⑥ノストラダムスの大予言改めグレた少年


結局何も起こらず世間だけを騒がせたノストラダムスであったが、
岡本少年に影響を与えるには十二分の成果を収めていった。

死んでしまうんだという恐怖は次第に諦めへと変わり、最終的に無気力にまで堕ちていった。

グレた岡本少年はノストラダムスを回避したことで更生するかのように思われたがそうでは無かった。
一度抜いた刀は納められぬという武士さながらに、一度グレてしまった竹刀を納めることが出来ずにいた。

明日からちゃんと授業を受けることも出来る。
宿題をやることも、授業開始前にちゃんと席に着くこともできる。
だが、他のクラスメートの手前、一緒にやんちゃをしていたニシダ君の手前、そしてやんちゃな子というレッテルを貼った先生の手前出来ぬのだ。

だがそれも時間の問題であった。

とある日、いつものように学校が終わり、火木土と週に3回ある剣道の稽古をしに道場へ行った時のことである。


「啓太!こっちこい!」と、当時小学生の指導にあたっていた先生に言葉強めに呼び出された。
何かまずいことでもしたかなと、小走りで先生の元へ向かうと目の前に正座するように言われた。
そして、先生の口から出たのはグレた岡本少年の学校での蛮行についてであった。

担任の先生からおそらく親に連絡が入っていて、それらについて親にバレていたし、更には剣道の先生にまで伝わってしまっていたのである。

「頭を出せ!」
そう言うと、先生は左脇に構えていた竹刀をゆっくり振り上げ、私の頭を一刀両断するかのようにスパン!と叩いたのであった。

痛かった。

驚きと痛みが一瞬で駆け抜けていき、
その後を色々な感情がごちゃ混ぜになった涙が押し寄せてきた。

少年は半べそをかきながら、これまでの行いを正そうと心に誓ったのである。




今でいう半グレになりかけていた岡本少年であったが、ギリギリのところで道を正した。
そんな彼がバンドを始めるのはまだまだ先のお話。







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