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# 216-E_中目黒すごすセンター

  • 形式

    • 公開実践

  • 入り時間

    • 2022年2月15日(火)13:00

  • 出演者

  • 概要

    • すごすことを実践してきたアーティストと共に本展企画運営者がすごすことを実践する。


本実践に参加したYukoNexus6によるテキスト(2022年03月20日執筆)

 コロナ以前から持病の鬱がひどく、2年ほど寝たり起きたりを繰り返していたところ2021年の10月後半からは、ようやく寛解の兆しが見えてきたらしい。とりあえず外に出て趣味のジョギングを復活させられるようになってきた。はじめは1kmそこそこからはじめて少しずつ距離を伸ばし、コンスタントに3km走れるようになってきた。それでも毎日の生活には空白が多く、ほとんどの時間をアマゾンやネトフリを見ながら飲酒することで消すしかなかった。

 「B型作業所っていうのがあるんですよ」—旧知のタカハシくんからそう聞いて通ってみる気になり、遅まきながら障害者手帳をとり、目ぼしい作業所に連絡をとって見学に行き、体験通所から契約というところまでこぎつけたのが2022年の年頭だった。

 タカハシくんが上京するというので、これはぜひ会いたいと思い(鬱がひどければ、どんなに親しい人でもこんな気持ちにはなれない)行ってみることにした。天気は良さそうだし、Google Mapで調べたら中目黒のギャラリーまでは信濃町の駅からちょうど5kmぐらいだということがわかった。1月の後半から走る距離を3kmから5kmに伸ばしたところだし、いつもお決まりのコースだと飽きるのでウェアを着て行ってみることにした。

 飯田橋からJRに乗って信濃町下車。南口から神宮外苑、絵画館あたりを青山に抜け、代官山から中目黒に向かう。青山通りの信号の長さに辟易し、歩道がせせこましくて走りづらいけれど、まぁまぁ順調にギャラリーについた。

 これが2月17日の木曜日のこと。2月26日の日曜日には、北千住ブイで飴屋法水さんと倉田翠さん、くるみちゃんのお芝居を見た。ここでは不登校についてのやりとりが印象的だった。不登校の前提には、学校という決められた場所に日々通うという生活がある。私も週に2回だけだがB型作業所に通っている(通うなかで苦手な利用者さんとのコンフリクトがあり、これは学校社会におけるいじめにも匹敵するな、と思う)。タカハシくんの「すごすセンター」は今回ごく短い時間中目黒に存在したわけだけど、人が通うようになったらどうなるのだろうな、と思う。

 タカハシくんとすごすセンターでああでもない、こうでもないとしゃべりあっている時間はリラックスできて、自分が自分であるという感覚がもてた。かつてこの場で行われた催しの記録展示も見るともなく見て興味深かった。島影さんともども「ここに居ていい」場を開いてくれているし、いらした人(石川町のギャラリーオーナーさん)と即席にグループを作って向かいのレストランのランチを食べに行ったのも思いがけなく楽しかった。

 人が通う場というのは、安全が保証されて、その人がその人として存在でき、時間を機嫌良くすごせる場であるべきなのだろう。これを維持するのは実は結構むつかしく運不運にも左右される。学校や企業や福祉や、それぞれにトライしては激しく失敗しているものなぁ。島影さんやタカハシくんが、アイデアと人柄と個人の資質で、いい場を作ってくれたら私はまた行きたいと思う。


2023-01-05_更新


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