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英語力は道具箱みたいなもの?

使い方を知ってるつもりでも・・・

先日、家具の隙間に飛び出ていた釘(のようなもの?)を何とかしようとツールボックスを引っ張り出してきて悪戦苦闘していました💦

滅多に使うことはありませんが、我が家には最低限のものを揃えたツールボックスがあります。トンカチ、ペンチ、ドライバーなどなど、工具には全く詳しくないので正式な名前すら良く知りません。用途が分からない「これ、なんじゃ?」というような工具も入っています。

先述の家具の隙間に出ていた釘(?)は、飛び出ていると危ないのでトンカチで叩こうとしたら隙間が狭すぎてトンカチの頭が入らず、ペンチを差し込んでトントン叩いたらなんとかなりました。ペンチの使い方としては間違っていたのかもしれませんが、一応これで目的は達成です(笑)。

トンカチは叩くもの、ペンチは引っ張るもの、ドライバーはネジを回すもの・・・工具に関する私の知識はこの程度ですが、その少ない知識でも実際に使ってみると、状況によって理解していた方法では使えないことや、本当は用途が違うけれど役に立つ使い方があるというのは面白い経験でした。


英語をツールボックスに例えると、単語、文法、熟語などの勉強して得た知識は、中に入っている工具のようなものです。でも、どんな道具でも持っているだけでは単なる所有物でしかありません。所有して使い方を頭で理解している段階では「使いこなせるもの」ではないのです。先の例で言えば、私はトンカチを所有していました。そして「トンカチは叩くもの」という理解もありました。でも、実際に使ってみたら隙間が狭すぎて役に立たなかった(泣)。

道具を持っているし、使い方の理解はあったけれど実際に使ってみたら、その通りにはいかず工夫が必要だったのです。

英語も同じで、例えば一生懸命に勉強してテストで高得点を取りました!・・・というのは素晴らしいけれど、それではまだ知識という「道具」を保有している状態に過ぎません。知識は使いこなせるようになって初めてスキルになります。そして使いこなせるようになるには、使い方を学ぶしかないのです。

英語コーチングをしていると、TOEICなどで高得点をとったのに英語が話せないというご相談も多いのですが、テストのスコアは「知識」の評価でしかないので、高得点イコール英語を使いこなせるということではありません「知識」を持っているからといって、自動的に使い方まで習得できているわけではないのです。

どんな道具を揃えるか

釘を叩こうとしてトンカチを試してみたら隙間に入らなかったけれど、(本来の用途とは違うものの)ペンチが役に立ったという事態が起こるように、ツールは実際に使ってみることで、思っていた通りにはいかなかったり意外なものが役に立ったという発見があります。それを繰り返していくことで、使い方が習得できると同時に自分に必要なものや、強化すべきポイントなどが分かります

職業柄、英語学習に関する様々な質問を受けます。
「文法は基礎だからやるべきですよね?」「単語力をつけた方がいいですか?」「まずはリスニング力がないと話にならないって本当ですか?」・・・などなど。

英語コーチングでは「必要な英語力をつけるために何をしたら良いのか」ということについて、じっくりお話を聞きながら学習プランを作っていきます。英語を学びたい目的によって身につけるべきスキルは違うからです。

ツールボックスの例で言えば、どんな工具を揃えるのかは目的によっても変わります。私のように殆ど工具を使う機会もない人が、大木を切り倒すようなチェーンソーを揃えるのは無駄でしかありません。英語も、「ミーティングでうまく発言できるようになりたい」という方に、「では、まずシェイクスピアの時代にはどんな英単語が使われていたのかを学びましょう」というのは的外れです。(無駄ではないかと思いますが、相当な遠回りですよね💦)

効率よく英語を学びたいのであれば、自分の目的に必要な英語能力を見極めて集中して学ぶのが一番です。万人に共通する魔法のように効率的な学習方法などありません。私のツールボックスに「なんじゃこりゃ?」と用途も分からない道具が入っているように、人が選んだものは自分には必要ないものも含まれています。まずは自分が英語を学ぶ目的を明確にすることで必要な「道具」の検討がつきます。

例えば、英語のミーティングでうまく発言できるようになりたいという目的があるのであれば、「うまく発言できない理由」を自分なりに考えます。

発言できないのは、単語を知らないのか、いざ言おうとしてみたら不安になったのか・・・などなど。


目的を明確にして現状とのギャップを把握することで、自分の弱点や強化ポイントが見えてきます。語彙力が不足しているなら調べて覚える、リスニング力が弱いなら英語の音を聞き取る練習をする、 発音が悪くて通じなかったなら発音の訓練をする・・・など、自分が実際に使った経験に基づいて「やるべきこと」が分かるのです。

さらに、学んだ「知識」を実際に使ってみることで「意外に使える」と気づいたり、「こう使えば良いんだ」などの発見もあるはずです。そんな風に経験を通して「使い方」を学び、経験によって気づいた強化ポイントを充填していけば、自分にとって一番使い勝手の良い「道具箱」としての英語力が手に入ります。

「効率の良い勉強法を教えてください」
「忙しくても、これだけやっておけば大丈夫というお勧め教材教えてください」

英語を学びたいという人から「効率」を求める相談をよく受けます。学習に効率を求めるのであれば、自分が使う英語スキルを磨くのが一番の近道です。


そして、ときどきはツールボックスの工具を保守・メンテナンスするように、過去に学んだ知識を再確認してみたり、新しい知識を取り入れてブラッシュアップするなどを繰り返せば、「自分にとって一番使いやすい道具箱」という英語力が手に入るはずです。

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