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子どもの発達段階サポート術を知ろう

この記事は令和5年6月3日に駅前子育て広場の育児講座にて講演をさせていただいた内容です。難しい言葉や内容が分かりにくいことがあると思います振り返りとして読んでいただけたら幸いです。

はじめに

  • 理学療法士として10年目

  • 小学1年と年中の男の子が2人

  • 整形外科のクリニックで9年務めた

  • 今年度から児童発達支援センターで訪問支援員として働く

  • 0歳から1歳のお子さんと直接リハビリで関わることはなかった

講演会のポイント
まずはどのような発達をたどっていくのか簡単に目安を知っておくことが大事だと思います。今自分の子供がどのあたりにいるのか、次はどんなことができるようになるのか知ることでいろんな対策が打てるようになります。
子供と接していく中で、子供をよく見ることも大切だと思います。商業柄、観察をしてしまうのですが、子供の今を把握するためには必要なことだと感じています。観察のポイントなどが伝えられたらいいなと思います。
発達段階を知って、観察の仕方を知ったうえでお子さんとの関わり方を知るとより深いものとなるでしょう。そんな講演会にしたいと思います。

発達の目安

こちらの目安はあくまでも目安ですので、必ずその時期にできないといけないとはとらえずに、発達段階を順におえているか確認してみてください。あまりにも遅れている場合などは相談することをおすすめします。
今回は全身の運動に着目して話を進めたいと思います。

新生児~3ヶ月

新生児から3ヵ月の時期で大事なポイントは

  1. 生理的屈曲姿勢:いわゆる丸まっている姿勢です。子宮の中で過ごしていた姿勢と同じなので抱っこの時などに丸まるようにすると落ち着くことが多いです。

  2. 頭の位置の調節:首のすわりに重要、頭の位置が安定することでこれから動きが大きくなっていく中で非常に重要になる。

  3. 真ん中の獲得:頭の位置の真ん中、体の真ん中ができることでいろんな遊びの幅や運動の幅が増えていきます。

子宮の中にいるときは羊水に守られていて、赤ちゃんにとっては安心した環境です。そこから、まったく異なるたくさんの刺激がある世界へでてきます。特に重力は羊水の中で浮かんでいた赤ちゃんにとっては、ものすごい刺激です。その重力から自分の身を守るために生理的屈曲姿勢をとるようになっています。これは生まれながらにして持っている能力です。まだ自分の体をしっかり安定させることができない赤ちゃんは丸めることで、体のいろんなところを固めて安定させようとします。そうすることで、呼吸や吸てつ(ミルクを飲むための口・下の動き)、嚥下(飲み込む力)など生きるための力を発達させます。

重力で伸びたり丸まる姿勢を繰り返すことで姿勢や頭と体の位置関係のコントロールができるようになります。またうつ伏せを経験することで、頭の位置の調節ができる様になり、丸まる動きと伸ばす動きをどちらも経験することによって、真ん中を獲得できるようになります。
生理的屈曲姿勢がいかに大事かがわかりますね。

実際にお子さんの姿をみて観察するポイントをお伝えします。
あおむけに寝せている時に生理的屈曲姿勢を取ろうとしている時はどんな動きをしているか...
頭を床に押し付けているか、お尻と足を持ち上げれているか、キックするような動きがみられるかを見てみてください。
うつ伏せにして首を上げた時に見るポイントは、頭を持ち上げているか、腕で体を支えているか、お尻が床に落ちているかを見てあげてください。

お膝曲げ伸ばし

ぷかぷかおもちゃ


このときに、おもちゃの存在に気付いているか確認してください。目で追っているのか、音に反応しているかなど

うつぶせあそび

4ヶ月~6ヶ月

4~6ヶ月で大事なポイントは

  1. 対称的運動:左右おんなじ動き

  2. ランドー反応:全身がピーンと伸びるような反応、頭・体・足の連結に重要

ランドー反応(5~6ヶ月の発達)はこれから立ったり、歩いたりするために非常に重要になってきます。そのこともあり、この時期は移動手段を獲得するための準備期間でもあります。

この時期は寝返りやお座りができるようになる時期でもあります。今まで以上に足を大きく持ち上げたり、体のひねりがでたり、いろんな姿勢を経験します。まだ足・骨盤周りの発達は十分ではないので手を使ったお座りなどが見られます。
これまで頭と体の動きを作りながら体を安定させてきましたが、この時期の後半5~6ヶ月は足及び骨盤の運動を発達させる期間です。
この期間を過ぎると全身で動いていた姿から、足だけを自由に動かしたり様々な動きができる様になります。

寝返りレッスン

ボール(おもちゃ)くるくる

ちゃんと目で追っかけているか確認できるといいですね。おもちゃなどお子さんが興味を持ちやすいものでも大丈夫ですよ。

ゆらゆら、ゆりかご

7ヶ月~9ヶ月

7~9ヶ月は体が全体的に丸くなるような姿勢が多くなっていた所からランドー反応を経て、体を伸ばしていく活動が優位になっていく時期です。そうすることで体の真ん中を中心とした捻りの動きや骨盤や肩甲骨周り中心に近いところの安定、また足の様々な運動が発達します。

これから立って歩くためには、足をダイナミックに振り出すための骨盤の動きや地面に固定された足を安定させながら体重を移動させる運動を伴った動きが必要となります。歩くためにはこんな複雑なことを獲得しないといけません。そのための準備のために

ハイハイなどを経験することで手や膝、末梢と呼ばれるところに体重を乗せる経験をたくさん増やします。この四つ這いやハイハイの姿勢は後々、学童期に大きく影響がでるところではないかと考えています。具体的には走り方が気になったり、座っている立っている時の姿勢が崩れていたりなど様々なことが起こります。
ハイハイはたくさん経験させてあげてください。

お膝のお山に立てるかな?


ハイハイ宝探し


10ヶ月~1歳


10ヶ月~1歳の時期は

  1. 重力に対抗する力

  2. 手を自由に使う力

2つの力を発達させるために、それぞれの部位が選択的に動き、座ったり寝ている時とは比べ物にならないくらい狭い支えの中で動き、また体が倒れないように体の筋肉を上手に使って耐え、バランスを取ろうとしている。

まだ重力に対抗して上手に重心を高い位置に維持できない、そのため支えなしでは立てない状態です。バランスがまだ未熟なので手を肩あたりから上にあげることでバランスをとっているいます。ただこのような経験を続けることで体全体の連結を強め、バランス反応が発達し一人で立ち、上手に歩けるようになります。バランスが発達するにつれて手の位置はだんだん下がってきます。

時には失敗も繰り返し、何度も何度も反復経験することで歩くという移動手段を獲得していきます。

自由な遊びの中で

これぐらいの時期になると活発に動き回るお子さんが多くなってくると思います。まずはたくさん遊んでたくさん経験をすることでよりよい発達が促されると思います。
そのためには、遊びを知っていることが必要です。よくありがちなことが、こちら側が遊びの環境や遊び方を設定しすぎていることがあります。それは本当に遊びなのでしょうか?
遊びとは自由・空間・非生産・ルール・虚構的と書いてありますが、大事なのは遊ぶ子供たちが強制されない活動で、一見意味がないような非生産的なもの、そして日常から切り離されいる非日常的なものです。何その遊びって思ってしまうものに実は子供たちにとっては意味があるのかもしれません。

公園などに行って、いろんな遊びの中でたくさん体を動かしてたくさん経験をさせてあげましょう。ルールの中で自由な遊びを危険のない範囲で見守ってみましょう。

おわりに

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