感謝の気持ちを込めてーー漢詩『除夜の作』
いよいよ大晦日、今年も今日で終わりですね。今日は、『除夜の作』という漢詩をご紹介します。
作者は高適(こうせき)(706?~765)李白や杜甫と同時代の詩人です。
除夜の作 Chúyè zuò
高適 Gāoshì
旅館寒灯独不眠 Lǚguǎn hán dēng dú bù mián
客心何事転凄然 Kè xīn héshì zhuǎn qīrán
故郷今夜思千里 Gùxiāng jīnyè sī qiānlǐ
霜鬢明朝又一年 Shuāngbìn míng zhāo yòu yī nián
【書き下し文】
旅館の寒灯 独り眠らず
客心 何事ぞ 転た凄然たる
故郷 今夜 千里に思う
霜鬢 明朝 又た一年
【詩の形式】七言絶句
*客心・・・旅情
*転(うた)た・・・いよいよ
*凄然(せいぜん)・・・ものさびしく心のいたむさま
*霜鬢(そうびん)・・・霜のように白くなった髪の毛
*明朝・・・明日
【現代語訳】(『唐詩選』に紹介されている現代語訳をベースにさせていただきました。)
旅先の宿の寒々とした灯(ともしび)の下、独り眠れぬ夜を過ごしていると
旅情はなぜかいよいよ物寂しさを増すばかり
千里彼方の故郷に思いを馳せ
白くなった鬢の毛に明日はまた一つ年を重ねるのだ
*第三句は「故郷 今夜 千里を思わん」と読み、「故郷の人々が私(作者)を思う」とする解釈も有ります。
明日は新年。昔の数え年であれば一つ歳をとる訳ですが、無事に一年を終え、新しい年を迎えられることに感謝の思いを新たにしています。
歳をとるのは経験が増えること、有り難いことですね。
今年10月にnoteをスタートさせて、約2ヶ月経ちました。これまでご覧いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
2021年が皆さまにとって心穏やかな1年になりますようにお祈り申し上げます。
【参考書籍】
『漢詩一日一首』 一海知義著 平凡社ライブラリー
『唐詩選』 高木正一 朝日新聞社