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やっぱり大型がいいのだ。BMW 650GS。

ある日、夫が、「これからバイク屋さん行くよー」と言う。ちょっと大きな案件を手伝った後だったので、もしかしたらご褒美かしら、と思いながらいそいそとついて行く。
「前回の事故の原因は、アンチロックブレーキのないバイクだったから。やっぱりそれはまずい。ABSのバイクにしたほうがいいよ」

225ccのブロンコの、乗りやすいけれど脆弱な感じは、ちょっと気になってはいたので、やる気満々で買い替え。
新しいバイクは、BMW 650GS。なかなかスタイリッシュだし、乗れそうな感じではある。
シートはやっぱり高いので、できる限り下げてもらう。
そんなこんなで約100万円。
もちろん、自分で一括で支払った。上記の妙な期待は、泡と消える。

新しいバイクは、すばらしく楽しい。
大型は、とにかく、エンジンの重低音がしびれる。一体感があるのだ。
自分とバイクがひとつになっているという感覚。それは安心感でもある。

中型免許を取りに行ったとき、「私はこのバイクに乗れてない」と打ちのめされ、その後、共感を得られる感じになり、免許も取れたが、ブロンコのときは、まだ「私が乗っている」という気持ちがあった。
めちゃくちゃ、共感できてない。

大型の場合、むしろ自分が守られている? というくらいだ。
安定感と包容力がある。
私が乗るのではなく「私とあなたが一緒に走る」という境地に至った。

とはいえ、私に技術はないし、それなりに重量級なので、ある夏、オフロードのコースに乗り込んで転倒。グリップが足の親指を直撃し、爪が崩壊。
一夏中、ファッションとしてサンダルを履くことができなかった。

これは見た目の話なので、そんなにダメージはなかったが、いま自分で書いていてもコワい。
でも、人間の体は、必ず再生するということを学んだ。

2012年、BMW 650GSで、東北ツーリングをした。
夫は東日本大震災の後、かなり長期間ボランティアで入っていたけれど、私は何もしていなかった。
東北とひとくくりされがちだが、東側と西側では全然話が違う。地震は東側の被害なのだ。

東北6県を巡り、毎日、違う県に泊まる、というプラン。
息子は12歳にはなっていたが、とにかく、寝てしまう(タンデムって、なんにも楽しくない)。
寝ても大丈夫なように、大型タンクを両脇に取り付けたら、全開で爆睡。

よくこんな格好で寝られるなあ。停まっても
起きない。

すべての県を巡り、そのときどきのおいしいものを食べた。
電車や飛行機の旅行では、これは難しい。自由な足があるというのは、得難い魅力。
車でもできるのかもしれないが、車の場合、運転者ひとりに負荷がかかる。同乗者があれば、その人に対してすべての責任がある。
ドライバーという職種があるのは当然だ。

バイクの場合、自己責任なので、そういう遠慮はない。私のバイクの後ろには、絶対人は乗せないけど。
バイクは、移動の手段だけではなく、「乗る」という行為を楽しむこと。

(つづく)




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