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2019.3.19「早春のふじ」

2019.3.19

―――今日はなにする?
えをかく

太いはけ かた(い) こん (紙の向き)たて
べつのふでに白 大はけ
白を 上のほう

水いろ 空をぬるので こんをほんのすこし
全たいに 今のいろをぬりたい
もうすこしなおしたいので いまのいろ うすい
ふでのかさなりをなくすので もう一回つけて
こんをもう一ど つけて下さい

山のバランスをとるのに 白をもう1ど
きもちがよくなった
もう一ど 白
ほぼしあがり

サイン あか
 
―――タイトルは?
「早春のふじ」
春が下かいではきているが
ふじのちょう上ではあと一ぽ
まっていてね。

この絵の筆使いについて母の手記にはこう書かれている。

今日は「えをかく」だった。
今日おやっと思ったのは、紺色を下から上に向ってバンバン塗り始め、次に真っ白を上から下へ向って塗ったこと。この描き方は自分のなかで考えていたそうで、頂上が真っ白に塗れて満足だったようだ。
そして最後に紺色を下に向ってまたバンバン塗った。
空の水色は「白に紺をほんの少しまぜて」という注文だった。
(2019.3.19 母の手記より)



一年後、作品集づくりに励む中、この作品に隠された彼の創作にかけるターニングポイントと受け取れる発言はこちら。

これはすごく気持ちが入っています。力強いですよね。今までの富士山は色が淡かったと思うんですが、この時はみんなにもしかしたら受けないかなと思われる強い色を選びました。だけど本来はこういった絵を描きたかった、なのでこの絵は大好き。富士山の中でも一番僕らしく何の迷いもなく描いた絵です。
(2020.3.22 浩太朗談)



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