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チーム名はANCHORS!〜男子チア物語第18話〜

2013年4月下旬。


俺は1人目の仲間となったマネージャーのサヤカと運命の出会いをして以来、毎日のようにやりとりをしていた。

これから作り上げていく明治男子チアチームについて、早期チーム結成に向けて、語り合っていた。


やっぱり、プレーヤーを増やさないと始まらない。


そのために、明治大学以外からもメンバーを募集してはどうかと、意見も出たがこれには賛同出来なかった。


仮に、のちに大会に出場するとなると、オールメンズの場合、早稲田の男子チアSHOCKERSも出場しているUSAという部類の大会に出場することになる。


だが、ここに出場するには競技規定の中にあるように、全員が同一学校の大学生であることが出場資格となる。



そのため、将来的なことを考えて、この時点で他校から部員を集めることは諦めた。


明治大学の男子のみ。よし、これでいこう。


入学して以来、男子チアの仲間を見つけるべく7つのサークルに入った俺。

着実に俺のことを信頼してくれる友人は出来ていったが、男子チアのメンバーになるという決断まで至る者は出てこなかった。


メンバーを増やすということがこれほどにも大変だとは。

直面して痛いくらいに感じた。


いつものようにラインで連絡をしている最中、「そういえば」とサヤカが切り出した。


「私たちのチーム名って、まだ決まってないよね?」


「あ!そうだ。決まってない。メンバー集めばかりに気を取られていたよ」


「もちろんそれも大事だけど、チーム名を決めない?今度、2人でミーティングしましょ。その時までにお互いチーム名の候補を出し合おう!チーム名が、決まらなきゃ始まらないでしょ?」


サヤカのニコッとした顔が、画面越しにでも感じ取れた。



数日後の2013年4月末。


2人で第1回ミーティングを行った。


場所は西武新宿駅の建物内にあるスターバックス。




俺にとっては"スタバデビュー"だった。


集合時間の少し前に、俺は到着した。

店内に入ってビックリ。


ほとんどの席が埋まっていた。


「お店混んでるから、席とっておくね」

サヤカにラインを送って、フラペチーノというわけのわからないドリンクを手に、席で待っていた。


サヤカはすぐにやってきた。

「ごめんごめん、待った〜?え?それ何飲んでるの?」


「全然!俺も少し前に着いたばかり。えっとこれは、バニラ?プラペチーノ?かな」


「プラペチーノってなに?(笑い)もしかしてケイタ、フラペチーノ飲んだことないの?」


サヤカにはお見通しだったようだ。


田舎育ちの俺の素性がバレバレだ。


恥ずかしながら顔を赤くして小さくうなずいた。

「じゃあ、始めよっか」

恥ずかしさも紛らわしながら、2人でのミーティングが始まった。


互いに早稲田の男子チアSHOCKERSを初めて見た時の感想や過去の動画を見て、大いに男子チアについて語り明かした後、本題に突入した。


「あ、サヤカ、で。あれ、考えてきた?」


「そりゃもちろんよ。すっごくいいのがあって」


「え!気になる!でもまずは、じゃあ俺から案をいくつか出そう。とりあえずたくさん考えたから。えっとね、こんな感じ」


常識などを壊すという意味で、BREAKERSとか。

伝統を残すという意味で、LEGACIESとか。

他にも、PAIRATESとかとかNAVIES、VIPERS
など!


「うん、うん、うん」とうなずくサヤカ。

俺は思いついたカッコ良さそうな名前、それに加えてそれぞれに意味を考えていた。

だが、どこかしっくりこれだ!となるものはなかったのが事実だった。


「サヤカの考えてきたものは?」


サヤカは満面の笑みで答えた。


「ANCHORS(アンカーズ)ってどうかな?」


「アンカーズ?!」

聞いた瞬間、理由もなくこれだ!と思えた。

胸がしびれた。


「めちゃくちゃカッコイイ!」

思わず店内で立ち上がって叫んだ。


サヤカは続けた。

「意味もね。込めて考えたんだ。ANCHORって日本語で錨って意味だよね。調べたら他の意味で、支え、よりどころってのもあったの。ANCHORS!みんなの心の支え、心のよりどころになるようなチームにしたいなって思って」



「うおおおおおお!」

これだ。まさに、これだ!


さらに興奮状態の俺は、熱弁した。


「しかもANCHOR(アンカー)って、リレーとかの最終走者って意味もあるよな?最後までゴールに向かって諦めず走り続ける。こうした願いも込めようよ!!!」


「そう!そうなの!私もちょうど、思ってたのよ!」





こうして俺らのチーム名がついに決まった。


明治男子チアリーディングチームANCHORS(アンカーズ)。







みんなの心の支え、よりどころになるようなチームに。


そして、最後まで絶対諦めず走り続けるチームに。


俺たちは「絶対になるんだ!」と強く誓い合った。



つづく
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第18話の登場人物 整理

ケイタ(俺)=筆者であり、主人公。愛知県・蒲郡市出身。豊橋東高校卒業。

サヤカ=埼玉県出身。同じ経営学部。手先が器用。ケイタと同じく早稲田の男子チアSHOCKERSに憧れ、マネジャー志望として早稲田大学を目指すも叶わず明治大学に入学。

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