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恩送り

【イル・カッフェ・ソスペーゾ】


こんにちは!

昨日休んだせいで今日が何曜日なのかよくわからなくなっているにぼしコーヒー店主です。
#金曜の気がするけど月曜日


今日はちょっと心温まる話です。


今日、とあるお客さんが
次に来店したお客さんのために「コーヒー代+クッキー代」を出してくれました。

(え?なんで?)

と思われたかもしれません。



"恩送り"という言葉を知ってるでしょうか?


アメリカでは”Pay it Forward”(先に支払う)と言ったりします。


"恩返し"は、受けた恩を受けた人に返すという意味で使われる一方で

”恩送り”は、他の誰かに違う形で先贈りして善意を広げていくような行動のことです。


お客さん曰く、
カレー屋に行ったときに

『ラッシーご馳走させてくれませんか?』

と見知らぬお客さんに話しかけられたそうです。


とてもいいことがあったんだけれど、
ひとりなのでこの喜びを一緒に分かち合いたいので
ラッシーをご馳走させてください!と。

そんなことがあってご馳走してもらったので

私も「誰か次に来たお客さんの分のコーヒー代を払いたい」と申し出てくれました。


お客さんからコーヒー一杯分と今日置いてあったクッキー代の代金をお預かりしました。


ええ話やないかい(泣)


次に来店したお客さんはラッキーだなぁ。



イタリアにもそういう文化がある。

イタリアのナポリでは、カフェに入ったとき「il caffè sospeso」とコーヒーをオーダーする。
1杯は自分用に、もう1杯は誰かのために、2杯分の料金を支払う"カフェ・ソスペーゾ"という伝統的な習慣がある。

自分以外の誰かのためのその1杯分のコーヒー代。
ナポリはもともとあまり裕福な街ではなく、貧しい人も多く暮らしている。

コーヒーが飲みたいけれど手持ちのお金がない人がカフェに来たときに
「保留コーヒーはありますか?」と聞いて、
もしあればコーヒーを無料で飲むことができる、という仕組みらしい。
#素敵



しばらくして、お客さんがやってきました。


僕「こんにち‥


「何にするー?」
「ワタシ普通のやつがいい」


.....。



(ふ‥二人組だとぉっ‥?!)


この場合どうすればいいんだぃ。

一人だけご馳走するわけにもいかないし
二人分のコーヒーにはちと足りない。

差額分だけもらう?

‥いやいや、なんかそれソスペーゾの効果が薄れる感じするなぁ。

どうすんのよ。想定外。

ダメだ、支払いの時が来てしまった!

決めなきゃ!



「‥520円ずつですね」



‥結局普通にお代をいただきました。



二人の場合、
どちらか片方にご馳走するともう一人がなんか可哀想じゃないですか。

というわけで一旦見送ることにしました。


次に一人でやってきたお客さんに
今度こそご馳走することにしました。


キャッシュトレイの上にはすでにコーヒーとクッキーの代金が置かれていて

「前のお客さんが代金を支払ってくれています」と
説明しました。

そんなこと言われても理由がわからないと思うので、経緯を説明しました。

そしたらそのお客さんが

「また次の人のコーヒー代に」

とお金を置いてってくれました。
#恩送りからの恩送り


恩送りの連鎖です。


次の人のコーヒー代を待機させながら、
次のお客さんが来店しました。

今度は4人です。
#4人だとぉ !?

またもや一人だけご馳走するわけにもいかないなぁと思い、次の人に回すことにしました。

そして次のお客さんにも経緯を説明して
コーヒー代を支払ってくれていることを伝えると、

「次の人に使ってあげてください」

と言って、
自分の分のコーヒー代を払っていきました。


それならば、、と申し出を受け入れて次の方へ。

次に来店した方にも経緯を話すと

「次の人に置いといてあげてください」

と言ってくれました。
#優しさの連鎖

遠慮するところはとても日本人らしいですね。


恩送りの連鎖はとても素晴らしいんですが

次々と送られすぎて結局コーヒー代は預かったまま、明日に持ち越しになりました。

イタリアのソスペーゾのような習慣が無いせいか、皆さん結構遠慮してしまうようですので
今度井上さんが来た時にでもご馳走してあげましょうか。

恩送り。

先に与えられる余裕のある行動で溢れたら
とても優しい世界になりそうですね。


それではまた!

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