信子おばちゃん(番外編)

姉さん(信子おばちゃん)はほんまに美人でねえ、けんど、美人って大変で、それを保つのにいっつも顔いじりよったわ。

あたしらー、なんちゃーせんかったけんどねえ。

姉さんが好きな人ができてねえ。

こうちゃん(私の従兄)のお父さんよ。

ほんで、お母さんが「見てこい」ゆうきよねえ。

わたしも小さいからようわからんし「はいはい!」ゆうて、友達つれて、後をつけていったわ。.

友達は「男前や」ゆうたけど、私はそんなに男前やと思わんかった。

家に帰ってお母さんに

「男とあいよったで」ゆうてねえ。

けんど、結婚したきねえ、そのまま。

こうちゃんは体がよおうてねえ.このままやったら生きられんゆうき,仮に養子に出したみたいな形にしてねえ.

こうちゃんの名前は、戸籍の名前やないがよ、親がつけた名前やないき。

体が弱かったき、その名前で呼ばれんゆうてね。

ほんで名前を仮に変えたが。

姉さんが死んだ時、うちのお墓にいれちゃおゆうたのに、こうちゃんがきっちり墓をたてたきねえ。

自分の名前も赤字でしっかり入れてねえ。

えらいわ。こういち。.

体も悪いにねえ、手足が腐るゆう病気やゆうけどねえ。

まあ、でも、そういわれて何年もたつけど、全然腐らんけど。

医者の見間違えか、薬がきいちゅうがか、わからんけどねえ。

ねえさんは、こうちゃんのお父さんと離婚して、り●ちゃん、く●ちゃんのお父さんと結婚したけど、苦労しよったわ。

おかあさんは美男の兄さんや美女のねえさんがかわいかったき。私がおかあさんにゆうて渡したお金をそのまんま、兄さんと姉さんに渡しよったわ。ほんで兄さんも姉さんもあんまり働かんかった。美男美女はそんなもんよ。

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