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議事録の意味は?〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#06

世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。

会議議事録の目的って何?

システム開発プロジェクトの教科書的なものにはよく「議事録」についての記述があります。プロジェクト管理のなかで「議事録」は大切なツールとして位置づけられていたりします。

SIerの立場から見たら、会議で決めた合意事項はしっかりと記録し、承認してもらうことで、その後の後戻り 〜というかSIer側の持ち出しによる開発の追加ややりなおし(=赤字のもと)を発生させないようにするのが目的です。たしかに古の時代の受託開発(完成委託)ってお客様は神様と言わんばかりに仕様変更が発生し、「言った言わない」論争の果てに開発現場が振り回され続けていたので、その苦い反省から、この論理が徹底されてきているのだと思います。

議事録の目的は「未来の変更を受け入れられない」ようにすることなのです。(まぁ責任を押し付けられないというのが本音ですけど)

SIer側から見たら切実な理由で議事録は使われているということです。

議事録に書いてあっても軌道修正は避けられない


でも、事業会社(ユーザ企業)の視点から見たら、必要な変更は必要なわけです。(誰のせいにするかという低次元な話とは全く別です)以前に合意を取っていようが、そうでなかろうが必要なものは必要で、そこにはお金と時間をかけてでも対応しなければならないわけです。

最近のビジネスの世界は「VUCAの時代」を挙げるまでもなく正解のない世界です。そもそもビジネスに正解なんかないわけで「売れたものの勝ち」みたいな世界です。「教科書通りにやっていたら企業経営基盤は不動のものです」・・・・なんてことは絶対にないわけで、機能まで正解と思っていたことが、今日の朝から不正解確定なんてこともありうるわけです。

つまり最初に挙げた「変更を受け入れられない」という目的はもはやSIerの自己防衛以外に意味をなさないのです。

ましてや完成委託ではなく完成責任を負わない準委任が増えているシステム開発の現場では議事録で果たすべき目的と言うか意味は大分変わって来ています。

現在の議事録の意味


もちろん議事録に意味がないなんて言うつもりはありません。しかし、その意味・・・存在意義が変わっているのは事実だと思います。

上記の理由で「言った言わない」論争防止のための議事録の意味合いは確実に失われています。しかもテクノロジーの進歩でリモート会議の内容は簡単に動画で記録が取れるわけですし、議事録に証拠的な意味をもたせるのはもはや無意味に近くなっています。「言った言わない」の防止なら会議を録画をするだけでいいのですから・・・・時間をかけて議事録を作る必要はありません。

議事録に必要な意味は、決まった事項やToDoを参加者全員や参加できなかった人と共有することで、次のアクションを確実に行う事が中心になるでしょう。そうなると議事録に書くべき内容も(誰が言ったかなんて関係ないので)よりシンプルなものになりますし、記録するメディアもWordの形式ではなく、JiraやRedmine、BacklogなどのチケットやWikiの形に変化していくと思います。

10年くらい経ったら、もしかしたら議事録なんていうフォーマットはなくなって、平成の遺物扱いになっているのかもしれません。





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