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外を眺めながら思うこと

ピアニストとして、いつもだいたい音楽のことを考えていますが、昔はそれと同じくらいカレーのことも考えていました。

僕は92年に東京に出てくるまでは、札幌の実家にて家庭料理(比較的洋風)を食べて育ちました。伝統的な日本人の。。というよりは、昭和のハイカラな感じですね。

そのおかげで僕は和食にあんまり馴染みがありません

上京してから、札幌がスープカレーブームになり、
僕のほぼ同学年の友達(山田くん扇谷くん義人くんそして栄二くん)がみんなハマっていました。
彼らはまだ札幌にいましたので、僕は札幌に帰る度に、連れて行ってもらったり、情報交換しました。。
帰る度に食べるスープカレーが楽しみになっていました。96,97年ごろとかかな。。

で、その頃僕は東京で色んなカレー屋さんを片っ端から攻略していました。
当時東京のカレー事情は。。
デリー系と、中村屋、ナイル、などの初期系と、スパイス多めの非インド料理(インド風カレーとか言われてました)、それから南インド料理(アジャンタからの流れ)辺りかな、今でもおおよそ同じでしょうか?
しかし、スープカレーはまだ来ていませんでした。

札幌の人が言うには、

「えっ、東京ってスープカレー無いんだ。。」

と、ほくそ笑むわけですね、ちょっとだけ勝ち誇ったように(笑)。

いや。そりゃ無いだろうよ。と思いましたけど、その後のセリフが、

「じゃあルーカレーしかないって事?」

はい?

「ルーカレー」?

当時札幌でのカレー分類方法は、
*スープカレー(札幌がオリジナル!誇らしい)
*ルーカレー(なんか昔からあるやつ全部)
という二つでした。2000年以前の札幌カレーガイドなどを読むと、しっかりインデックスがこの二つで、しかもスープカレーが9割という様子でした。

えーとね、東京には、いわゆるインド料理もあるし、東京に根付いているカレーのタイプもザックリとわけて4つか5つくらいあって、、
一所懸命説明するわけですが、

「あ、でもそれって全部ルーカレーだよね」

えっ。。??

札幌にはもう一つ、スープカレー=スリランカ料理説というのもあったのですが、もう面倒なので割愛させていただきます。

日本全国のカレー事情2019年版

というわけで、
現在は、札幌でも例えば南インド料理や、スタンダードなスリランカスタイルなどのお店も少しあるようです、でもあまり支持されている感じは薄く。ルーカレーという呼び名の使用率もようやく50%を切ってきたかなという感じがします。
スープカレーブームは落ち着いています、というか完全に定着して、最近僕の周りで話題なのは、初期のお店のテイストを継承しアップデートしているお店。

東京では、それこそ東京独自の文化だった、インド風カレー、が支持率が下がっているようです。中でも、浅草「夢屋」的なサラサラ系は、90年代までは少しあったのですが、今は夢屋くらいなのかな。

高田馬場にあった「夢民(ムーミン)」系も一時期急にフランチャイズ化して、それらは名前が変わったりもして、でもその後いきなり無くなっていきました。。
馬場の本店が一番美味いと言われていましたが、僕が思うに、フランチャイズ店舗も、別物と思えば美味しかったように思うんですけどね。。

東京はきっと葛西インド人街のディープインド、なんかが近年のトピックなんでしょうけど。。
一般の人には伝わらないですよね。

リアルエスニックが食べれるのはとっても嬉しいですが、日本人が自国の環境をフル活用して、クリエイティブなスパイス料理を作り上げる、こんなムーブメントが東京にまた起こると良いなぁと思っています。

それ以外だと、よく見るのが某アウトドア系チェーンとか。。
でもどうも広告代理店風テイストがなんか鼻に付くんですよね(笑)
そんな風に始めないと今の日本では勝ち目ないんでしょうか、マーケティングからの?っていう。
カレー以外でもその流れが加速してるように感じられ、駅前商店街がどんどん新規駅ビルに取って代わられ、地方の場合はイオン的な何かに。

大阪は、3年前くらいからブームが来て、
スパイスカレー(場合によってはスリランカ含む)と、古くからのカレーライスの二分法になっていて、これがいにしえの「ルーカレー」を彷彿とさせ(笑)僕なんかは若干引いています。
が、多少見た目がごちゃごちゃし過ぎではありますが、クリエイティブでもありますので、期待もできそうです。
スリランカ系はどこのお店でもプレートの中身が一緒なので、ここも、もう少し遊びがあっても良いんじゃないかなぁ、などと思っています。

本国の料理はもっと多様性があるでしょうしね、知らんけど

福岡(九州全土)は、90年代から人気のスリランカ風がここに来てブレイク。
しかし、やはりスタイルが老舗のコピーから始まっているので、ここでもガラパゴス化が問題とされています。

僕は、かねてからこのスリランカ風スタイルが好きだと公言してきましたが、そろそろやはり新しいクリエイティブな要素が欲しいかなと、期待しています。

これら以外で期待できそうなのは北陸かな。。
もともと富山にはなぜかデリーからの流れのチェーン店が存在していたし、最近は日本語が通じなさそうなパキスタン系とかもあったりとか、なぜかエッジの効いたお店が突然開店します。

これからの日本のカレーはいずこへ

僕の仕事は、日本全国を演奏で飛び回ってきたので、幸いにも各地の美味しいカレーを食べてこれました。
オリジナリティーあるクリエイターはもう尊敬しかないのですが、ブームに便乗している感のあるお店は、
少しだけ、
他の街ではどうかと、他の国はどうか、カレー系以外の料理はどんなか、とか、外を眺めてもらえたら、なんかヒントがあったりするんじゃないかなぁと、生意気ながら思ったりしています。

あと、個人的には、東南アジアの食文化が好きですので、こちらにヒントも沢山あるんじゃないかなぁと思ってます。ここはまだあまり開拓されていない気がします(もちろん専門店は存在しますが)。

そう考えると、

札幌のスープカレーの大ヒット店、マジックスパイスは、インドネシア料理からヒントを得たと公言していて、
そのことがあったので、僕もジャカルタでソトアヤム(チキンスープ)を食した際に、お皿から故郷札幌の景色がうっすらと見えてきて、感動を覚えました。

食べたソトアヤムは、マジックスパイスのようなハッキリした味ではなかったけれども。

僕がインドネシアが好きなのは、実はこの辺に遡ることができそうです。


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