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波乱万丈。でも、めちゃくちゃ楽しかった! としか言いようがない。まとめ①

最後の数日になって、バイクが壊れ、息子にタンデムしたのは、既に書いた通り。
結局、私が走ったのは、7日間。距離にして1000キロくらい。
4月に、長野の穂高に行ったときは片道270キロくらいだったが、これはほとんど高速だったので、比べるのは大間違い。

北海道ツーリング、四国ツーリング、東北ツーリングなどもしたし、仙台から約350キロ、金沢まで約500キロを一気に走ったこともある。でも、距離の問題ではないのだ。

それくらい、今回の初めてのヨーロッパツーリングは、驚くことばかりで実に濃い内容だった。
忘れないうちに書いておこうと思う。

1: 初めてのバイクに乗るということ。

上手い人なら、どんなバイクにもすぐ乗れるだろう。実際、夫も息子も初めてのバイクをすいすい乗りこなしていた。
技術はもちろん、体格の差も大きいけれど。

そもそも、私が乗りたいバイク(小柄だけど大型の排気量)をレンタルで借りるのは不可能、という現実があり、検討した結果、モト・グッティを中古で買い、改造するということに。
決め手はやはり、「このバイクに乗りたい」という気持ちだった。
準備段階で写真を送ってもらったときに、心が動いた。
「これ、好きかも。乗れるかも」。
そして、いろいろ手直しをしていただいている間は、「絶対乗りたいから、なんとかお願いします」と願っていた。

実物を見たときも、「素敵、かっこいい、乗れそう!」というものだった。
足つきはイマイチだったので、用意してくださっていた薄いシートに替えたが、スタンド問題などもあり、最初はビビりまくり、冷や汗たらたら。
でも、乗れないとは一度も思わず、「なんとか乗りたい」という気持ちしかなかった。

薄いシートに、着け変え作業中。

数日間、近場の同じ道をぐるぐる往復するという、地味な練習を一人でしていたが、この間に、だいぶマシンとの距離は縮まったと思う。
幸福な時間だった。
私はメカのことはまったく詳しくないけれど、エンジンが温まるのに時間がかかること、ギアチェンジのときに少しコツが要ることなどがわかり、私が初めて乗ったブロンコのことを思い出しつつ、慣れていった。

ひとりでお散歩練習は、楽しかった。

いざ出発、のときは、「一緒に走れるよね」という気持ちになっていた。それはずっと続いた。
だから、ちょっと調子が悪くなったときにはすぐ気づいたし、それぞれリカバーできた。

2: 雨は、やはり、なかなか手強い。

初日含め2日間は土砂降り。ツーリング中、快晴は2日間のみ。しかも1日は最終日……。
なんとかギリギリもった曇天が1日で、他は毎日、どこかで降られた。
宿に着いた途端に雨が上がるという、がっくり来る日も何度もあり、途中からは慣れたけれど、朝からカッパを着ていくというのは、あまり気分は上がらない。

いつ雨が降るかわからないのは、日本でもどこでも同じで、雨の中を走ること自体は慣れているのだが、ロングツーリングで連日となると、なかなかこたえる。
とはいえ、どこかで雨宿りするという発想は全然なく、とにかく目的地には行く、というバイク乗りの出鱈目なところが、私は性に合っている。

もちろん、できれば、快晴の中をなるべく長く走りたかったけれど、案外めげない自分を発見。

晴れてさえいれば、美しい道ばかりなんだけど、土砂降りだとね……。

3: ルートは3Dで見なければ、寒さにやられる。

私はもちろん、ルートのことなど考えておらず、夫と息子に任せっきりだったのだが、後半、ドイツ、スイスエリアに入ると、雨がどうこうより、寒さがこたえる。
私は結構用心して着込んでいたので大丈夫だったが、二人は後から途中で着足していた。準備はしていたが。
バイクは空気の温度や湿度の変化がダイレクトにからだに来て、それが楽しさでもあるのだが、こまめな服の調節や、ルートの読みが大事だと思った。

終盤は、天気だけでなく、標高も考え、さらに予報が当たらないことにも備えつつ、ルートを考えた。
私は、宿担当なので、どうしてもその町に空きがないとか、バカ高すぎるとか、そういうチェックをしていただけで、別に何も役に立っていなかったけど。

日本だと真夏のツーリングは暑すぎる、というのが常識。でもアルプス界隈だと夏がピークだそうで、それはそうだと納得。
北海道ツーリングだって、夏でも寒いし、いま思えば、別に、そんなに標高の高いところを走っていたわけではない。
雪があるようなところを、バイクで走るとは思っていなかった(全体像を全然、理解していない……)。

あっという間に雪が残る場所まで来てしまう。

4: 高速道路の料金所で大渋滞!?

初めて有料の高速に乗った日、この日がハプニングのオンパレードで、いま思い出しても2日間くらいのネタがてんこ盛りだ。
ともかく高速道路に関しては、大きな問題は、ETCが普及していないということ。それも昭和の日本のように係員さんがいるわけでもない。

多少手が届かなくても、係員さんが頑張って伸ばしてくれたりということが昔はあったなあ、と思い出してしまうほど、チケットを取るだけで大変。
バイクは特に、手袋を外さないとダメなので手間がかかる。
支払いのときにも人はいないので、マシントラブルでクレジットカードを受け付けてもらえないとか、いちいち大変。

無料の高速もあるし、そもそも、有料高速=国境越え、くらいの感じなので、利用自体が特別なことなのかもしれないが、日本中、高速使いまくりの日常からすると、かなり、ストレスフルな体験だった。
高速はないものとして走ったほうがいいな、もう。

5: ガソリンスタンドが神。

リッター300円以上。日本は167円前後。バイクは、車に比べれば圧倒的に燃費はいいが、結構な値段の差だ。
私が乗っていたモト・グッティは、燃料メーターが付いていないし、他の2台に比べてタンクも小さいので(ブロンコもそうだったなあ、と思い出す)、燃料切れだけは避けたい、と比較的頻繁に停まっては給油していた。
ガソリンスタンドに入れば、トレイは使えるし、小休憩としても重要なポイントなので、目が常に、ガソリンスタンドを探すようになってしまう。

軽食コーナーのあるガソリンスタンドも。

6: お昼ごはん問題、意外に深刻。

イタリアはどこも、レストランは14時半にはがっつり閉まってしまう。そして、夜は早くて19時にならないと開かない。
バルなどは開いているが、本当にサンドイッチ程度で、食べたくなるようなものはない。
これが案外と悩ましい問題で、雨だからさっさと目的地に着きたいと、初日は走っていたが、これは、私はともかく、男2人にはきつい。

なので、とにかくお昼を食べてゆっくりして、それからまた走ろうということにしたが、案外、いい感じの店がない。
私は宿とレストラン担当なので、いろいろ考えながら走ってはいるが、とにかく、自分の運転に集中するのが最優先なので、いつものような嗅覚がなかなか働かない。
1回だけ広い駐車場がついたローカルレストランを発見したが、ここはよかった。きっと、ドライブインみたいな感覚で使われている店なのだろう。

とにかく、午前中に出るツーリングなら、必ずどこかで、ランチ休憩を入れるというのが鉄則だとよくわかった。

7: 荷物はもっと減らせたかも。

荷物は、3つのハードケースと1つのソフトバッグに3人分を入れ、夫のバイクに積んでいた。
かなりの重量で、これに乗るのはそれなりに面倒だったと思う。少なくとも、私がタンデムしているよりは重い。
でも、使わなかったものも結構あり、これはかなり反省点。

重量級は、なんといっても工具類。これは大活躍したし、外すわけにはいかないが、着るものはもっと減らしてもよかったかも。
ヨーロッパのホテルは、ほぼ全部、タオル乾燥みたいなものがバスルームに付いているので、小物を干すのは全部それでOKだった。
連日の雨で、レザージャケットや靴やヘルメットは、全然乾かなかったけれども。

4つの荷物全部を、左のバイクに積む。

8: 宿は現地に着いてから取るべし。

宿は前日くらいに、Booking.comで取っていたが、途中トラブルで現地に着けなかったことがあり、なかなか魅力的だったホテルを、50%のキャンセル料を払ってあきらめた。
代わりに、少し手前の町で偶然取ったホテルが当たりで、これはラッキーだった。

毎日、本当にいろいろなタイプの宿に泊まって、それぞれが楽しかった。
これはツーリングの醍醐味だと思う。
絶対に一部屋もない、ということはあまりないと思うので(シーズンにもよるが)、着いてから予約してもいいな、ということを学習。
ネットがない時代はどうしていたんだろうと思うが、本当に便利になってよかった。
あと、駐車場があるかどうかも大事なポイント。最初の宿は、公共の駐車スペースでちょっと心配に。

屋根付きガレージがあると、さらにベター。

9: 右側通行は問題なし。ランナバウトは、かなり好き。

右側通行は走ったことはなかったが、バイクならなんとかなるのではないかと思っていた。これは思ったとおり。
車だと左ハンドルになってしまうが、バイクは常に自分が真ん中なのであまり気にならない。
あと、ランナバウトが気に入った。
いちいち信号で止まらなくていいって最高! 最初は少し手間取ったが、割とすぐに慣れ、左からの車に注意しつつ、スマートにゴー、という感じはつかめた。
これは今回の収穫。

10: バイク乗りにも、自転車乗りにも優しいヨーロッパ。

自転車に乗っている人がたくさんいることに、ものすごく驚いた。バイクよりは数が多いような気がした。
それはともかく、バイク同士でも、すれ違ったら、何か合図をしたりして、ハッピーな感じがある。これは別に日本でもするけれど、たまたま長旅で数が多かったせいか、楽しかった。
日本だと、車が主役で、バイクや自転車は従という感じがするが、それがまったくないのがすばらしい(あくまでも個人的な印象)。

●結論

毎日がハプニングだったが、どんなことがあっても、家族3人で知恵を寄せ合い、それぞれ役割分担して、なんとか乗り切れたのは、それ自体がいい思い出だ。
息子、大活躍。
バイクに上手に乗れるだけでなく、メカもわかり、英語もできたし、店選びのセンスもよく、もう若者には敵いません!

すべてを完璧にフォローしてくださった山本達郎さんには、感謝しかありません。

今回は、すべてが初めての体験→学習の繰り返しだった。
学習した以上は、次に生かさなければ意味がないので、いまのところ、来年にはまた行きたいなあ。
ヨーロッパツーリングは、ものすごく魅力的なものだとわかった今は、これが下見とか予行演習とか試乗だった、とすら思える。

たまたまだけど、このマガジンのタイトルも、「ヨーロッパツーリング2024」になってるし!
無意識のうちに、最初から、これで終わりにするつもりはなかったのか??

あとは、もっと自分がバイクのライディングスキルを上げること。
今年の夏はそこから始める。

(つづく)




















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