まるで昔の古傷がうずく様に、私の内に秘めたインテリジェンスの燃え上がりを感じる時節がある。その時節こそ、目下到来せんとする受験シーズンである。「あの時こそが、私が誰よりも一等に輝いていた最終到着地点(パラロキシミテ)に他ならない」と、のちに本田はそう述懐している。彼がなぜ一等に輝いていたかと言えば、それは彼が受験した大学に全て合格したからである。 中高男子校に六年間通っていた私は、可憐な乙女との会話なぞ一切したことがなく、ましてやそんな乙女たちと手をつないだり接吻を交わ
私はとある夜に渋谷へ向かった。ナンパする為では決してなく、高校以来の友人と会う為にである。ハチ公前とモヤイ像前を繋ぐ通路付近で、私は友を待った。 そこにはちょうど人一人が写る程度の細長い鏡のていをなしたガラスがあり、私はそこで日課である髪型チェックをしていた。人にナルシストであると悟られないようにしながら視線を鏡に向けることは思いのほか困難を極める。私は分別のあるナルシストであった。 そのガラスの横にはスーツ姿の女子学生が一人立っていた。就活生なのか、既に社会人なの
最寄り駅のキオスクに小動物系の、どの動物かと言えばリスっぽい乙女(以下、リス子さんと記す)がいるのだが、そのリス子さん、リスっぽくて可愛らしいというのは勿論のこと、接客のサービス精神が逸しているのである、常軌を。 キオスクに来店するお客に対して癒しの笑顔を惜し気なく振り撒きながら、プリンのような物腰の柔らかさから「今日も一日頑張ってください(おんぷ)」と非言語メッセージを伝えてくる(私の恣意的解釈であるが、そういう陰翳があるのである)かのリス子さんは、陰りある接客業界をその
私には、かねてからの疑問がある。それは、「女性が男性に頭をポンポンとタッチされると漏れなく胸キュンしてしまう」といった不可解な現象である。 この現象は統計学的観点からも実証されていることであるが、実際に私は合コンの場で、とある女性に質問してみた。女性は頭をポンポンされると胸がキュンキュンしてしまうのか、と。彼女は瞳を輝かせながら、それは勿論。その日を境にその人を意識してしまうかもしれませんわ、とだけ答えた。私は慄然とした。 いや、彼女が括弧付きで(ただし、好意を抱いて
男女のコミュニケーションにおいて、僕が長年、最も不可解極まりなく、理解に苦しみ、並々ならぬ義憤を感じているものがある。それは、男性が「ブス(笑)」と女性に言い、女性が「もう~ブスじゃないし(笑)」と返すじゃれ合いである。この男女のキャッチボールを100%肯定し、理解していると思っている人は、そもそもこの文章を読むモチベーションもないだろうし、読まなくてもいいんだが、ただそうした場合の唯一にして最大のデメリットは僕と友達になることができない。 何故なら、僕は女性に対して「ブス