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訳しにくい言葉〜”deserve”

良くも悪くも「当然の報い」

訳すときには厄介なものの、「この言葉が日本語にあったら良いのにな」と思う英単語がいくつかあります。その一つが”deserve”という言葉。辞書で調べると、「〜に値する」「〜される価値がある」「受けるに足りる」などの意味が出てきます。良いことでも悪いことでも、行動がしかるべき結果として現れたときに使う言葉です。

例えば、友達がものすごく頑張って勉強して試験に合格したときには、「You deserve it!」という言葉がぴったりです。自然な日本語になるように訳すとしたら、「おめでとう!」「よかったね!」などになるかと思いますが、そこに込められているのは「あんなに頑張ったんだから合格して当然だよね!」という意味です。合格という望んでいた結果が得られたことに、「ここまでのあなたの頑張りは当然それを受けるに値する」ということを表す言葉が"deserve"です。

"deserve"は悪い意味での「報いを受ける」「(これまでの行いに対する)当然の結果」という意味でも使われます。今でもよく覚えているのが、某アメリカの航空会社が経営破綻した時のことです。その会社は、顧客サービスが酷くて有名でした。私も何度か利用したことがありますが、「サービス業という言葉の意味を知っているのか!💢」と言いたくなるほどの、まぁ酷いサービスだったわけです。

その航空会社が破綻したときに私の友人のアメリカ人が、「They deserve it!」と憎々しげに言っていたのが何とも印象的でした。この場合の「They deserve it!」というのは、「当然の報いだ!」(あんなにサービスが悪いんだから潰れて当然だ!)という意味ですね。

この言葉が日本語にも有れば良いのに、と思ってしまうのです

"deserve"という単語が訳しにくいのは、"deserve"に相当する(直訳できる)日本語がないことが理由です。以前、単語として切り取ってしまうと訳しにくいので、文脈で意味を汲み取って訳すしかない言葉として”decent”をご紹介しましたが、”deserve”も文脈によって訳し方が変わります。


その一方、"deserve"は英単語の中でもよく出てくる、つまりは便利な言葉なんです。先日も友人と話していたら「担当していたプロジェクトでトラブルが発生し、1週間も会社近くのホテルに泊まって家にも帰らず睡眠時間を削って働いた。プロジェクトが無事に終わったので今日から2週間お休みをとって、その間は会社のPCも触らない!徹底的に休む!」ということでした。

そのとき私が言いたかったのは、まさに「You deserve it!」です。そんなに大変な思いをしたのだから、しっかりお休みをとって、その間は仕事のことは一切忘れて良いよ!だって、めちゃくちゃ頑張ったんだもん!・・・などなどの言いたいことが全部詰まっているのが「You deserve it!」なんですよね〜。でも、そのときは日本語で会話をしていたので、「こういうときに日本語だと一言で表せる言葉がないんだよなぁ」などと思いながら、ボソボソと「おやすみ楽しんでね」と言うだけの私なのでした。

こんなときに、日本語にも"deserve"のように一言で状況にピッタリとくる言葉があれば良いのになあと考えてしまうのです。

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