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10章㉙食は薬なり
私は、文字を書く事や文章を綴る事が小学生の頃から
ずっと好きなタイプ。
日本の低レベルなオーガニック市場をもっと広げ、
オーガニックなライフスタイルを社会に広めようと
する「INYOU」(インユー)という会社で、ある日
「ライター募集」の求人広告を見つけた。
短い期間だったがライターとしてデビューし、
いくつかの記事をシアトルから発信したモノを
掲載させてもらえて、とっても嬉しかった。
☟
https://macrobiotic-daisuki.jp/koousogenmai-12983.html
![](https://assets.st-note.com/img/1697301900058-CdZTlXP4Eh.jpg)
その記事をたまたま見た、ニューヨークから
ガン治療の為に家族でシアトルに引っ越してきた
30代のママから、そのINYOUの編集長を通じ、
突然メールが届いた。
彼女の末期のガン治療の為、料理作りのサポート
依頼が突然、私にやって来た。
彼女の回復をただただ願いながら養生ご飯を作り、
痛みを少しでも和らげられる様に、出来る限りの
事をした。
![](https://assets.st-note.com/img/1697302025958-ZeCT2NnJU5.jpg)
彼女は珍しいガンのかなり末期状態で、驚くほど
痩せこけていたが、腹部に腹水が溜まっていて
ただ寝てるのも辛そうだった。
3歳の可愛い娘の為に、生きる希望を強く持つ
精神的にとてもタフな女性Sさんは、壮絶な過去を
乗り越えてきた方だった。
毎日、常に辛い痛みが全身を襲い、それをしばし
忘れさせてくれるマッサージやお手当が、彼女には
必要だった。
最初は、私の作る玄米菜食の養生ご飯を彼女は
喜んで食べてくれたが、食事療法の効果が出るには、
どうしても時間がかかるのが現実。
![](https://assets.st-note.com/img/1697302179844-e5TsITMQy1.jpg)
毎日起きてる間はずっと彼女の肉体に絶え間なく痛みや
辛さが酷くつきまとい、お料理よりも調理後に私が
サービスで行ったマッサージをより必要とされた。
彼女は、絶え間なく苦しめられる痛みの辛さに
打ちのめされて、だんだんメンタルが弱ってしまい、
自宅で働くご主人の介護だけでは物足りなかった。
食事療法の結果を急ぎつつも、好きなスナック類や
甘みの強いドライフルーツは止められないが、それが
彼女の日々の歓びの瞬間なら、私は何も言えない…。
![](https://assets.st-note.com/img/1697302410921-lGBuHrxLJ5.jpg)
カラダに続く痛みと辛さに耐えられず、食事療法の
サポートを数カ月で彼女はすぐに諦め、私のサポートを
ほんの短期間でギブアップしてしまった。
あんなに症状が酷い、末期の癌患者さんと向き合った
経験は私には貴重でとても結果は残念だったが、
とにかくベストを尽くした。
一人の女性同士として互いに様々な話をし、一時でも
心が通い合ったと感じた矢先の、彼女のギブアップ
だったので、私は「やり残した感」が強く残り、
悔しくて仕方なかった。
彼女の回復を最後まで見届けられず、私のケアの
不十分さ・不甲斐なさに、中途半端な気持ちが
しばらくココロに残った。
彼女の苦悩や辛さをイメージするとギュッと切なく、
溢れる涙が止まらなかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1697302359120-Zq2tL9aqlx.jpg)
そして苦しく不条理な重篤な病に、今も毎日苦しむ
人々がこの世の中にかなり多くいる。
その現実をこのサポートの仕事の経験を通して、
「お前はどうする?」「佳子に何が出来るのか?」と
私の目の前にビシッと叩きつけられた様に感じた。
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