時刻表をデータにしたい

1限マップとは何か

 2023年6月18日、Xにて以下のように投稿した。

 これは「1限マップ」と言われるものだ。1限に間に合うにはどの駅に何時に出れば良いのかを視覚的に示している。大抵の場合、どれだけ遠い場所からでも1限に間に合うか、という見方が多い。
 地理倶楽部も新歓目的で、これを作ろうと思った。慶應義塾 日吉キャンパスの1限マップを個人で制作している方もいたが、その方のマップは1限に間に合う最遠の駅のみをプロットして、駅と駅との間を手書きで描画しているものだった。
 先ほど述べた見方ならそれでも全く問題ない。しかし、新歓を目的にしているなら、"より多く"の人に"より深く"見てほしかった。通学圏に居る人たちが、自分の最寄り駅なら何時ごろに乗ればいいのか、という見方でも見てほしいと思った。そこで、各駅のデータを調べることにした。

 最初の選択肢は、プログラムを作成すること。時刻表のデータと乗り換え時間のデータがあれば、9:00 a.m.に日吉駅に間に合うように乗り換えのパターンを膨大に作らせて、最も遅く間に合う時刻を採用すればいい。これは楽だ。しかし、時刻表も乗り換え時間も、デジタルデータがない。
 細かく言うと、確か調べた時点では古い情報の時刻表のデジタルデータはあったかもしれない。ただ、2023年3月18日に東急線と相鉄線が直通することが分かっていたので、そのデータは今回参考にならない。つまり、この案ではプログラミングを組めない。
 第二の選択肢は、APIを利用すること。これはプログラミングとほぼ似ているが、仮にYahoo!乗り換えにAPIがあれば、出発駅と到着駅と到着時間を指定して、検索させ、これを大量にリクエストすればよい。しかし、乗り換えに関するAPIはなかった。

 要するに、自力でやるしかなかった。

作業はとりあえず報われた

 日吉駅には東急東横線、東急目黒線、東急新横浜線、グリーンラインが通っている。東横線渋谷行、東横線横浜行、目黒線、新横浜線、グリーンラインの5つの列車が日吉に向かうとして、その列車が通る駅の最終出発時刻は確定する。その途中に乗り換え駅がある場合は、その駅から起算して新たに最終出発時刻を確定させる。
 この作業を在来線に限り、時刻表をひらすら見ることで関東全域の駅の最終出発時刻をExcelに記入していった。

 この作業量があまりに膨大で、4か月かかってしまった。2月に作ろうと決め、3月頭に東急・相鉄の開通後の時刻表を買い集め、4月に新歓に間に合わせることを諦め、6月にやっと公開した。3月末に一週間の一人旅を計画していたのだが、スーツケースに数冊の時刻表を入れ、日程のうち一日は丸々ホテルにこもって作業を進めた。

 その甲斐あってか、投稿後には多くの反響をいただけたし、8月の塾生新聞にも掲載してもらえた。三田祭でも良いリアクションをいただけて、11月29日放送、CBCのラジオ「アナののびしろ」で榊󠄀原悠介さんが紹介してくださった。

全く同じ作業は避けたい

 良いリアクションをいただける反面、疑問や要望もいただいた。私が「在来線に限って作りました」というと少し残念そうな顔をされる。やはりすべての交通を使ったマップの方が面白い。それと多かったのが「三田キャンパスはないの?」だった。
 日吉の1限マップについては、メソッドを考えるだけでもかなり時間を割いた。だから、確かに三田キャンパスを作るのは前回よりは早く済むかもしれない。ただ、あまりに手作業過ぎる。次に1限マップを作成するならもう少しやり方をフォーマット化したい。三田キャンパスver.まで作ると
 時刻表と乗り換え時間をデータベース化できたら、結構楽になるのかな、とか思う。最初の選択肢に戻ることになる。
 乗り換え時間のデータ作成は極めて難しいが、時刻表はどうにかならないか。JRはバーチカルな時刻表をウェブ上で公開しているから、利用できないだろうか。そこで、時刻表のデータ作成について調べた。

ここには法的な部分が絡んでくる。下記のリンクを参照した。
・カメロングのホームページ「時刻表に関する著作権について調べてみた」(https://kamelong.com/blog/)2019年7月15日更新。
入鋏省略「時刻表スクレイピングツールに対する考え」(https://nkth.info/blog/dia_scraping/)2020年3月2日。

 私見として大まかにまとめると、発着時刻そのものには著作権が生じないが、それを編集した出版物には著作権が生じる、と認識した。法に係わると何とも言いがたい。
 時刻表の著作権に関する見解もはネット上にはいくつかあった。ただ、データ化等が容認される根拠を並べるのは、データ化したい側としてごく自然ともいえる。以上の見解が必ずしも法の上で中立的とは判断し切れない、増して法学に疎い私にはなおさらだ。

今後

 ただ、1限マップを制作するという点を踏まえると、時刻表のデータはあくまでその道具であって、そのデータは商用はおろか私的にも頒布しない。完成品が1限マップだということを踏まえて、ある程度機械に頼っても良いかなと考えている。

 実は1限マップ以外にも、時刻表のデータを用いて作りたいものがある。もちろん、散々記した法的な見解を守った上で。兎にも角にもデータが必要なので、次の記事でその過程について書く。

 さらに言うと、今日(2023年12月3日)は次の記事で書く作業に取り組んでいた。一日の終わりに、過程を残しておこうとnoteに記すつもりだった。前段階として2つも記事を書いてしまった。

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