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東京大学大学院情報理工学系研究科「交通情報学特論」がアツい。GBFSも!

この記事は シェアモビリティの標準的なデータフォーマット GBFS Advent Calendar 2023 25日目の記事です。

きっかけは1つのツイート

東京大学大学院情報理工学系研究科の伊藤先生の「交通情報学特論」のカリキュラムを拝見して、とても興味を持ちました。


そこで、科目等履修生などの制度を活用して外部からも受講することは可能なのか調べてみました。

科目等履修生について調べてみた


ポイントは以下の2つです!

  1. 授業は4月からで、4月入学者(S1S2ターム)は、昨年だと2023年2月20日(月)が出願の締め切りだった。

  2. 大学院の授業なので、(1)修士の学位を有する者という出願資格がある。

また、担当教員の方の承認を受けることが必要です。

【情報理工学系研究科大学院科目等履修生案内】の一部抜粋

1.出願資格
(1)修士の学位を有する者
(2)修士の学位を有する者と同等以上の学力があると本研究科が認めた者

6.出願手続
履修を希望する者は、あらかじめ履修希望科目の担当教員及び専攻主任の承認を受けること。承認を得た後、下記(1)出願期間内に検定料を納付し、研究科長宛に下記(2)出願書類を提出すること。

(1)出願期間

【 4月入学者】2023年2月13日(月)~2月20日(月)〔消印有効〕
【10月入学者】2023年8月14日(月)~8月21日(月)〔消印有効〕


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2024/1/11更新:2024年度 東京大学大学院情報理工学系研究科 大学院科目等履修生出願要項を掲載されていました。
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まずは、公開された授業動画を見てみよう!

働いている社会人にとって実際に現地で授業を受けるのは少しハードルが高いと思います。

ただ、幸いにも第1回から第7回まで(第5回はゲスト講義のため非公開)の講義が公開されています。感謝。

まずはこれらの動画で学んでみましょう!

第1回「交通情報学入門」

この講義は、情報技術との融合によって高度化が進んでいる交通関連技術について概観し、交通データ分析や交通シミュレーション、交通案内サービス構築に必要な技術を身に付けることを目的としています。交通工学や交通計画学など交通を支える技術や学問は、現代の情報技術と融合することで、リアルタイムに大量のデータを分析し、即応的に施策を実施する新しい形へと進化しはじめています。この講義では、交通データの収集、可視化、分析、社会システムへの応用について、最新の事例や研究成果を紹介するとともに、実際の交通データに触れながらプログラミングやデータ分析ツールの利用技術を学びます。交通を学ぶ学生だけでなく、交通に関わる社会人などにも有用であると考え、学生とのディスカッションなどを除き講義内容を広く公開します。

2023年度 交通情報学特論 第1回「交通情報学入門」

第2回「地理情報システム(GIS)と時空間データベース 1」

0:00:00 オープニング
0:02:44 GISとは 重ねれば見えることがある!
0:12:38 技術の民主化とオープンソース
0:21:00 交通関連データの全体像
0:22:09 地理院地図とQGISへの取り込み
0:32:24 国勢調査のQGISへの取り込みと地域メッシュ
1:08:34 国土数値情報 行政区域データ
1:15:14 国土数値情報 鉄道データ
1:25:10 QGIS基礎操作
1:28:16 GTFSによる公共交通オープンデータとGTFS-GOを利用した取り込み
1:34:05 シェアサイクルデータ(GBFS)とQGISへの取り込み
1:36:15 道路データ
1:36:52 公共交通利用者・人流データ
1:38:41 まとめと今後の予定

第3回「地理情報システム(GIS)と時空間データベース2」

0:00:00 SQLとは システムSQLと分析SQL
0:13:43 大都市交通センサスについて
0:20:38 PostgreSQLと演習データ準備
0:29:22 大都市交通センサスデータをPostGISに読み込む方法
0:42:51 基本的なSQLの考え方
0:45:15 2次ODデータの基本的な検索 (select, where, order by)
0:54:54 定期券データの基本的な検索 (and, or, not)
1:03:31 文字列の柔軟な検索と駅名検索 (like, distinct)
1:08:37 出発時刻から到着時刻の推定
1:14:32 集約関数 (count, sum, avg, min, max)
1:18:12 group by 節を使った集約
1:25:02 SQLとExcel(ピボットテーブル)を利用したOD表の作成
1:33:21 公式乗降人数との比較
1:34:53 まとめ ChatGPT応用など

第4回「PostgreSQL + PostGIS + QGIS による公共交通データ分析 1」

0:00:00 PostgreSQL+QGISで出来ること
0:02:20 SQLについて前回講義の補足
0:05:15 今日の講義で作成するデータ
0:07:35 SQL復習
0:09:51 大都市交通センサス 2次ODデータの集計
0:15:13 同名の駅を区別して集約する方法(都市名を利用)
0:21:11 2つの集計結果の結合 (union, union all)
0:26:44 集計結果をさらに集計する(group by)
0:31:38 集計結果をテーブルとして保存する
0:33:35 定期券データに対しても同様に集計
0:39:50 case when による条件分岐
0:46:28 集約結果を駅名でさらに集約(サブクエリ)
0:50:52 駅の代表座標を国土数値情報から取得する
0:58:43 駅マスターデータの作成・同名の駅を区別して集計する(k-means法を利用)
1:03:45 QGISとPostGISの連携 クラスターを可視化し確認
1:08:38 駅名とクラスタ名を利用したグループ化
1:14:29 市区町村境界データとJOINし県名・都市名の取得
1:28:46 本日のまとめと算出したデータの評価
1:32:23 次回以降の案内

第6回「PostgreSQL + PostGIS + QGIS による公共交通データ分析 2」

0:00:00 オープニング データ分析の難しさ
0:04:33 前回までの復習 SQL, PostGIS, QGIS
0:06:34 SQLのJOINについて
0:17:40 SQLでのJOINの書き方, JOINの種類
0:23:17 前回集計したデータの復習
0:27:31 復習 駅マスターデータの作成 位置クラスタリングに基づくグループ化
0:32:53 駅マスターデータの作成 市町村境界データから県名・市町村名を追加
0:41:31 駅マスターデータの作成 市区町村名の整形 (case式による条件分岐)
0:48:32 市町村境界の精度について
0:50:05 ここまでのデータをJOINしてデータを完成させる
0:59:37 合計乗降人員の計算と公式データとの比較
1:03:37 QGIS上に駅名や乗降人数円グラフを表示
1:11:00 市町村境界・路線図を追加しデータを見る
1:14:45 駅勢圏人口の算出について
1:21:14 まとめ

第7回「PostgreSQL + PostGIS + QGIS による公共交通データ分析 3」

00:00 オープニング
01:42 PostGISとjoinの応用 国勢調査のQGISのデータをPostGISに持っていく
04:18 駅勢圏人口の求め方(復習)
05:30 GISと空間座標系・投影法
11:02 Bufferingで駅勢圏を算出の実演
15:00 国勢調査データをjoin
18:48 人口を面積で按分し合算
26:52 データに駅の緯度経度を付加しテーブルに保存
29:18 GIS上に駅勢圏人口を可視化しデータを確認
37:03 ボロノイ分割とBufferingを併用した駅勢圏(SQLのwith句を利用)
46:12 動的データの収集・分析(SQLのwindow関数)
51:48 GBFSデータのWebクロールとSQLへの取り込み
52:34 GBFSデータを可視化
54:52 インポートしたデータの確認、時系列データの確認
59:30 シェアサイクル利用数、返却数の推定(window関数lagの説明)
1:13:24 ステーションごとに集約しテーブルに保存
1:17:44 QGISでシェアサイクル利用台数を可視化
1:22:04 本講義で扱ったSQLの復習と書籍紹介
1:23:44 次回案内・まとめ

なんと第7回では、GBFSのデータが活用されてました!びっくりしてわたしもツイートしました!


動画を見たうえで、後半戦も受講してみたいという方は、ぜひ科目等履修生を検討してみたください。
後半のカリキュラムは以下のような内容です。

7. PostgreSQL + PostGIS + QGIS による公共交通データ分析 3 Join応用、ウィンドウ関数
8. ネットワークの探索と自動車交通
9. 交通流シミュレーション入門
10. ゲスト講義2: 交通×IT×データのこれまでとこれから (太田恒平・株式会社トラフィックブレイン)
11. ミクロ交通流シミュレーションSUMO深掘り
12. 都市交通計画学温故知新
13. 交通情報学の未来(ディスカッション)

以上、GBFSも取り扱われている「交通情報学特論」について解説しました。


サポートのお金は,少し値段の高い マシュー・J.サルガニック 著『ビット・バイ・ビット -- デジタル社会調査入門 』(¥4,320)の購入資金にあて,noteに書評を書こうと思います.ぜひサポートお願いします\(^o^)/