見出し画像

私は定時で帰りませんでした。

ブラック企業を擁護する気も、援護する気も全くないことを先に言っておく。

私が会社勤めをしてコピーライターを始めてから、12年前に会社勤めを辞めるほとんど定時で帰った日はなかった。仕事が忙しかったのもある。でも私としては面白かったからだ。これは間違っているのだろうか。就労の途中で裁量労働制に切り替わったり、管理職になったりしたので残業手当などは付かなかった。

熱狂的に仕事をしろ、というのが社長のポリシーだったが、私は熱狂的に仕事をしていた。これは今風に言えば、悪いことなのだろうか。強制されて嫌なのにやっていたのだとしたら、これ以上ブラックな環境はないぐらいだったと思う。でも好きだった。自分がいいと思うコピーを書くこと、いい広告を作ること、その結果、自分がいいと思っている楽器や機材がヒットすること。

仕事だと思うと、サービス残業とか、ブラック企業とかという話になるのだろうが、これがギターの練習だったら、バンドのリハだったらどうだろうか。私の場合、ギターを始めた頃は学校から家に着いた瞬間からギターを弾いてい、寝るまで弾いていた。学校でも休み時間には弾いていた。ギターを弾くことが死ぬほど楽しかったからで、誰にも強制されたわけではない。

コピーを書くことに関しても、ギターほどプリミティブに楽しかったわけではないが、スキルを身につけ、場数を踏み、時に褒められたり、時に怒鳴られたりしながら、広告を作るのは楽しかった。だから熱狂できたのだ。

熱狂しながらいい仕事をして、定時に帰るってことが、できるのだろうか。今どきはできるのかもしれないが。たぶん私にはできない。

ま、いまは一人しかいない会社の社長だから、残業し放題だけどな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?