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出産2週間後に、再び教習所へ。

楽しくブロンコに乗っていたのだが、ガソリンがすぐなくなるのに加え、横風が結構厳しい。高速道路を走っているときに強風にやられると、もう必死にハンドルを押えていなければならない。
やっぱり大型かなあ。

1999年頃、夫は、2001年のパリダカ出場を目指して準備をしていた。いいな。
「私もヨーロッパ走りたいな」と言ったら、「全然走れるよ」という返事。
そうなんだ!
レースやラリーに出たいわけではもちろんないけれど、普通のツーリングならしてみたい。

聞くと、ヨーロッパのレンタルバイクに中型はほぼなく、おまけに、国際免許だと大型にも乗れてしまうらしい! 
それはいくらなんでも、危なすぎるだろう。

大型免許を取るしかないが、そのとき、私は妊娠中。赤ん坊が生まれたら、免許どころではない。
おまけに住んでいる家の近くに、大型を取れる教習所などない。
いったいどうしたらいいのか。

しかし、ここでまた天啓にうたれる。
そうだ、里帰りしている間に取ってしまえばいいのだ!

1ヶ月、実家にいることにしていたので、この時間を無駄にする理由はない。
赤ん坊は母が見てくれるだろうし、2、3時間ほど家を空けるだけ。どうせ本人にはわからないんだし。
と、出産2週間後に教習所へ。

昔は限定解除(400ccまでの中型の制限を解除する)という一発試験で、取るのは相当大変だったらしいが、この頃には、教習所に行って12時間教習を受け、検定に合格すればいいというシステムに変更されていた。

マシンはホンダのCB750。いわゆるナナハンだ。見た感じは400とそんなに変わらない。車高の高いブロンコに乗っていたので、案外、安定感すら感じる。

10ヶ月間妊娠していたのだから、その間まるっきり乗っていなかったわけだが、まったく違和感はなく、エンジン音の深さと力強さに、腹の底からしびれた。
いや、これすごい。中型とは全然違う乗り物。
しかも、ちゃんと乗れてるじゃないの、私!

ルンルンで家に帰ったら、「怒ってたわよー」と母。
「赤ちゃんはわかるのよ、お母さんがいなくなってるってことは」。
うーん、そうですか。
まあでも、背に腹は変えられないので。
いま取らなきゃ、一生取れないかもしれないし。

とにかく最短で取れるように頑張って、1週間後には検定へ。
中型のときは、バイクを自力で起こす、という項目があったが、大型にはなし。そもそも、絶対に起こせないし。

直線距離を、スピードを上げて走る、という項目があるのだが、教官が寄ってきてこっそり「スピード出さなくていいですからね。ちょっとだけ上げてね。怪我されても困るから」。まあそりゃそうだ。
1回目はS字で脱輪してしまったが、2回目では無事クリア。あっという間に大型免許が取れてしまった。
いろいろお目こぼしはあったにせよ、中型取ったときよりは、はるかに簡単。

出産後は逆に体力があるもので、特に疲れもしないし、何より教習所に行くのが楽しくてたまらない。
自分でも変だとは思うけど。
たった10日間くらいなのに、ダブついていたお腹が凹み、体重が激減したのには驚いた。
産後ケアにもいいのかも(特殊すぎておすすめはできないが)。

*息子5歳、福島県昭和村のキャンプ場。このときは、夫に背負われて近場を走っていた。翌年にはモトクロスデビュー。

(つづく)

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