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今日わたしは背もたれになった

今日
わたしは背もたれになった

うちの親娘関係は
決して平坦でなく
わたしは
長い反抗期を過ごした

歳を重ね
近くに住むようになり
少しずついま
歩み寄っている

今朝
熱を出した母を
父の車に乗せて
わたしも乗って
病院に付き添ってから
診察のあと
親娘三人
実家に帰った

さあ、もらったお薬を飲もう
…とした
そのとき
母は
ベッドに座れなかった

介護に素人の
父とわたしは
なんとか薬を飲めるように
できれば水分と食事も…と
いろいろ試みた

いろいろ試みながら
父はわたしに
「ベッドに上がって
お母さんに背中を向けて
座ってみて」
と言う

やってみた
なるほど

わたしは母の背もたれになり
母は安定してベッドに座れている
互いの背中が
ぴったりくっついて
わたしは母の背もたれになった

わたしからは見えないけれど
父が母に
おにぎりを少しと
サラダを
スプーンで口まで運ぶ

「牛乳を飲みたい」
と母が言い
牛乳をストローで飲ませ
薬とお水も
父が飲ませた

その間わたしは
母の背もたれになっていた

ふたりの様子は見えないけれど
こんなふうにすこしでも
役立つ日が来るとは…

ちょっと
うれしかった

はじめて
ずっしりと
もたれ合った母の背は
めちゃくちゃ熱い
きっと母も
熱かったろう

父は
スプーンを動かしながら
孫の昼食を気にしている
なるべく早く
わたしを背もたれから解放して
帰宅させようと
せっせとスプーンを運んでいる

背もたれになった時間を
抱きしめて
わたしは
いったん帰宅し
自宅でわたしが
「お母さん」になる

夕方もう一度
実家を訪ねると
母は薬が効いたらしく
もうベッドから起きて
自力ですたすた歩いてる
良かった…

ひとつとっても
残念なことに
母は父に昼食を食べさせてもらったことを
覚えてないと言う

 きっと熱が高かったからだろう

それを聞いて
「スプーン投げてやろうか!」と
父は笑っている

母は「覚えていない」
と言うけれど
スプーンで一口ずつ運んだ
「じいじとばあばの感動的な話」

わたしから聴いた
「孫」は
忘れない

孫が描いた
お見舞いの絵
ばあばの好きな
秋桜の花の絵を
これから届けよう


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