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二度と手に入らない世界を手中に

‪#‬写真が好き

時は刻む。
常に。
だからその瞬間瞬間は二度と戻ってこない。

今年は満月と中秋の名月が重なった。
ということを、あとから知った。
天体ショーが好きなのに、だ。

3年連続の重なりで、次みられるのは7年後だという。

その話をニュースで知った母は「見れないわね。」とつぶやく。

「そんなことないよ。」
と否定したが、高齢になると「あと何年」というのがチラつくのだろうな、と思うと悲しくなる。

母はあの流行病に対し直接響く持病があるため、今もまだスーパーくらいしか出かけらない。
せっかく主治医に前々回「外食もいいよ、マスクはしていてね。」と言われた。
久しぶりに大好きなところにランチに行った。
美味しかったし、外食解禁祝いだねとおごった。喜んでくれた。

なのになのに。
前回では「映画館もだめだよ。」と言われて帰ってきた。
そのくらいだから、旅行なんてもっての外。

流行病が始まる前から某地区に行き過ぎていたため、次はどこにしようと考えていて、ずっと旅行に行ってなかったのが悔やまれる。
いつでも行けるとは限らないんだな、旅行。
ともなっている。

そんな時に十五夜と萬月が重なった。
私は前述した通り、貴重とは知らなかった。
だから母を呼ばなかった。
つい、推しが演じた月の役を思い出して、あー、元気かな月人(げっと)、なんてふけっていた。

流れる雲。
中秋の名月。
満月。
整っていた世界。

私の部屋から見られる満月。
流れる雲は満月を隠すようでもあり、遊んでいるようでもあった。
これも全てその瞬間瞬間の景色であり、同じものは二度と撮れない。
そんな瞬間をパシャリ。

月は雲と遊ぶようでも隠れるようでもあった

そんな時、母が自室に行った。
既に満月は雲に隠れていた。
「見られなかった、呼んでくれたらよかったのに」と言われた。

無知を悔いた。

ところで私は短歌も好きだ。
その時の様を詠んでみた。

十五夜と満月かさなる「雲月夜」ゴッホも描けぬ天体絵画

中秋の名月眺め声かける舞台の彼に「元気にしている?」

瞬間を切り取る写真二度とない景色は私の手の中にある

雲流れ満月がするりと雲に入(い)るみなに見られて恥ずかしかった?

名月と流れる雲を動画にす虫の声入り秋を演出

見せないよ嫉妬するかのごと覆う流れる雲が名月隠す

名月が満月となる偶然に「次見られるかな」ぽつり問う母

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