森まさこ大臣国会答弁 いわきの検事が逃げたって本当?
ジャーナリスト あいはらひろこ記
「例えば東日本大震災の時に検察官は、福島県いわき市から国民が、市民が、避難していないなかで最初に逃げたわけです。そのときに身柄拘束している10数人の方を理由なく釈放して逃げたわけです」。
2020年3月9日の参議院予算委員会にて森まさこ法相は、検察官の勤務延長が必要になった理由を質した小西ひろゆき議員にこう答えた。
本日3月11日には、衆議院法務委員会で山尾志桜里議員に対して、「検察官が逃げた」と答えた内容は「事実です」と断言。法務委員会はこの答弁により、審議がストップした。
筆者は、この森法相の発言と食い違う内部文書を情報公開で入手した。
仙台高等検察庁大谷晃大検事長名で昨年9月に情報開示された「東日本大震災による被害と検察運営等について(報告)」:平成23年11月14日付文書。
東日本大震災の被害を受けた仙台高検管内の地検、支部、区検が2011年3月11日に、津波と地震、原発事故の被害を受け、直後からどのように対応したのかが、つまびらかに報告されている内部文書だ。
同報告書の46ページから48ページにかけて、震災当日の3月11日以降の福島地検の対応が述べられている。この中では福島地検いわき支部は、「同支部管内は、太平洋沿岸地域で、震災、特に津波による被害も甚大であり、いわき支部管内は、極度の混乱状態であって、事件関係者の取り調べや証人、被告人(在宅)等の公判への出頭確保が困難になっていた」という。地検いわき支部は震災後最初の通常勤務日となった3月14日に庁舎等施設の被害状況確認を行っていた。さらに、地裁いわき支部が3月14日以降期日の一部・全部を取り消したことから、3月16日から執務場所を地検郡山支部庁舎内に変更(3月23日まで)していた。
なお、福島富岡区検は、区検庁舎が東京電力福島第一原発から10キロ地点にあり、3月12日から避難指示が出されている。報告書作成時点では「立ち入ることができず、現在も被害状況が把握できていない」とある。
ジャーナリスト
あいはらひろこ