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5枚の絵に残る、母の葛藤

2017.2.12「あらぶく富士」
これは母に手を添えられて描いた絵だ。

袈裟江先生が引退の意向を表わしたことがキッカケで、母親との創作にも取り組みはじめた時があった。

この絵を描いた日の様子を、母の記録から振り返る。

富士を描いてくれる?とお願いした。
どんな富士?冬富士?と聞きながら
色は黄色?青?赤?とか聞いて、青→水色→白を選んだ。
最初、下のまんなか右寄りから描き始めた。

なかなかうまくいかないから私がイライラしながら
父親と言いたいことをいいながらも
どうしたい?と心で浩太朗に訊いているうちに
だんだん乗ってきた。

最後のほうはポンポンと筆を置く感じ。
一時間くらいかかったのではないか。

とても嬉しかった。
浩太朗が自分で動かしているのがわかったから。
私にも出来るかも、と思わせてくれたことが有り難かった。

すごいー!きれいー!冬富士だ!
父親が「あらぶる富士?」と一言。
夜、タイトルを聞いたらあかさたな話法で
「あらぶく富士」だった。
父いわく「そのほうがいいね」と伝えると浩太朗は微笑んだ。
「でしょ?」という感じに思えた。

その後、袈裟江先生が続投してくださったので母との創作は一時のこととなったが、これら5枚の作品は母親にとって「信じる」ことについての大きな体験として心に刻まれている。



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