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仮想現実について正しく理解しよう!

「仮想現実」という言葉を皆さん一度は聞いたことがあると思います、ニュースでもよく取り上げられていますから。ですが、「仮想現実」って何かと聞かれたら

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と答えるのが普通で、内容を説明できないですよね? そこで今回は仮想現実について詳しくなっていただき、説明できるようになることを手助けしようと思います。

1.そもそも仮想現実とは?

かそうげんじつ【仮想現実】
コンピューターの作り出す仮想の空間を現実であるかのように知覚させること。人間が行けない場所でのロボット操作などにも応用する。バーチャル・リアリティー

↑引用 『広辞苑』第七版 新村出編 岩波書店 2018

仮想現実、英語でVR(virtual reality)と呼ばれるものは上記のようなものです。簡単に言うと

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上の画像のようにゴーグルなどを着用して、視覚と聴覚を刺激して創造上の世界に入り込めるもののことです。

正確にはあの様なゴーグルを付けずとも創造上の世界に入ることができれば、それも仮想現実と呼びます。

2.仮想現実に似てるもの(意味)

仮想現実の定義が大まかには分かったと思います。ですが、似たような意味のものが存在するのでそれぞれを比較して、よりわかりやすくしていこうと思います。
まずは辞書的な意味を書いていきます。

かくちょうげんじつ【拡張現実】
(argument reality)人が知覚する環境の情報に、別の情報を付加するなどして現実認識を拡張する技術。また、その拡張された認識。ヘッドマウントディスプレーを使って、現在見ている景色にその場所に関連する情報を表示する類。

↑引用 『広辞苑』第七版 新村出編 岩波書店 2018
いわゆるARというものです。

複合現実(ふくごうげんじつ、英: Mixed Reality、MR)とは、現実空間と仮想空間を混合し、現実のモノと仮想的なモノがリアルタイムで影響しあう新たな空間を構築する技術全般を指す。ミクスト・リアリティ、複合現実感とも。

↑引用 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/複合現実

代替現実(だいたいげんじつ、英: Substitutional Reality、SR)とは、現実の世界と過去の映像を混同させて、本来実在しない人物や事象が実時間・実空間に存在しているかのように錯覚させるシステム。

↑引用 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/代替現実

以上が似たような意味を持つ、拡張現実、複合現実、代替現実、の意味です。

3.仮想現実に似てるもの(図示)

上記の意味だけだと難しいので仮想現実を含めたこれらの言葉を噛み砕いて比較、説明していこうと思います。

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(画像は恐竜がいた時代に入り込んだものと考えてください)
仮想現実:作り物の世界に入り込めるようにするもの

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(画像は写真などを撮ったらあたかもそこに恐竜がいるかのように写ったものと考えてください)
拡張現実:現実世界に作り物が存在するようにしたもの

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(画像は机の上に恐竜がいてそれをそれぞれ違う角度で人が見ているものと考えてください)
複合現実:現実世界みたいな作り物の世界で現実世界で
     はできないことを可能にするもの


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(画像は昔は恐竜がいたけど代替現実によって出現させたものと考えてください)
代替現実:過去の現実世界のような作り物の世界をあら
     かじめ作っておき現在の現実世界から過去に
     行けるようにするもの

いかがでしょうか?わかりやすくなったでしょうか?
(雑な画像で申し訳ありません)
上の説明を見て思ったと思いますが、実は結構基準がガバガバです。なのでざっくりと分かればいいと思います。

4.仮想現実の歴史

前までの項でもう仮想現実について説明できるようになったと思いますが、仮想現実の歴史を知って更に詳しくなりましょう。とは言ってもそこまで歴史が深いわけではありません。

1932年、フランスの詩人・演劇作家であるアントナン・アルトー(肖像権が存在する可能性があったため画像を用意できませんでした。参考文献の所に顔写真があるサイトのURLを貼りました。気になる人は是非そちらへ)は自身の書『錬金術的演劇』にて「演劇はまるで錬金術のように、日常の表面下に潜むより危険な現実を、物理的に鋳造してみせるバーチャルリアリティである」と初めてバーチャルリアリティという造語を使いました。
その後、

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(この画像はケンタッキー法第391章170条より死後50年以上経っているため肖像権が失効しています)

こちらのスタンリイ・G・ワインボウムさんが1935年、自身の短編小説『Pygmalion's Spectacles』にて現在のVRの形と仕組みの基礎となるゴーグル型の装置を作中に登場させています。

そして数年が経ち1960年、最初のヘッドマウントディスプレイとも称される「Telesphere Mask」がMorton Heilig(肖像権が存在するか不明なため用意できませんでした)によって開発されました。これにより、両眼立体視が可能になりましたが、モーショントラッキング(視界を動かしたらその通りに映像も動く機能)はまだできませんでした。


1968年、アメリカの計算機科学者であるアイバン・サザランドさん(肖像権が存在したため画像を用意できませんでした)がヘッドマウントディスプレイの「The Sword of Damocles」を開発しました。これは先程のTelesphere Maskでは出来なかったモーショントラッキングが可能で、最初のウェアラブル型(体に付けながらでも扱えるもの)の装置が開発されました。

ここからゲーム、軍事、映画などにそれぞれ開発されていきました。

5.仮想現実の利用方法

仮想現実はやはりゲームや映画などを見るためにしか利用されてないと思われがちですが、さまざまなところで活躍しています。

①医療業界

医療、特に外科手術のシミュレーションのために用いられているものです。これを用いることで専門医が足りてない医師を増やすことができるようになります。
この仮想現実は実際に名医がいて手術をしているのを横で見れるようにしたり、まるで手術を施しているかのようにトレーニングすることができます。

②不動産業界

これは今のご時世であるほど使われてるのではないでしょうか?
この仮想現実は物件をどこでもそこにいるかのように内見できるものです。
人との接触を避けたい時やスキマ時間で内見をできるようになります。

③観光業界

日本政府観光局が実際に外国人向けにVR動画をYouTube上でアップしています。
これにより、より日本の楽しさや美しさを伝えることができ、観光客の増加を狙えます。

④教育業界

教室にいながら、歴史や自然などの世界的名所への仮想ツアーが可能になります。
Google社にて『Expeditions』というアプリが開発されていて、カードボード型ヘッドセットにスマホを差し込むだけで簡単にコンテンツが使えるようになります。

⑤小売業界

これも今のご時世ほど使われていると思います。
商品が並んだ仮想空間を作ることにより、消費者が店舗に行かずともウィンドショッピングができるようになります。
また、服や靴などの試着をしたりする商品は仮想空間上であるため、すぐに試着した様子を確認することができます。

⑥経営業界

新人研修や工場や建設現場での危険作業を想定したトレーニングに活用されています。また、クレーマーへの事前演習や商談、接客にも活用されています。

最近はオンライン面接などが行われているそうですが、近い日には仮想空間上で面接するかもしれませんね。

⑦軍事業界

射撃訓練や突入訓練などで活用されています。
銃弾や広い土地を必要とせず訓練が可能となり、また、反復して訓練が可能となりました。

実際にアメリカやイスラエルが活用しています。

⑧ゲーム業界

PlayStation VRなど大分、社会に馴染んでる分野だと思います。

ゴーグルをつけて、その内部でゲームの映像が流れ、自分の動きに合わせて視界が変わることにより、ゲームの臨場感や自由度を高めることを可能としました。

⑨音楽、映画、スポーツ業界

ライブやスポーツの試合に活用されています。
誰もが特等席でライブなどを楽しんだり、テレビやスクリーンでは味わえない臨場感を楽しめます。
また、選手やライブの演奏者にカメラをつけて撮影することで、まるで自分がステージなどにいるような体験も可能になります。

6.VRの仕組み

前の項でVRがいかに重要かが分かったと思います。では、その革新的な技術はどのような仕組みなのか見ていこうと思います。

①何故立体的に見えるのか

まず、人間が立体的と感じる時には次のような条件があります。

・両眼視差:両眼を使って対象を見ることで起こる、左右の目における網膜像の差異。
・輻輳   :対象物を注視するときに起こる両眼の視線が注視点となす角度。
・運動視差:観察者と対象物の相対的な運動によって生じる網膜像の変化。
・焦点調節:水晶体の調節による対象物に対するピント合わせ。

↑引用 http://lab.sdm.keio.ac.jp/ogi/vr/step7.html

このうち焦点調節は投影されるスクリーンの位置が常に一定であるため使えないのですが、それ以外の3つを使ってVRは立体的な映像を見せています。

ではそれぞれ説明していこうと思います。

最初に両眼視差についてです。こちらの画像をご覧ください。

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(雑な画像で申し訳ありません)
この時、左目と右目はどちらもサイコロを見ていますが、微妙に見えているものが違うと思います。普段はその二つの視覚情報を脳が補完して一つにしています。
VRでは右眼、左眼、それぞれにその視点で見える視覚情報をスクリーンに映し出して立体的に見せています。

次に輻輳についてです。こちらの画像をご覧ください。

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(雑な画像で申し訳ありません)
上図では近くにあるサイコロと遠くにあるサイコロを比較しています。図で分かるように、両目と対象がなす角度は近いほど大きく、遠いほど小さくなります。
VRではスクリーンに映し出す映像をこの原理に則るように作られています。

最後に運動視差についてです。こちらの画像をご覧ください。

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(雑な画像で申し訳ありません)
このように、人間か対象が動いた時、それに伴い視界も変わると思います。
VRでは3次元位置計測センサを使い、頭部の位置の動きに応じた映像を生成しています。

以上のように人間の動きに合わせて映像を流しているため立体的に見えているわけです。

②何故顔の動きに合わせて視界が動くのか

次は動きに合わせて視界が変わることについての説明ですが、そこで重要な概念がトラッキング機能です。

トラッキング機能とは赤外線などで特定の対象の位置や移動を認知する機能を指します。

このトラッキング機能で、プレイヤーの動きに対する映像の変化の誤差が少なかったり、映像のフレームや解像度が高いほど、酔いづらく仮想空間に没入感を感じます。

では、次に360°映像視聴を可能にするトラッキング機能について説明していきます。

1.ヘッドトラッキング

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上の画像のうち、頭の周りにある3本の矢印のことです。ヘッドトラッキングとは頭、首の動きを捉える機能のことです。この機能により、顔を動かすとそれをセンサーが感知し、その動きに合わせて映像が映し出され、仮想空間でも上下左右の景色を楽しむことが可能になりました。

2.ポジショントラッキング

先程の画像のうち、腰周りの3本の矢印のことです。
ポジショントラッキングとはヘッドマウントディスプレイの位置の変化を認識する機能です。
この機能により、前後左右に移動した時に仮想空間でも移動した映像が映し出されることが可能になりました。

3.モーショントラッキング

モーショントラッキングとは対象の動きを追跡する技術です。体の部位やものにセンサーをつけることでより細かい動きまで仮想空間で映し出されることが可能となりました。

4.アイトラッキング

アイトラッキングとは視線の動きをセンサーが感知する技術です。近赤外線のレーダーにより、使用者の眼球の動きに合わせて映像を流すだけでは無く、視界周辺だけ解像度が高いことで人間の視覚に近づける「フォービエイデッド・レンダリング」の技術を使うことが可能になります。

5.ハンドトラッキング

ハンドトラッキングとは人の動きのうち、腕、手、指に特化して感知する技術です。さまざまなVRの技術で手などの上半身は可能になってるものの下半身は未だ多くありません。

以上の要因により、顔の動きに合わせて視界が変わるというわけです。

7.仮想現実の問題点

上の項で書いたようにVRには様々な利用価値がありますが、現実世界での悪影響がもちろんあります。それについていくつか取り上げ、それの対処法をまとめようと思います。

①VR酔い

6でも述べたのですが、トラッキング機能のプレイヤーの動きに対する映像の変化の誤差が大きかったり、映像のフレームや解像度が低いと実際の感覚と差が出てしまって起こります。

①対策

・ヘッドマウントディスプレイの焦点を調整しましょう
・極端にフレームや解像度が低いものは購入を考えましょう
・適度に休憩をとりましょう
・あまり激しく動かないようにしましょう

②斜視

6で説明したとおり、VRのゴーグルの中では左右それぞれ別の映像を流して擬似的な立体感を得ているため、実際の目の使い方とは違います。大人であれば目が疲れるだけで済むのですが、目が未発達の子供が使うと目が内側に寄ってしまったり、空間認識能力に悪影響が出てしまいます。ちなみに、物を立体的に捉える立体視細胞は6歳ごろ、黒目と黒目の距離は10歳ごろまで成長すると言われており、この期間に使うと悪影響が出てしまいます。

②対策

・子供にVRを使わせない

③仮想空間に没入しすぎて帰ってこない

VRの技術がとても高いことで起きてしまう問題点ですが、長時間VRを使うことでその仮想空間の自由度の高さから精神が不安定になってしまいます。また、没入感がありすぎて仮想空間内で手を切断などをすると実際は切断はされていないのですが、まるで切断したかのような痛みが走ってしまいます。

③対策

・節度をもって使用する

いかがでしょうか?便利な仮想現実は高度な技術によって様々な悪影響が生まれています。この記事を読んで下さってる皆さんも気を付けましょう。

8.おまけ

ここからは筆者の体験談になります。

僕の家は兄弟2人と両親の4人家族です。つまり、男女比が男3:女1となっていてよく男3人でゲームをしています。家族の僕ら男組はゲームが好きで父親がある物を買ってきてくれました。それがこちらです。

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そうです。PlayStationVRです。これを父親が買ってきた時は驚きました。当時、入手困難であったためです。そして、PlayStation VRを色々と遊んでみて1番面白いと思ったものがこちらです。

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このゲームは戦争に戦闘機で参加するゲームなのですが、VRを使うことでまるで自分がコックピットにいるかのようなとても高い没入感に浸れました。
僕が思う、 VRの良いところを1番引き出しているゲームだと思います。

9.終わりに

いかがだったでしょうか?僕の文章力が低いせいか長尺な文章になってしまいました。ここまで読んで下さった方には感謝しかないです。仮想現実はこれから我々の生活により密接に関わってくると思います。その流れについていけるようにこの記事を書いたのですがこの記事で書ききれてないことは沢山あるので是非自分で調べてみてください。

最後に、貴重な時間を割き、お読みくださいましてありがとうございました。

10.参考文献

『広辞苑』第七版 新村出編 岩波書店 2018

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