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そして、私のモト・グッツィはどうなってしまうのか。まとめ⑦ 最終章

帰ってきた途端から、またヨーロッパを走りたくなる。

さんざん書いてきたように、天候に恵まれず、若干マシントラブルもあったが、それも含め、めちゃくちゃおもしろかった。
外国を旅するのは好きで、20歳のときから、本当にいろいろな国に行った。一人旅もたくさん。でも、今回ほど楽しかった旅はない、と断言できる。

バイクが壊れる前から、「これ、もう一回来ないとダメだな。楽しすぎる!」という考えが頭の中をぐるぐるしていた。
雨に降られながらも、考えているのはそういうことだ。
今回は、「下見」とか「慣らし」とかそういうことで、と途中から勝手に思っていた。
最終的に息子にタンデムになってしまったけれど、そこは実はあまり関係なく、また走りたい、もっと走りたい、としか、中盤ですら、まったく思っていなかったのだ。

レブルってすごいじゃない!  でも。

帰ってきてから、自分のバイク、レブル500にさっそく乗ってみた。
驚くほど性能がいいというか、よすぎるというか。
エンジンは一発でかかり、温める時間はいらない。もちろんチョークなどない。走り始めても、うっかり3速で発進してすら、別に問題ないという感じ。

これが、日本のバイクメーカーの、驚くべき進化なのか。
すごい、ラクすぎる! こういうバイクしか乗っていない状態で、数日間練習したとはいえ、モト・グッツィに乗っていたとは、逆に驚く。我ながら。

私には乗りやすく、国内ではこれで全然いいし、乗り倒すけど。

この日は、レブル楽々じゃん、という驚きしかなかったが、また次に走ると、別に、「これはこれ、こういうバイクなだけ」という気分になる。
慣れてるバイクをヨーロッパに運んで乗ったらいいじゃない? とアドバイスしてくれる人もいたが、なんだか、そういうこととは違う。

「このレブルで、私はヨーロッパを走りたいのか」と言われると、そんなことは全然ない、という答えしか頭に浮かばない。

ただし、私の技術が低すぎる。

「来年も行く!」と言うと、とにかく息子には呆れられ、
「たった1年、しかも週1回や2回乗ったところで上達するわけないじゃない。何考えてるの! もうお守りはしませんよ」と冷たく言われる。
まあ、流石に来年、息子を付き合わせるのは無理だから、なんとか夫一人のサポートで行けないかと思うが、こちらも、
「今回休み取るだけで、死ぬほど大変だったんだから、なんの保証もできません!」と言われる。
これまた、当たり前の話なのだが。
少なくとも、一人サポートでもなんとかなるくらいまでには持っていかなければ。

でも二人とも、「モト・グッツィには乗れてたし、もっとバイクに慣れれば別に問題ないんじゃないの」とは言う(サポートはマストだけど)。

そう、私に足りないのは、バイクに対する「慣れ」。
基本は、どんなバイクにでも、乗れなければいけないはずなのだ。
あと、他力本願すぎて、自立していないところが、やっぱり問題。バイクは基本、自立の乗り物だし、そういうところが好きで乗ってるはずなのに、何やってるんだ、私。

そして、現状、モト・グッツィはバラバラ……。

当初の予定では、今回走ったら、下げたシートと上げたハンドルを元に戻して、売る、というイメージだった。
が、せっかく私用にカスタマイズされたバイクを、ここで手放していいものなのか。

一週間近く、滞在先の近所で練習して、だいぶ慣れた。モト・グッツィと会話できていたと思う。
ブリーヴィオを出て走り始めたら、左はスッとベタ足が着けるようになっていた。
BMWの650ccに乗っていた頃は、シートの上でいつもなんとなく体が左に傾いていたのだが、動画を見るとそんなことはなく、きちんと真っ直ぐ乗っている。

私はこのバイクが好きだったし、今も、もう既に恋しくなるくらい好きだ。
このバイクに乗れて、本当にうれしかったし、だからもう一回乗りたい。

峠に置き去りにするのは、心情的に辛かった。自分もヨレヨレなので、それどころではなかったが。

一年後の再度のヨーロッパツーリング、まったく実現の当てはないけれど、とにかく、モト・グッツィを走れる状態にまで直し、もう一年、ガレージでキープしていただけないでしょうか……。
という大胆すぎる案件を、既にめちゃくちゃご迷惑をおかけしている山本達郎さんに、改めてお願いする。
修理費などは、もちろんお支払いするけど、ガレージにあと一年、置いておもらおうって、大変な迷惑だ。
ありがたいことに快諾いただき、「ヨーロッパツーリング2025」が、妄想の中とはいえ始まった。

現状、ハダカ。ここから直るというか、直せるというのが想像できない。

実現するためには、努力する。

一年後にどうなるかはまったくわからないけれど、それでも夢に投資する。
行けなかったらそこまでで、それはそれでいいけれど、絶対、そんなことにしないように、まず私が努力する。
今回の一番の反省点は、「お姫様バイク」などと、ふざけたことを言ってる場合ではない、ということだ。

さすがにメカまではできないけれど、だったら、そういうときに、どうすればいいのかを、徹底的に考える。
ルートも、自分が走れるところを自分で選び、その想像力を持って乗るべき。
人任せもいい加減にしろ(と自分に言っている)。

幸い、モト・グッティは、自分で起こすこともできる。練習の最初の頃に一度、転けて実証済み。レブルは無理。
でも、バイクは、日本でも他の国でも、転けたら必ず誰かが助けて起こしてくれて、大丈夫ですか、と心配してくれる。これは本当に、間違いなくそう。
人里離れたところを夜間走ったりしなければ、なんとかなるだろう。

今更だけど、大きな怪我もせず、ツーリングを終えられたことは、本当にうれしい。
そして、山本達郎さん、夫、息子に深く感謝。
せっかくの反省と学習を生かさないとつまらないので、もっと自立して、一年後に出直します。

(いったん終わり)






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