見出し画像

スーパールーキー 中野慎詞は30連勝でストップ。連勝記録は更新できなかったが… 超大物の片鱗を見せた青森記念競輪決勝戦レポート

日本競輪選手養成所を早期卒業し、今年1月にデビューした中野慎詞は、デビュー以来負けなしで、地元地区の青森記念競輪に出場。そして、一次予選1着、2次予選1着、準決勝1着で30連勝を達成。そして迎えた決勝戦で優勝すれば、31連勝で、次に出場する共同通信社杯を完全優勝すれば、坂本勉氏が持っているデビューから35連勝の記録に並ぶ! と期待した青森記念競輪決勝戦9月11日。
取材陣は色めき立っていた。
勝つか勝たないか?
一次予選、二次予選は勝つかもしれない、しかし、準決勝では少なくとも一人のS級S班とは当たる。当たって勝つのであれば、実力は本物。更に決勝戦では、S級S班が増え更に勝つことが厳しくなるのは明白。これに勝利する事ができるのか?
勝ったら?負けたら? 
勝ったら快挙であることは間違いないし、負けてもそのコメントは欲しい。
これは月刊競輪WEB編集部でも同じこと。であるから、現場まで来ているのである。

さて、決勝に触れる前に、青森競輪場に触れておこう。
バンクを見渡すと以前の風景と変わっていた。2センターにあったスタンドか消えていたのである。
景色が一変し、空に抜けた景色が、爽やかさを一層増した競輪場に驚いた。
跡地は芝生となっており、この日は仮面ライダーショーを観る親子連れの多くの方々で溢れかえっていた。
ホームスタンド内にもフードコートが新しく設けられており、ここも多くのファンの方々で賑わっていた。
3コーナー裏の広場には3on3のバスケットボールコートが2面あって、子供たちが遊んでいたのだ。さすがに3on3のコートがある競輪場は見たことがない。でも、公営施設であるけれども、スポーツ施設でもあるのでこのような施設があることは、競輪がより身近になる一つの方向性でもあると感じた。

青森バンク。ホームスタンド1コーナー側から2センター方向の写真。あったはずのスタンドがない。
3on3のバスケコート。

では青森記念決勝。
出場選手は1番中野慎詞以下、清水裕友、和田真ク留、三谷将太、新山響平、内藤宣彦、吉田拓矢、椎木尾拓哉、郡司浩平の9選手。
位置取りに色々思惑がでるスタートは先頭員の後ろに清水が入り、三谷、郡司、和田、中野、新山、内藤、吉田、椎木尾で周回。
この時、大方の予想は、中野が前を取るか、7番手かと思われていたと思う。が、5番手の中団に中野ラインは位置し、8番手に吉田がついた。
ここからが勝負の残り2周では吉田が上昇し、中野を抑え、郡司は中野を警戒し、かなり厳しいチェックを入れ牽制、そして中野は後方に下げるタイミングで清水が発進し風をきる展開となった。ここが打鐘。ここが大きなポイントだった。引かされるタイミングで前に駆けられると当然後ろは苦しい展開となる。中野は巻き返して叩きに出るが、新山は離れ、最終1センターで郡司のブロックに遭い、しかしそれでも踏んだが力尽き9着となった。優勝は最終4コーナーで空いた内を伸びた吉田拓矢が優勝。2着和田、3着郡司となった。

スタート前の発走機
スタート直後。位置取りが始まる。
残り4周。中野の前に内藤がいて、中団確保。最新競輪用語でいうと後ろ中団。というらしい。
周回中。残り3周。
先頭員を追い越せない残り2周前。中野を前に出させないように牽制しつつ後方に追いやる。
上手く外々に踏みながら他ラインが中野を牽制。
この時に中野は判断に迷ったのではないかと思う。
7番手に引き切った中野ライン。打鐘前1センター
打鐘前2コーナー。先頭の清水が踏み込んで先行態勢に。
最終ホーム。先行する清水。強引に前に出ようとする中野。
最終1センター。郡司に牽制される中野。
ゴール前。内を抜けてきた吉田。
ゴール
優勝した吉田拓矢。

9月16日から第38回共同通信社杯にも出場する中野慎詞に大注目!

レース後、取材していると、内藤のコメントを聞くことができた。
残り2周、後ろにいた吉田は中野を下げさすのではなく、そのまま上昇し、前を切ると読んでいたらしい。前を切ったらそのまま先行態勢に入るというもの。
しかし現実は中野は抑えられて引かされて、前に発進されてしまうという状態になってしまった。
この一連の流れが中野のレース後のコメントに出ているのではないかと思う。
中野本人は、前取って突っ張っても、後ろからかましてもと思っていたようだが、作戦通りとは行かなかったようだ。
また、みすみす31連勝なんてさせてやるものかとS級S班のプライドもあったはずであるし、そう簡単に物事は上手く行かないから「競輪は人生だ」とも例えられるのだろう。
しかし、「中野は強い。」これは真実であることは間違いない。
SSが3人掛かりで中野を警戒したし、また警戒させるのはそれだけ大物という証しでもある。
16日からスタートする共同通信社杯でも大暴れすることは間違いない。是非、注目してほしい。

それにしてもコロナ禍もあってA3開催、A級1,2班開催、FI開催は7車立てで連勝し、今回の記念競輪で初の9車立てレースになって、その4回目にして記念決勝を走って、S級S班3選手に相当警戒される超ド級の先行選手はかつていなかったと思う。今から中野慎詞をしっかり覚えてほしい。
競輪ライフにまた一つ話題が増えたと感じるだろう。

中野慎詞

中野レース後コメント
「力だけでは勝負できないというのとS級の壁というのを感じたレースだったかなと思います。(反省点は?)吉田さんが来たタイミングで、自分が、早く引くのか、それとも行くのかというところでしたけど、作戦とはちょっと違う展開で、上手く自分も判断出来なかったのが反省点だったと思います。(次は共同通信社杯ですが)共同通信社杯も今回と変わらず、まだデビューしたばかりで挑む気持ちでドンドン挑戦して行きたいと思います」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?