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よく使う表現〜"Business as usual"


"Business”という言葉


"Business"という言葉は、日本語の中でもカタカナ英語としてすっかり市民権(?)を得た感があります。

 日本語の中で使われるカタカナの「ビジネス」というのは、殆どの場合は「ビジネス英語」(仕事の場面で使う英語)や「ビジネスウェア」(仕事の時の服装)など、「仕事」という意味で使われます。一方で、英語の"business"は、もう少し幅広く、「やっていること」というようなニュアンスです。


例えば、" It is not your business"(あなたには関係ない)という表現。私がこれを聞いてまず思い出すのは、 アメリカに住んでホストファミリーにお世話になっていた頃のこと。ホストファミリーのお父さんやお母さんが、子供に「何しているの?」「これ何?」「明日はどうするの?」などなど、親が子供にしつこく質問したり詮索したりすると、"Its not your business!"(関係ないでしょ!)と子供がキレるのを私は何度も目撃しました。

 "business"という言葉を使っているけれど「仕事」とは全く関係のない場面です。それにしても、親子の喧嘩って国が違っても似たり寄ったりですねぇ(笑)。


こんな風に、"business"という言葉は「仕事」や「商売」という他に、広い意味での「やり方」や「関わっていること」というニュアンスでも使います。

"Business as usual"が通用しないとき


"Business as usual"というのは、「Business=やり方」+「as usual=いつも通り」ということで、「いつも通りのやり方」という意味の表現です。

コロナ禍など有事においては、「business as usual」(これまで通りのやり方)を漫然とやっているだけでは通用しないことも多く、ここ一年ほど"We cannot stay with the business as usual "(いつも通りのやり方ではダメだ)など、これまでとは全く違う新しいやり方が求められるというような文脈で、この表現を聞くことが多い気がしています。

今でこそ「withコロナ」の生活にも随分慣れましたが、コロナが世界中に広がり人の動きが止まり、「この先どうなってしまうのだろう?」と誰もが不安だった頃を振り返ると、今も気持ちがゾワゾワするような感覚を覚えます。コロナ禍ではオンラインで国際会議の仕事も沢山させて頂いていますが、当初はコロナがいつ収束するのか、どれくらいの被害になるのか、経済的インパクトはどの程度か、いつワクチンができるのかなど、いろんな疑問に対して「分かっているのは、分からないということだけ」という状況だったのを思い出します。

私は同時通訳と英語コーチングのほか、エクゼクティブコーチングという経営者などリーダーのサポートをする仕事もしているのですが、前代未聞の有事にあって、"business as usual"(いつも通りのやり方)は全く通用しない、誰も正解を知らない中で経営判断を迫られる厳しい局面を、この一年半ほど目の当たりにしてきました。

そして、リーダーに限らず、全ての人が情報が錯綜するなかで自分の身を守るための判断を突きつけられたような気持ちになったことと思います。これまで慣れてきた"business as usual"(いつも通りのやり方)ではなく、この状況をやり過ごすための様々な工夫も見られました。

コロナ禍というのは本当に大変で極端な状況ですが、コロナで浮き彫りにされていた問題や課題は実はコロナ前から存在していたと指摘する人もいます。慣れ親しんだ"business as usual"(いつも通りのやり方)は心地良いものですが、単なる習慣として考えることもなくやっていることも多いことに気づきます。

コロナのような有事でなくとも、日頃から漫然と習慣やルーティンをこなすのではなく、一つ一つのことを丁寧に「なぜこれをやるのか」ということを振り返る機会を持つことも忘れずにいたいと思います。

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