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チャーリー・ワッツ追悼。チャーリーのドラムがいかにかっこいいかについて。

ローリングストーンズををはじめて聴いたのは中学だった。その時はビートルズにはまっていたので「下手だな」と思った。キースのギターもチャーリーのドラムも、リズムが緩くてグラグラしていると感じた。
当時ギターと吹奏楽部のトランペットを同時にやっていて、ギターのほうがすいすい上手くなったんだが、トランペットは伸び悩んだ。いつも「上手くなりたい」と思っていた。

上手くなるという呪縛から卒業したのは、意外に遅くて、一応バンドでギャラをもらって暮らせるようになった20代はじめのころだった。バンドはボーカルの歌の力とベーシストが主に書く楽曲の力で評価されてプロになったが、俺のギターはさっぱり上手くなかった。ただプロとして現場に行くようになったので、必然的にプロの心構えが必要になった。

その時わかったのはプロとしてあるレベル以上「上手い」のはあたりまえだということ。それ以上に必要なのは、その人を呼ぶ理由。たとえば「めちゃくちゃうまい」「楽譜にめちゃくちゃ強い」「ステージ映えがしてカッコイイ」「ギャラが安くても来る」とか。そしてそのこで最強のなのが「この人の音がほしい」ってことだ。

上手かろうが、ヘダだろうが「あの人の音がほしい」というのが、ミュージシャンの最強セールスポイントだ(大事なことなので2回言いました)。細かく言えば、音色だったり、フレージングだったり、フレーズを出すタイミングだったりも含まれる。

逆に言えば、音楽を聴いていて、このギターは、ジェフ・ベックだな、とかエリッククラップトンだな、とか、サンタナだとか、パット・メセニーだとか、ジョージ・ベンソンだなとか。ギターが好きな人ならすぐわかるだろう、そういう人になると言うことだ。めちゃくちゃレベル高いだろ。

トランペットでもマイルスもウィントンもチェットベイカーもクリフォードブラウンもすぐわかる。僕は原朋直師匠の音もすぐわかる。

ドラムだって、スティーブ・ガットだって、ボンゾだって、リンゴだってすぐわかる。そして、本当に一発でわかるグルーブ感と音、そしてめちゃくちゃかっこいいのがチャーリー・ワッツだ。

ロックバンドの場合はアーティスト単体ではなく、バンド全体が一つの音になる。だからキースのギターとチャーリーのドラムとビル・ワイマンの音ででストーンズという一つの音になる。なかでもキースとチャーリーのリズムと音の組み合わせはものすごい起爆力だ。

ああ、ちょっとまとまりがないけど、ほんとカッコイイし、ほんとにすごいと思う。そしてあの穴はだれにも埋められないだろう。ボンゾと同じように。

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