BSデジタルもっとミラクルナイト

 ついに、ついに、つ・い・に、12月がやってきた。年を重ねるごとに一年が経つのは早く感じるというが(「ジャネーの法則」と呼ぶらしい)、小生なんて中学時代から音速のように一年が過ぎ去っていたので、幸いなことに時の流れから加齢を意識することがあまりない。何の得にもならない1フェムトな優越感だが。

 これが1月や4月ならば、新しいことを何か始めてみようという新鮮な気持ちに包まれるものの、12月からエンジンを掛けようとはなかなか思わない(モチベーションという名のバッテリーがあがりそう)。そんな中、12月1日からスタートしたデジタル時代の幕開けとも称すべき大事業があったことをご記憶だろうか。そう、今日はBSデジタル放送が放送を開始した日であり、今年はちょうど20年の節目に当たる。

 モーニング娘。がBSデジタルのテーマソングとして歌っていた「♪じぇぇーんいぃーんいーっしょにミラコゥミラコゥ」から20年も経つのかと思うと、『時代』や『時の流れに身をまかせ』を有線にリクエストしたくなる。21世紀を目前に控え、新しいネットサービスが指数関数的にどんどん誕生し、高度経済成長期ほどではなくとも、なんとなくすごい未来がやってくるのでないかと期待したのも20年前だった。

 BSデジタルの魅力として当時言われていたのが、高画質・多チャンネル・双方向だ。20年経って答え合わせをしてみると、高画質はさらにパワーアップして4K・8Kまで進化した。我が家にあるテレビのHDDには『吉田類の酒場放浪記』と『町中華で飲ろうぜ』(共にBS-TBS)が大量に眠っているが、4Kで録画しているため、「HDDの容量を圧迫するからやめて」との妻からの苦情が絶えない。いやいや、Amazon Music HDをあえてチョイスする男である。4Kの艶を覚えてしまった以上、HD画質を積極的に選ぶ理由なんて全くない(高画質万歳)。順当な進化を遂げていると言えるだろう。

 多チャンネルは、BSデジタル自体もCh数が増えたが、YouTubeやAbema TV(正確に言えば'放送'ではないけど)を含めると、無限大の無料チャンネルに触れることができるようになった。子どもの頃はどんなに金持ちでも地上波の6~8局だけだったと考えると、この進化にはティラノサウルスもびっくりだ。

 しかし双方向はどうだろう。放送開始当初はどの局もそれなりにラインアップされていたと思うが、今ではほとんど存在せず、紅白歌合戦で紅組に一票を投じるときくらいしかリモコンの四色ボタンが活用されていないのが現実だ。もちろん様々な背景があると思うが、技術的には20年前とそれほど変わっておらず、我々のテレビに対する意識も'発信'が見事に抜け落ちてしまっている。双方向がもっと進化していれば、世の中も大きく変化したのではないかと考えるのは、少し買い被りすぎだろうか。

 ともかく、おめでとう。BSデジタル20周年。

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