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愛知県瀬戸市

皆さんは、旅行しようとなった時、入念に準備する方でしょうか。
それとも、気ままに動く方でしょうか。

僕は完全なる後者で、日帰りであればほとんど下調べをせずに取り敢えず動きます。思い付きで行動するので高確率で思い通りにはいかないんですが、それも醍醐味だと思えるタイプです。

この記事は、そんな人間が思い付きで愛知県瀬戸市に行ってきた日記です。

瀬戸市といえば、「瀬戸物」という言葉に代表されるように「焼き物の街」というイメージがあります。逆に言えばそれ以外のイメージは無いです。無いので、他に何があるのか気になってここにしました。
極端な話、行ったことの無い街であればどこでも良かったんですが。

瀬戸焼


一人で車を走らせることしばし、「瀬戸市」の看板が見えました。

時刻は12時前。
事前に調べたラーメン屋には行列が出来ていたので、向かいの流行ってなさそうなラーメン屋に入りました。

しっかり調べる人なら、その店に行列が出来るかどうかまで調べるんだろうな

「魚介につき」の意味が全然分からなかった

メニューの一番目立つ位置にあった、「魚介豚骨」を注文。
本命の店に入れなかったので、しょっぱかったことしか覚えていません。

今度のマリオは、床屋さんだ~

しょっぱいラーメンで腹を満たすと、瀬戸市の市街地に向けて車を走らせます。
目的は、事前に調べた際に気になっていた「招き猫ミュージアム」。焼き物の街というだけあって、招き猫の製造も盛んのようです。館内を埋め尽くす招き猫を楽しみにしながら市街地に向かっていると、何やら様子がおかしいことに気付きました。

ん?

違和感を感じながらも進むと、これ以上進めなくなってしまいました。Googleナビの示す道が塞がれていたのです。

ガバガバな下調べではヒットしなかった情報ですが、なんと瀬戸市では9月9日(土)と10日(日)にかけて「せともの祭」なる催しが行われているようでした。

これではまるで「せともの祭」を目当てにやって来た、ちゃんとした観光客のようです。本当は何も考えてないのに。

その催しにより交通規制が行われており、当初散策を予定していた市街地に車で近寄れないという事態が発生。
急遽、知らない墓地などを横目に見ながらやみくもに迂回します。

ちなみにそのまま混雑している市街地に突っ込むという選択肢はありません。人込みが大嫌いだから

交通規制を避けるように、フラフラ運転すること20分。

ここどこ?

かなり市街地から離れた場所に来てしまったようです。
招き猫ミュージアムをはじめ、市街地付近に何があるかは下調べしましたが、市街地以外に何があるかは全く分かりません。

体勢を整えるためにコンビニに停車。
付近を検索すると、道の駅があることを知りました。

道の駅なら、「焼き物以外の瀬戸市を知る」という当初の目的を達成できるかもしれません。これ幸いと道の駅を目指していると、程なくしてそれらしき建物が見えました。

しかし、そこには「臨時駐車場」という文字がありました。臨時駐車場?と疑問を抱くより早く、道の駅の普段は駐車場であろう場所で何が行われているかを認識しました。

それは、せともの祭でした。

本当は瀬戸市の素の姿を楽しみたかったのですが、会場はすっかり『イベントの空気』に包まれています。駐車場だった場所は老若男女でごった返しており、屋台のいい匂いがあちこちから漂ってきました。

巧妙に逃げ道を塞がれた僕は、いったん当初の目的を諦め、せともの祭を楽しむことにしました。
座右の銘は「que será, será」です。


臨時駐車場に車を停めると、その近くでキャンピングカーの展示をやっており、ふらりと足を踏み入れました。

キャンプなど一度もやったことのない人間が見たところで何も分かりませんでしたが、キャンピングカーがめちゃくちゃ高いことは分かりました。

国家予算じゃん

展示会場を後にすると、アウトレット市が開かれているのを見つけました。
愛知県内はもちろん、県外からも多く出店されているようです。

焼き物はもちろん、カバンや傘、衣服なども幅広く出店されていました。
ただこういう出店形式はたいてい店主が睨みを利かせているので、足を止めてじっくり見るのが憚られます。どうせ買わないから余計に。

歩を進めると、瀬戸物と思われる陶器がコンテナに入れて売られているゾーンを見つけました。

陶器ってこんな、怪しい桃の路上販売みたいな売り方していいんですか?
どこまでが「大きい物」なのか分からなくて怖い

結果、アウトレット市で、最も購買意欲をそそられたのがこれです。
ちょっと気になる。


アウトレット会場を後にして、普段は駐車場である場所に向かうと、猿芸をやっていました。

十兵衛くんの酷使がえぐい

あと、道の駅で普通に野菜が安く売っていたので買いました。
全然地元じゃない野菜が110円とかで売っていて、そんなことしていいの?と思いました。

ケバブ屋さんの裏。悪夢みたいで怖い


小腹が空いたタイミングで、「名物 瀬戸焼そば」の文字を発見。
デフォルトの瀬戸焼そばと、デフォルトにマヨネーズをかけた「スペシャル」みたいな名前の焼そばが売っていたので、スペシャルを頼みました。

スペシャル

まずい。

カップ焼きそばを作った時に、味変としてマヨネーズ入れて後悔した記憶を思い出しました。焼きそばにマヨネーズかけちゃ駄目なんだって。もっと早く思い出せ。
「しょうゆ味」「豚肉のだしが決め手」みたいなことが幟に書いてありましたが、マヨネーズの妨害でそれどころではなかったです。

そんなスペシャルに苦戦していると、ここで更なるハプニングが。

突然の豪雨。

パラソルの下にいても濡れるほどの豪雨が突如として襲来し、避難を余儀なくされました。しかも最悪なことに傘を持っていません。当然です。無計画なのだから。

そのまま屋根続きにあった「品野陶磁器センター」に逃げ込むように入りました。

あとこの辺でカメラの電池も切れました。充電しとけ。

眼に飛び込んでくるのは、陶器、陶器、アンド陶器。

瀬戸市の、しかも「せともの祭」に来ておいてこんなことを言う方が間違っているのは百も承知なのですが、もう陶器はお腹いっぱいでした。
しかし豪雨は降りやまず、しばらく「品野陶磁器センター」から出られない状況になってしまいました。

それはそうと、周囲360°に陶器があるのはなかなか緊張するものです。
下手に動いたら何が起きるか分かりません。

そう思う一方で、今この動画みたいなことしたらどうなるんだろうなと下らないことを考えていました。

あと、これは陶磁器センターにあった奇跡です。

狙ってやってたらすごい


そうこうしていたら雨が小降りになったので、併設されていたコンビニでビニール傘を購入し、道の駅を後にしました。

問題はこの後どこに行くかです。
市街地はお祭りでごった返しており、交通規制がかかっています。
ただ市街地以外の場所に何があるか知らないし、おそらく市街地以外には何もありません。

さすがに市街地から離れすぎていたので、市街地方面に向けて移動することにしました。もしかしたら、穴場のパーキングがあるかもしれない。

車を走らせること約7分。
一方通行の狭い道を抜けると、広めの駐車場に辿り着きました。看板には「洞町(ほらまち) 窯垣(かまがき)の小径(こみち)」と書かれています。←ルビ多すぎ

説明書きを読む。

なるほどわからん。

地図を見ると、駐車場の上方に資料館があるようです。取り敢えずそこを目的に歩いてみることにします。

資料館は15時まで。今の時刻は14時半。かなりギリギリです。

しかし、「窯垣の小径」などと小洒落た名前をしていますが、所詮普通の道・・・

ん?

こ、これは・・・

壁面に窯道具が埋まっている!

よく見ると反対側にも。

これはすごい。

目の当たりにして、やっと説明板の意味が分かりました。

窯垣」とは、「使わなくなった窯道具で作った堀や壁」の総称だったのです(最初からそう言っている)。

そうこうしているうちに、「窯垣の小径資料館」に到着しました。
受付も何も無い古い家屋に恐る恐る入ると、「どうぞ」というおばさんの声が聞こえてきました。姿は見えませんが、ここの管理人のようです。

資料館の中には、古い陶器や窯道具などが展示されていました。
ここ洞町は瀬戸市の中でも焼き物の主力生産地だったらしく、資料館の周りには窯元の住居が密集していたそうです。

館内を一巡して出ていこうとすると、先ほどの声の主(管理人のおばさん)が姿を見せて言いました。
「せともの祭の帰りですか?」

僕は答えました。
「実は、今日お祭りがあるって知らなくて」

「まあ」

まあと言われてしまった。そりゃそうだ。
管理人のおばさんは閉館間際に来たにもかかわらず、色々と説明してくれました。パンフレットも貰いました。おばさんありがとうございます。

窯垣は先述の通り使用しなくなった窯道具を使った壁面なのですが、この風景は全国でも瀬戸でしか見ることのできない、大変貴重なものだそうです。本当に偶然なのですが、良いものを見せてもらいました。

これ綺麗すぎる


時刻は15時。
「窯垣の小径」を後にして、市街地周辺を目指します。
しかし、案の定大混雑で、近寄ることができません。

避難するようにコンビニの駐車場に停車して、作戦を練り直します。
市街地以外にも、何か見るところが無いか。
無ければ帰宅。これが行き当たりばったり旅の醍醐味。

繰り返しになりますが、人込みが大嫌いなので市街地に突っ込むという選択肢はありません

Googleマップを眺めていると、ふと、あることに気が付きました。

公園が多すぎないか?

気味が悪いほどの公園、そして広場。
好奇心を駆り立てられた僕は、適当な場所に車を停めて、謎の公園群を見に行くことにしました。


雨はすでに上がっており、閉じた傘と共に歩を進めます。
並木道を抜けると、団地が屹立しているのが見えました。道路には大量の路駐。せともの祭は、夜に花火大会があるそうです。おそらく、外から来た人間が停めているのでしょう。

一番最寄りの公園「萩山台2丁目Ⅱちびっこ広場」を目指し、住宅街を歩きます。広場が多すぎて名前に「Ⅱ」入ってるの面白い。

時計として完全に戦力外になったミッフィー

歩くこと10分。
目的地に到着しました。

滑り台が一つに、ブランコが一つ。
なんの変哲もない公園に見えます。

が・・・

何やら見慣れないものを発見。
白い石で出来た、簡素な、円柱状の何か。椅子?

座面に何か書いてあります。

「らくらく筋力トレーニング」

なんで?

なんで筋トレ器具が、ちびっこ広場に?

よく見ると、ブランコの前にも見慣れないY字状の器具があることに気付きました。看板があります。

ガッツリ筋トレだ。

すると、他の広場にも。

一見、ばねでビヨンビヨンするパンダのやつみたいですが、ばねは無いしフォルムが無骨すぎます。看板を見ると、

また筋トレ。

おじさんの顔が集中的に汚されているのは、子どものしわざでしょう。

さらに別の広場にも。

石板のようなものに穴が開いていて、黒い部分は可動式になっています。さらには、石板の前に簡易的な椅子。当たり前のように設置されている看板を見ると、

座位体前屈測定。

公園で?

さらに、ここにはもう一つありました。

バランス円盤です。

だんだん、疑問もいだかずに筋トレ器具にいそしんでいる「利用方法」のおじさんに腹が立ってきました。

僕が子供なら、遊びに来た公園でおじさんがバランス円盤をしていたら、二度と行かなくなると思います。怖いから。

どうやら、萩山台(はぎやまだい)という地区一帯には6か所のちびっこ広場が点在していて、それぞれに「健康遊具」という名前の筋トレ器具が設置されているようです。

いずれの広場にも、マップが設置されていました。

一番最初の公園にあった貝柱みたいなアレは、スツールという名前があるそうです。座らせるしか能がないくせに、生意気な。

誰が言い出したのかは定かでないですが、萩山台の住民を少しでもムキムキにしてやろうという瀬戸市の思いやりかもしれませんね。

ちなみにぶらぶらストレッチは70万円するそうです。
たっっっっっっっっっっっか!!!


筋トレ広場の実情は分かりましたが、一応他の公園も見てみます。
気になるのは、「萩山北公園」「萩山南公園」のように、ちゃんとした名前が与えられていない「公園」があることです。

まず、萩山南公園から。
今までの狭苦しいちびっこ広場と違って、萩山の名前が与えられているからには良い公園なんでしょう。

え?

何も無い。

正確には奥の方にブランコと小さい四阿がありますが、滑り台と筋トレ器具があったちびっこ広場に、遊具の数で負けています。

広さにあぐらをかいて、努力を怠っているのでしょうか。萩山の住民でもないのに、萩山の名を冠していることに憤りを覚えます。なんだお前は。

次に、名も無い「公園」に向かいます。

近付くにつれ、名前が与えられていない理由がなんとなく分かってきました。この公園は、団地の敷地内だったのです。
構わず踏み入ります。

すると、一つの「公園」が見えてきました。階段を上ると・・・

草。

名も無き「公園」の入り口は草が生い茂っていて、しばらく管理がされていないようでした。

もっさぁ

子供たちが日常的にここで遊んでいるとは思えませんでした。遊具の数は引けを取らないのに、もったいない。ジャングルジムのある公園初めて見たぞ。

他の「公園」も何ヶ所か見て回りましたが、ここまでではないにしろ寂れた様子でした。団地の住民以外が遊びに来ることもないのでしょう。

散々「団地」と呼んできましたが、実はここいら一帯は「県営住宅」にあたるようです。
そのため、敷地内の公園にはわざわざ名前が与えられていないのだろうと思います。じゃあGoogleマップに逐一登録されてるのも変だろ、と思わなくもないけど。

外国語で書かれた看板もあったので、外国人の方が多く住んでいるのかもしれません。

あと普通に猫いた。

かわいいね


こんなに楽しそうなのに…


県営住宅でこれやる勇気すごない?


今まで公園と呼んでいいものか怪しい公園ばかり見てきましたが、最後に「萩山北公園」を見てから帰ることにしました。
「萩山北公園」は、地図を見るに萩山地区で最も大きい公園のようです。期待値が上がります。

入口にぶら下がっていたチェーンを跨いで侵入。
しばらく歩くと、看板が見えてきました。

おお!!!!!!!

公園だ!!!!!!!

遊具の数、広さ、どれをとっても公園そのものです。やや夏草は伸びていますが、管理の範囲内でしょう。なんと言ってもトイレがある

雨上がりでさえなければ、ブランコの一つでも漕いで帰るところなのですが。

さらに奥に進むと・・・

野球の出来そうな、広大なグラウンドがありました。
隙が無い。

あるとすれば、「ゲートボール場」と看板の立っていた場所が荒れ果てていたぐらいですが、そもそもこの公園かなりアクセスが悪いので、お年寄りの方には萩山南公園をオススメします。あそこ何も無いし。


以上、愛知県瀬戸市の旅行記でした。

皆さんも、「焼き物と公園のまち」瀬戸市に遊びに来てみてはいかがでしょうか。


近すぎるだろ!!!!!