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謎解きの全国大会に参加したら地上波に映って日本一になった話 その1

はじめまして。けーおんと申します。まずは簡単に自己紹介を。

現在は東京・日本橋にある謎解きカフェ・サニサニーピクニックで働きながらちょこちょこと謎を作っています。

また、謎解きゲーム制作団体の零狐春に所属しており、
最近では『謎解き王トーナメント2020』というイベントで『OUTLAW』というブロックを共同制作したり、決勝生放送の司会進行を行ったりしました。

 謎解き歴は約8年。
初めて「謎解きイベント」というものに触れたのは、
友人がアルバイトをしていたというきっかけで遊んだ『伝説のゲームセンターからの脱出』でした。
もともと『IQサプリ』などのひらめきコンテンツが好きだったこともあり、一気に謎解きにのめりこみ、その勢いのまま零狐春に加入し今に至ります。

 そんな私ですが、今回、『謎解き日本一決定戦X2022』という番組にて、
まさかの”優勝”という栄冠を授かってしまったので、
優勝に至るまでの経緯や、収録中の思考、裏側などを、思い出せる限りの範囲で何パートかに分けて書いていこうと思います。
拙い文章になるかと思いますが、どうぞお付き合いいただければ幸いです。


※注意※

このnoteには『謎解き日本一決定戦X2022』のネタバレが大いに含まれます。

番組を視聴してからの閲覧を”強く”推奨します。

4月末ぐらいまでならTVerで見られるので是非見ましょう!!

最終予選はこちらから!

決勝大会はこちらから!


また、このnoteは『謎解き日本一決定戦X2022』の予選から決勝までに起こったことや、その際の心境などを時系列に垂れ流すだけのnoteです。まとまりがない文章になりますが、ご了承ください。


ペア結成~3次予選


それはちょうど『謎解き王トーナメント2020』の生放送終了直後、小規模な打ち上げを行っている最中でした。
(※補足:”2020”と冠しておきながら2021年の12月19日に決勝が行われました。2020とは?)

松丸君率いる会社・RIDDLERの社員一同が、自社イベントとバッティングしてしまったために謎解き王トーナメントに参加できなかったことを嘆きながらTwitterを見ると、なんと『謎解き日本一決定戦X』の告知がされているではありませんか。

謎解き王トーナメントも「日本一謎が解ける王」を決める戦いと銘打っていますが、そこに運営の零狐春のメンバーは当然参加していません。
そう、零狐春のメンバーは常に「自分たちが真の謎解き王」という思いを抱きながら過ごしているのです。当然、僕も参加しないわけにはいきません。ペア戦ということなので、打ち上げで目の前にいた無策師に一緒の参加を打診しました。無策師は二つ返事で了承してくれました。

驚くほどあっさりと決まってしまったペア。恐らく今回の『X』全参加者におけるペア成立RTAでもかなり上位に来るスピードでしょう。
しかし、最速レベルでペアを結成したこの時には既に、このペアなら勝てるだろうという算段は立っていました。

僕も無策師もコンスタントに謎解きをこなせる強みを持っている中、
一枚で完結する謎解きに関しては僕がやや優勢。
一方、無策師は全体構造や大謎に関わりそうなわずかな違和感などに気づく力において僕より優れています。
二人がお互いの良い面を出せれば、自ずと結果は出せるはずというのは、お互いわかっていました。


登場人物紹介

けーおん:僕。謎が解ける。

無策師:天才。謎がめちゃくちゃ作れて、めちゃくちゃ解ける。


さて、そんなこんなで結成されたけーおん・無策師ペア。
1次予選の別解に気づかない、2次予選でお札の裏を読み取らずに勘で解いてしまうなどのトラブルを抱えつつも無事にクリアし、いよいよ1つめの大きな関門である3次予選がやってきました。

3次予選はこれまでの「期日までにクリアすればOK」という形式でなく、早くクリアした上位100名のみが通過できる狭き門。一気に大幅に削られる難関予選です。それぞれが解いていましたが……

「このままでは”クリア”にならないのに、どうしたらいいのかさっぱりわからん!!!」

そう、なにかしらあることまで掴んでいるのに、そこを打破する方法が全く分からなかったのです。思わず無策師にLINEしてみると、

「私はクリアしてますよ」

力の差を見せつけられてしまいました。しかし、後で訊いてみると、最初にTwitterへのクリア画像ツイートの方法がわからず探し回っていたらクリアしたとのこと。なんじゃそりゃ。

こうして、無策師は「強運」という新たなスキルを手に入れ、無事に最終予選進出を決めたのでした。

一方追加予選は、既に最終予選が決まっているのもあり、ゆっくり解いたら16分かかりました。25人ボーダーが6分ぐらいだったはずなのでいかに余裕こいていたのかがわかりますね。
6分で埋まるのも怖すぎるんですけども。          


最終予選


2/19、最終予選の日。125組から上位組が決まるという大事な予選の前に、僕と無策師を含む友達10人で『ときどき熊が襲いかかってくる無人島からの脱出』を楽しんだ後、その会場付近の会議室にて待機していました。

熊とダブルハートを作る無策師

急いで移動したのに関わらず、なかなか始まらない最終予選。
無策師はZOOMの顔認証機能を使って、顔写真やイラストがどれくらいの距離まで顔として認証されるかという遊びを延々と行っていました。
お札が強かった。

このように皆がZoomで大喜利していたこの待ち時間の間に、
裏で僕と無策師でいくつか作戦というか心構えを決めていました。

・どちらかが自信を持った答えを信じる

・そのせいで誤答、敗退となっても責めない

(ここまで来ただけで偉いので)

・勝負できる材料が揃ったと思ったら、即勝負に出る


当然のことのように思えますが、お互いがお互いの謎解き能力を認め、
信じているからこそ立てられたものだと思います。


そんな中、ついに最終予選が開幕。

1stステージは3問の謎に答えられた数と時間の上位50チームが抜けるというもの。

このルールを聞いた時には既に、「5分間で3問」ということから、
純粋な3問のタイムで125から50に絞るわけがないと思い、
「1問に複数の答えがあるだろう」というアタリはつけていました。

僕は上から、無策師は下から解き始め、僕が1問目に2つの答えを見つけてから2問目の片方の答えを発見。
無策師はいったん3問目を捨て、2問目のもう片方の答えを見つけてくれました。
しかし、3問目では片方の答えしか見つけられず、制限時間も迫ってきている中、タイムによる順位付けも加味して苦渋の送信。
結果として5分いっぱいよりやや早いタイミングでの5ポイント獲得となりました。

「ワンチャン落ちたわ……」と早くもお通夜ムードになる我がチーム。
6個完答で50チーム埋まるとはあまり思っていませんでしたが、5個のタイムで決まる可能性は存分に考えられました。
祈りながら放送を見ていると、ボーダーは4点。助かった……。
結果的には37位ぐらいだったと思います。正直、ここで一回死んだと思ったのでその先の最終予選は気楽に戦えたと思います。


最終予選第2ステージは動画謎早解き。
徐々に表れる画像からいち早く謎を解いていくというものです。
どういった謎が出てくるか掴みかねていると、
「解答は3回まで」というアナウンスが。
なるほどつまり2回までならノーペナルティで答えられるので、答えの候補の目安がついた段階で送信していいということです。

第1問。「1213が表す都道府県は?」が見えた瞬間に
「一旦”とっとり”送ります」と反応する僕。
結果的にこの謎が正解だったことで、答えの文字構成から答えを想像するのがこの謎の本質なのかな?と気づきました。

2問目。「カバ!」「違う、どっちもハ行だからヘビやんけ!!!!」
3問目。「これはね、フラフープ。」「待って、送信ボタンが反応しない!」
といろいろありながらもさくさく解き、
なんと2位通過を果たします!
Zoomでの挙動もだんだんとうるさくなってきて、エンジンは完全に温まっています。

うるさい奴ら

そしていよいよ第3ステージ。先着8枠のチケットの奪い合いです。
手前味噌ですが『謎解き王トーナメント2019』の準決勝、『GOLDEN TICKET』を思い出しますね。

「日本語で表記される、それぞれ番号の違う3桁の数字が8つある」というルールを聞いている間に、それぞれの桁ごとに2通りの埋め方が存在し、2×2×2となるだろうと思い、候補は絞っていました。

例えば、「さん」と「よん」は2文字目が共通しているので候補となるのですが、百の位に来ると、日本語表記が「さん”び”ゃく」と「よん”ひ”ゃく」というように、濁点の有無が生まれてしまうので、百の位に3と4の分岐が来る可能性は低いだろう、とか、

「いち」と「はち」の分岐について、「いち」が百の位や十の位に来ることはないので一の位に確定するが、「なな」のことを「しち」と呼びうる為、わずかにでも勘違いが起こりうることを、最終予選の最終ステージの一発即失格というルールで果たして出すのか?という考えのもと、
1と8は出ないだろうというところまで考え、

233,234,243,244,533,534,543,544の8通りの数字を既に出していました。

25チームから8チームという短期決戦が予測されるステージ。
順に提示される4問の謎を解かずとも3桁の数字を入力さえしてしまえば突破できます。

初っ端から先ほど出した数字を提出してしまうか……?

と思いましたが、やはり謎を解いて情報を見ないと怖いという結論に。
いざ第3ステージが開始すると……

「日本語の文字数が10文字しかない!!?」

そうです、先ほど出した8つの数字は「に/ご ひゃく さん/よん じゅう さん/よん」と、日本語で表すと11文字だったのです。
というのも、ルール説明の際に出ていた時は11文字だったので、その情報をベースに考えてしまっていました。
パニックに陥る我々。
とりあえず謎を解いて情報を集めようとし、1文字あれば確定できる状態だったのにも関わらず、その後の問題も取り掛かろうとしてしまいます。

「クリア者が出ました!」という声が画面内から響き渡ったその瞬間、我に返りました。
違う、もう確定しているはずだ。
10文字で「ん」の位置が6文字目だと判明しているなら、数のパターンは
「に/ご ひゃく さん/よん じゅう に/ご」しかない。
蓋を開けてみれば先ほどの推理はほぼ完璧に当たっており、最後の文字を変えればいいだけでした。
パニックになる必要なんて微塵もないのに、プレッシャーというのは怖いですね。

当時の我々はそこまで完全に頭は回り切っておらず、「もう行くしかない!」と覚悟を決めていました。
勝負できる材料が揃ってると思ったら勝負に行く。間違えても恨みっこなし。最終予選前に決めた心構えです。
ぽつぽつとクリアが出始め、特に前半が何個か埋まっている状況の中、
想定しうる8つの中で百の位の変わり目となる5番目に小さい数字、
532
を入力し、祈るように送信すると……

「最終予選突破」

の文字が。予選突破です!滅茶苦茶ハイタッチしました。両手ハイタッチです。結果としては5位での通過となりました。

最高にうれしい画像

その後、借りていたレンタルスペースの鍵が仕舞えなくなるトラブルに見舞われたり、一緒に『ときどき熊』に参加し、こちらも最終予選に進出して惜しくもベスト25で敗退となった友人と簡単な壮行会を開いたりして、当日に向けて士気を高めました。

いざ、地上波!!


決勝大会編 前編へ続く


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