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選ばれなかった短歌たちに光を!#1

出社の日同期は在宅すれちがうぽつんとランチクーラー響く

これはそのまま。どれだけ同期と過ごすランチが楽しいかわかったがわかった日のことを詠んだもの。普段気づかないクーラー音まで聞こえてくる静けさ。

鏡の中銀髪見ながら母嘆く「若者たちにはファッションなのに」

母はコロナで美容院に行くのをめちゃくちゃ怖がってる。だから行けなくなると白髪が目立ってしまって嘆いていた時の一コマを切り取ったもの。

衣替え上着脱ぎ捨て季節巡るなのに変わらぬマスク生活

もう、まんま。ずーーーーーーっとマスクだし、だからといって、高齢な母と暮らす身としては外せないマスク。
でも季節だけは巡ってきては去り、服装は変わるね、という思いを詠んだもの。

月曜日憂鬱な朝ににわか雨送るよと母、雨音楽し

この日は本当に急にゲリラ豪雨。やだなー、って思ってたら母が駅まで送ってくれた。なんだか雨が降って楽しくなったな、って時のことを詠んだもの。

誕生日友から届く白きマグ マシュマロのようなやさしさにほろり

本当は先輩から。急になんの前触れもなく誕生日のプレゼントが贈られてきたの。しかも私のイニシャル入りのマグカップ。そのイニシャルもデザインが可愛くて。お菓子も一緒に入ってて、コロナ禍で憂いてた頃に物凄く心に響いて泣けてきちゃった。

落ち込みしわが心を知る友からの言葉は魔法われを解き放つ

本当に親友は宝物。コロナ禍で沈む心を溶かしてくれた。

子気遣うエスカレーターのアナウンスふと母見やりそっと見守る

エスカレーターってお子様の手を引いてってお子様に焦点あててるよね。でも、実際はそれだけじゃなくて、高齢者も焦点当てないと、って思う。
そんなアナウンスを聞いた時、ふと母を見やった時の一句。

枝垂れ梅青き空には弦月が「生の額絵」の雅な在宅

もうね、お隣の家の枝垂れ桜が立派でね。
京都なんかに行くと借景ってあって、遠くの山々をまるでそのお寺の額縁に入った絵のように見せるお庭があるんだよね。
あまりに立派な枝垂れ桜が自室の窓から見えたから、思わず詠んだ一句。

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