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還付金詐欺やオレオレ詐欺の防止に効果的な方法

家にいる時間が多くなる冬、心配なこと。
 後を絶たない還付金詐欺やオレオレ詐欺。これらの防止には啓発活動が欠かせない。だが、そのほとんどは「電話がかかってきたらどうするか」という「対症療法」であり、根本的な事実の理解が欠如していることに、いつも歯がゆい思いを抱いている。
 そこで、銀行関係のキャッシュカード関連の詐欺、税金・医療関係の還付金詐欺、親族を装ったオレオレ詐欺の3つについて、だまされないための基礎知識を解説したい。
 まず、銀行など金融機関に関連する詐欺だが、仮にカードを不正利用されていても自宅に銀行員が連絡もなく訪ねてくることは絶対ない。年金口座開設などの営業なら話は別だが、こうした重要案件は相手が留守なら用をなさないからだ。
 またあらかじめアポイントを取り、警官らしき人が一緒でも、行員がキャッシュカードを預かることは絶対ない。万が一行員が出先で紛失した場合、銀行は責任を問われるからだ。玄関先で預かってすり替えるという手口もあるらしいが、カードを見ただけで不正利用かどうかは判別できないし、書類なしでカードを交換することもないので絶対に渡してはいけない。
 つまり、通帳やキャッシュカードを預かる場所は口座のある金融機関の窓口以外ありえないということ。このことをしっかり理解しておけば、訪ねてきた人間に安易にカードを渡さずにすむ。

 次に医療や税金関連の還付金詐欺についてだが、大前提として、国は国民に金銭の還付をするときは必ず書類を提出させることを理解しておこう。
 以前、車税の計算が間違っていて多く徴収したので、還付する、という旨の通知がきたが、そのときも口座番号その他を所定の書式に記入し、返送しなければならなかった。自分たちがミスをしても詫びの一言もなく「返してやるから書類送れ」ということである。こちらが忘れればそれっきりで5年後にはおそらく債権の消滅となるだろう。
 だから電話一本でATMを操作すれば、国が還付をしてくれることなど天地がひっくり返ってもあり得ない。 さらに、前述のように徴収ミスの場合以外は、国から還付を知らせてくれることも100%あり得ない。多くの補助金などがすべて「申請主義」であるように、自分たちで該当するかどうか調べ、国の所定の書式に記入しなければ還付は絶対にない。このことを政府はなぜ大々的に広報しないのか大きな疑問である。自分たちに都合が悪いことをあまり言いたくないとしが思えない。特に会社勤めの経験しかない高齢のご両親には、よくそのことを説明して理解していただいた方がいいと思う。
 ただ、今後マイナンバーカードの普及で「何でも便利になりました」という政府広報により、これを利用した詐欺も横行しそうなので、この点も注意が必要である。

 最後に、痴漢・会社の資金の使い込みなどの犯罪行為のもみ消しのため、親族を装って多額の現金を用意させるオレオレ詐欺とも呼ばれる「示談金詐欺」だが、2つの点を心得ておくべきと思う。
 第一に、そのような行為についてその場で即金を払って解決することは絶対ないということ。もし反社会勢力に脅されてそのような事態になったとしたら、おそらくそれは地獄の一丁目であり、一度お金を払ってしまえば、それを理由に生涯、強請られ続ける可能性がある。示談の場合も必ず書面が必要であり、結果的にお金を支払う必要があったとしても、その場で現金を渡さなければならないことは絶対にない。
 そもそもお金で内々に解決しようと考える前に、その行為が事実なのかを確認しなければならないし、事実だったとして、もみ消しに荷担することが、本人のためになるのかを日頃から考えておくべきではないか。特に人間関係の密な地方では「恥」を恐れるあまり、騙されてしまうことが多いのではないだろうか。
 第二に、自分の子供とはいえ電話一本で多額の現金を用意することが、本人のためになるだろうか。もし本当に必要なら、きちんと顔を見せて事情を話して頼むのが当然であり、多額の現金を親に電話一本で無心するような子供は、実際にはそれほど多くないのではないか。
 疎遠になっている親族から頼られたと思い、つい心が動いてしまったという事例もあるが、この2つを理解しておけば、ある程度の被害は防げると思われる。
 政府、金融機関、弁護士会などが一体となってこうした広報を行えば少しは被害が減るのではないかと思うのだがどうだろう。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

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