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四天王寺縁起

「戦況は芳しくないな」
 敵の本拠地に勇んで来たものの既に稲城(いなき、稲を積んだ砦)が築かれ、味方は攻めあぐねていた。
 この戦いは何としても勝たねばならなかった、我が国を仏土にするために。これは、この国の人々にとって善きことなのだから。
 敵の矢が味方の兵にまた当たった。兵士たちの士気が次第に落ちてきた。
「まずいことになった‥」
 彼は立ち上がると近くにあった白膠木(ぬるで)を伐って来ると、その場で四天王の像を作り祈り始めた。
「どうか我らに勝利を、勝った暁には必ずや四天王を祀る寺院を建立いたします」
 皇族少年の真摯な姿に感動した兵士たちは気を取り直し応戦し始めた。
 まもなく我が軍の兵の矢が敵の大将に当たった。
 少年の祈りが通じたのだった。
 六年後、彼は誓い通り寺院を建立した。四天王寺である。

#歴創版日本史ワンドロワンライ · 4月25日分、お題:四天王
 四天王寺の建立にまつわる話。結構有名なエピソードですね。



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