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「いまはもう、人生を語ろう」#03 ギターを弾きはじめた頃の僕の先生はブルーグラスのギタリストだった福島さんだった

小学校でコルネットを買い、中学校で吹奏楽部に入った、そして中学にはいってまもなく、アコースティックギターを浜松の西武デパートに買いに行ったというのが前回までのお話。
たしかに13歳ぐらいだから、1976年か。西武のギターコーナーに燦然とマーティンの建国200年モデル、D-76が飾ってあったのだから、その頃だったんだろう。

すでにギターを持つと不良、という時期は終わっていたと思うし、ギターを弾くから不良だ、と言われたことはなかった。が、まだフォークが全盛だったこともあり、高価だったこともあってエレキギターを持っている友人はあまりいなかった。
そしれそれ以前に、僕自身もまずはフォークを弾き語りしたいと思ってアコースティックギターを買った。予算が15000円だった。西武のギター売場のヤマモトさん? に進められたのがヤマキのD18タイプのギターだった。今思えばこれは非常にいい選択をさせてくれたと思う。
いまもこの第一号機は所有しているし、大学時代実家に置きっぱなしにしてあったヤマキを東京の下宿に持って来たとき、ケースから出して弾いたら途端に、その音の懐かしさ、素敵さに涙が溢れてきたというギターだ。

ギターは買ったが、誰も先生はいない、教則本もろくにない。明星の付録の歌本のコードを押さえる部分をみながら、今思うとそうとうあやしい教則本を見ながら、見様見真似でギターを弾きはじめた。

我ながら思うのは、苦労して、苦労してそれでもなかなか中学時代は上達しなかったトランペット(コルネット)に比べ、ギターはほとんど苦労することなく、どんどん、飛躍的に上達したし、寝る寸前までギターを手放すことができなかった、楽しすぎて。

また上達した理由の一つが、ギターを買うときの幸運な出会いであった西武の楽器売場だ。ここのギターコーナーはキャッツアイで有名な東海楽器から出向していたようだが、最初に購入した時の担当のヤマモトさん?が静岡市の西武に配属替えになり(そこにも中学生軍団でわざわざ会いに行ったのだったが)次に浜松西武の楽器売場に来たのが福島さんで、僕のギターの最初の師であり、ひよこがはじめてみた親鳥、に近いのが、この福島さんさった。

福島さんは現在もブルーグラスの演奏活動をされているが、とにかくギターもフラットマンドリンもバンジョーも弾ける人だったし、目の前でフラットピッキングでガンガン、ブルーグラスの名曲「ブラック・マウンテン・ラグ」とかを弾いてくれて、分からないことは何でも教えてくれたし、わりと近所で自転車に行ける距離に福島さんの借りていた家があって(これまた今思うとカントリースタイルの素敵な部屋で強い影響を受けている)、ご自宅に遊びにいっては延々とギターを弾いたり、レコードを聞かせてもらったり、玄関に立てかけてあったウッドベースを弾いたりしたのだった。

そんなこんなで中学3年の時点で、ドグ・ワトソン、ノーマン・ブレイク、ステファン・グロスマンなどのギターを聞き、弾けないなりに弾いて、ギターを鳴らすってことはどんどんできるようになったのが、中学3年までの話。たぶんドブロというか、スライドギターの面白さを知ったのもこの頃。当時(から)プレイヤーで連載していた吾妻光良さんのコラムでスライドギターに興味を持っていたのもあるが、目の前で福島さんに見せてもらったりしていた。あとは、フラットマンドリンも借りて家で弾いたりしたなぁ。

この3年間でギターはかなり上手くなったと思うし、とにかく朝から晩までアコギを弾き続けていたのが、この頃の話。思うにこの時のギターの実力は、いまの8割から9割ができあがっていた気がする。
だから、最近さっぱり弾いていないんだけど、俺、実はラグタイムギターが得意だったりする。あれはアコースティックギターの極北だ。

だんだんバンドに誘われなくなったら、またソロでラグタイムギターでもやろうかな。

そしてパラレルではブラスでラッパを吹いていたが、それはまた次の話。

続きます。

盲目のブルーグラスギタリスト、ドグ・ワトソンのBlackmountain Rugはこちら。

https://www.youtube.com/watch?v=QaT1qC42drM

ステファン・グロスマンとジョン・レンボーンの演奏はこちら。

これがノーマン・ブレイク。このアルバムは浜松のヤマハかじまち店のレコード売り場で買った。その売り場のお姉さんが、その後福島さんの奥様になるのだった。素敵な話だ。

ミュール・スキナー。
これも福島さんのご自宅で聴かせてもらったアルバムで、カッコいいと思ったが今聞いてもめちゃくちゃかっこいい。
このテレキャスの音が、最高だ。
今思えば、ギターはあのクラレンス・ホワイト(のちにバーズ)
そしてマンドリンは王様デヴィッドグリスマン
バンジョーも、これまた王様、ビル・キース
なのだった。すげーの中学生に聞かせるぜ、福島さん!

Clarence White - Acoustic Guitar, Electric Guitar, Harmony Vocals
Peter Rowan - Rhythm Guitar, Acoustic Guitar, Lead Vocals
David Grisman - Mandolin, Harmony Vocals
Bill Keith - Banjo, Pedal Steel Guitar
Richard Greene - Fiddle, Bass Vocals
John Kahn - Bass
John Guerin - Drums

Produced by Richard Greene and Joe Boyd


こちらは中川イサトさんの、六番町ラグ
これはご本人の教本もあり、そしてレコードも買ってめちゃうちゃ練習したので今でもスラスラ弾けるはず。ちなみにこの音源のベースは細野晴臣。今思えばこのベースのミュート感に、かなり影響されている気がする。といういのも最近はベースを良く弾いているのだった。


ちなみにこちらが、私のアコースティックギターの最終到達点であった、マーティンのD-35。いいギターです。最近全然弾く機会がなくなってしまって、倉庫に入っていたのでもったいないと思い、友人の中古ギターショップに委託販売品としておいてもらっている。売れたら嬉しいが、売れなかったら一緒に燃やしてもらうか。いや、もったいないので、誰かに弾いてもらいたい。響がギターを弾ければ喜んで譲るんだが。

ギターショップ浜松ビレッジにある俺のマーティン D-35



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