Keita's talk その235 粒子のお話


 昔、書いた話が、某SNSの思い出にでてきた。つい先日もフィルムの話をしたばかりなので、ちょっと懐かしくなって再投稿。


 プチフィルムがもてはやされる今にはちょっと合わないお話ですが、参考までに、楽しくその雰囲気を楽しめる今の使われる方も良いと思います(笑)。



 フィルム時代粒子といえば銀粒子のこと。フィルムはハロゲン化銀の化学反応を使って光の濃淡を像に変えていた。その粒子はフィルムだけでなく印画紙にもある。印画紙は拡大されないので粒子の印象が弱く、モノクロフィルムの粒子のコントロールはフィルム現像のポイントでもあった。


  拡大率が大きくなれば粒子も拡大されるので目立つ、微粒子表現では35mmフィルムよりサイズの大きなブローニーフィルムやシートフィルムの方が有利になる。さらに低感度フィルムの方が微粒子。同じ感度でもフィルムによって粒子の感じには違いがあって、莫大な資金を掛けて研究開発が行われていた。と、ここまでは基本的な話。


 ちなみにデジタルには基本的に粒子はなく必要ならば後処理で加える。簡単にいえばノイズなので加え方がポイント。チョット横道にそれたので、フィルムの話に戻すと。


 同じフィルムでも現像のやり方ひとつで粒子の状態が変わる。これを粒状感と言って、現像が早いと粒子が荒れやすくゆっくり現像すると細かくなりやすい。基本的に粒状感は良い(粒子が細かい状態)悪い(粒子が粗い状態)と表現する。


 モノクロフィルム現像には基準となる現像時間があって、標準的な露出で撮影されたフィルムは D-76 という現像液で20℃ 9分半 というのが基本。現像液にも微粒子現像液というものやフィルムに合わせた専用の現像液もある。


 フィルム現像は途中で撹拌しないとムラができるので、この撹拌が粒状感の肝になる。粒状感をよくするために撹拌を少なるするとフィルムにムラができたりコントラストが弱くなりやすい。機械の自動現像機は基本的に現像液の中をフィルムが動きながら通って行くので撹拌のコントロールがしずらく、粒状感にこだわると手現像が基本になる。この話にこだわるのもモノクロフィルムをやっていたひと。


 撹拌は30秒毎に10秒が基本らしいがそのやり方もいろいろ。ボクがやっていたのは1分毎に10秒の撹拌。撹拌の強さでも粒状感が変わるのでタンクの振り方も大事。1分ごとに10秒の攪拌は現像ムラになりやすいので攪拌を強くしたいが、それを最小限に抑えて揺らすようにタンクを振るのがポイント。


 フィルム現像にこだわったひとならこの撹拌の話だけで十分に語り合える。最後のセリフはオレ粒子消せるようになった。で、決まっている。で、攪拌はね。と、実演が始まる(笑)これは原理的にありえない話で、それぐらい滑らかにできるという意味。せっかくフィルムをやるならこの粒子にはこだわって欲しい。 


 ちなみにフィルムをデジタルスキャンする場合はこの粒子とノイズの区別が難しくなるので、アナログで突き詰めないと粒子の楽しみは分からないと思う。今からフィルムをアナログだけで学ぶのはなかなか厳しい面もあるが、粒子の違いを知ることこそがモノクロフィルムの味わいだと思う。


 めんどくさい?そうそう、結構面倒なので気軽にモノクロをやるならデジタルの方がオススメ。メーカーさんによっては粒状感をコントロールする機能も入っているしね(笑)



また、次回

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?