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読書日記 オルテガ『大衆の反逆』からのフロム『自由からの逃走』

オルテガはなかなか強烈だった。


彼のいう大衆とは、一般的な意味とは少し違う。
今の境遇に満足して自分のために享受することしかしなくなった人々。
細心の注意を払って積み上がってきた文明を当たり前の自然と勘違いして、受け取る権利だけを主張し、貢献しようとしない。一部の階級ではなく、あらゆるところに存在する者として書かれているが、読んでいて思ったのは、まるで今の日本の政治家のことではないかと思ってしまった。

彼は、スペインに向けて書いたものなので、他の社会の人が読んで果たして通じるのかわからないと、フランス人宛にプロローグを書くほど用心深い。
その上、かなり昔でもあるので、今読むと、受け入れられない表現や誤解を招く表現もあったが、かなりズバズバ言っているのは考えさせられた。

私にはかなり荒く感じられた文章を読んでいる間に、ふと無性に読みたくなったのは、岸見先生の『エーリッヒ・フロム』
この本に書かれている生き方はまるで大衆と真逆の生き方だ。
オルテガが彼の著書の中で貴族と表現しているのに近い。
でも、フロムの書いているのはもっと人間としての生き方の思索だ。

エーリッヒ・フロムの代表作『自由からの逃走』は、実はまだちゃんと読めていなかったのです。
この機会に一度しっかり読んでおこうと決意しました。
なかなか読みにくかった記憶があり‥

岸見先生は、高校生の時に英語で読まれたとか‥

岸見先生の本では、エーリッヒ・フロムのいろんな著作からの引用は、ご自身で訳されたものを引用されているので、この本を頼りに読んで行こうと思う。

この新書は100ページでコンパクトに読めるのがコンセプトだが、岸見先生の本は122ページで恐ろしく深いところまで掘り下げられている。

この本を執筆中のエピソードとして、旅行中も片時も休まず、さまざまな文献を携えて、翻訳されていないインタビュー記事まで丹念に読まれていたという。
この本はそのような中出来上がった、エーリッヒフロムがものすごく凝縮されている貴重な本だと思います。

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