたり、視座を広げることができるのです。

だからそれがバカバカしいアイデアであっても声に出してメンバーに共有する事はとても大事な事なのです。

アイデアはアイデアの屍の上に立つ


1つの良いアイデアというものは、その何倍ものたくさんの採用されないアイデアがあるからこそ生まれるのです。

アイデアはアイデアの屍の上に立つ」のです。

ですからたとえ採用されなくても、たとえ笑われることになってもアイデアは出すべきなのです。むしろキャリアの浅い素人のちょっと馬鹿な考えのほうが有効な場合があるのです。

遠慮せずにアイデアは吐き出しましょう。


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