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知らなくても意味が分かる英語表現 その3


状況を想像しながら英語を理解する

英語表現でメタファーとして使われるものは、文脈と照らし合わせながら状況を想像してみると意味が分かることがあります。

そんな、知らなくても意味が分かる(かもしれない)英語表現を幾つかご紹介します。

Watch dog
直訳すると「見ている犬」、つまりは番犬のことです。BBCニュースを聞いていると良く出てくる表現なのですが、ニュースの中で使われる場合は、「犬」の話ではなく、「市民団体」という場合がほとんどです。政府が不正をしていないかなどを監視して、何かあれば世論に訴えたり、署名活動をしたりする活動をしている人たちのことですね。BBCで良く聞くので、イギリス英語なのかな?と思ったりもしています。

Big brother
「監視」ということで思い出すのが"big brother"という言葉です。直訳すると「大きな兄弟」・・・それって、「お兄さんのこと?」と思ってしまいますが、メタファーとして使われる場合は、「独裁者」とか「秘密警察・思想警察」という意味です。

この言葉は1989年に刊行された、ジョージオーウェルの1984という小説に出てきます。架空の全体主義国家で、思想警察が国家に都合の悪い思想を持ったり、行動したりする人を取り締まるという話なのですが、そこに “Big brother"という言葉がたくさん出てきます。"Big brother is watching you“というのが政府が掲げるキャンペーンなのですが、なんとも不気味で怖かったのを思い出します。


この小説のインパクトが大きかったので、”big brother”という言葉が国家権力や独裁者に監視されるというような意味で使われるようになったようです。
"Big brother"という表現は、「監視されている」という意味でニュースや日常会話でときどき出てきます。

因みに、”big brother”は「頼れるお兄ちゃん」という意味で使われるともあるので、そこは文脈で言い分けたり意味を理解したりしてください。

 Cross the line 
Crossは何かが交差している状態を示す言葉です。十字架も"cross"ですが、確かに二本の線が交差していますね。交差点も"crossing point"と言ったりします。”cross”には「越える、向こう側に行く」というような意味があります。交差する、つまりは線を横切るような状態を示す言葉です。


Cross the line は直訳すると、「線を越える」となります。日本語で「一線を超える」という表現がありますが、英語の"cross the line"もそれに近いですね。何かの境界線を超えるようなイメージです。グレーだったものがブラック、つまりは決定的にダメなところまで行ってしまう、行ってはいけない領域に入ってしまった、というような場合にも"cross the line"という表現を使ったりします。


Baby step
直訳すると「赤ちゃんの歩み」。つまりは、小さな一歩という意味です。
これは日本語でも聞くことがあります。私がこの表現を良く使うのがコーチングのセッション中です。目標が明確になり、「じゃあ何から始めましょうか。どんな小さなことでも良いから、すぐに始められる"baby step"は何ですか?」というような会話で使う表現です。

Step on someone's toes
足つながり(?)で思い出したのが、"Step on someone’s toes"という表現です。直訳すると「誰かのつま先を踏む」となります。
これがメタファーで使われるときには、「人の領域をおかす」という意味です。
つま先は他人の身体の一部なので、そこを踏むということは相手の領域を侵害するということですね。

更に、"step on someone’s toes"は「怒らせる」という意味で使うこともあります。根本的なことで相手が起こるというよりは、何か気に触ることをやってしまってイライラさせるような怒らせ方です。

日本語で「気に触る」という表現がありますが、こちらも相手の嫌なところに触れて怒らせちゃうような場面で使う言葉ですね。相手の「気」(体から出ているエネルギー)の触って欲しくないところに触っちゃってイライラさせるイメージでしょうか。英語だと、「気」ではなく「toes(つま先)」になるのが面白いところです。

The band is here
これは、つい先日zoom会議が始まるときに聞いて面白いと思った表現です。「The band is here」というのは直訳すると「バンドがここにいる」となりますが、その時は「全員揃いました」という意味で使われていました。

もともとは「バンドメンバーが全員揃ったので演奏を始められますよ」という意味なのでしょうが、バンドじゃなくても「全員揃った」ことを伝えるために”The band is here”というのは面白いなぁと思いながら聞いていました。(厳密に言えば通訳していました。)


因みに、このときは不動産関係の結構お堅い会議で、「バンドメンバー」は一人もいませんでした(笑)

初めて聞いた表現だったので、そんなに一般的というわけでもないのでしょうが、言葉の表現というのは絶対的な正解があるわけではなく、状況の中で様々な工夫がされて、それが粋だったり印象に残ったりするものなのですよね。

英語を理解するにも、ときには記憶力より想像力が鍵になったりもするのかもしれません。

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