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釈放の手続きを終え、留置場の担当さんにもお世話になったお礼をし、1カ所しかない鍵のかかった重厚な扉が開かれました。

しかし、そこには私を逮捕した刑事2名が。

「どうも。」と私。
刑事の表情は厳しく、笑みは一切ありません。
23日間の勾留満期から特段会うこともなく、久しぶりの再開です。

「ちょっとだけ、時間いいかい。」刑事が一言。

保釈前に弁護士先生から、
「今回の保釈において検察警察のメンツは丸潰れでしょう。もしかしたら、何らかの余罪をもとに<再逮捕>されるかもしれません。」
と、言われていました。

「きっと、再逮捕だ。」そう思った。
折角ここまできたのに、また最初の逮捕当日に逆戻りしてしまうのかと思うと、それだけで全身の力が抜けてしまいました。

1ヶ月前に逮捕状を見せられた取調室に向かって歩きます。
しかし、その少し手前で先頭を歩いていた刑事は左に曲がりました。
「ちょっと、ここに座って待ってて。」
そういうと、もう一人の刑事が大きな袋を持って現れました。

「押収物を返すから。」

もう、びっくりさせないでほしい。そういうことは最初に言うべきではないか?
本気でまた手錠をはめられるかと思ってしまいました。
このやり方は、きっと保釈に対する腹いせですね。(笑)

そういえば、携帯が手元にありません。
勾留中、最後までパスワードを捜査機関に教えることはありませんでしたので、解析を試みているのであれば、戻ってこないと思ってました。
戻るとなれば、それはそれでよかったです。

押収されたダウンジャケットはもう着なくても大丈夫な暖かさ。
大きな紙袋を用意してくれました。

押収物全てが戻ってきた訳ではありませんが、大体は戻ってきた感じです。

最後に<押収物目録交付書>を受け取り、エレベーター前で刑事たちとお別れ。
刑事の一人が「何かあったら、また連絡しますね。」と。
正直、もう連絡しないで欲しいと強く思いました。

エレベーターが1階に到着。

留置場の担当さんが別れ際にこんなことを言っていました。
「警察署の敷地を出た瞬間、後を振りむいて刑事がいなかったら大丈夫。家に帰れるよ。」

玄関を出て、後ろを振り返ると誰もいません。

空を見上げると、春の青空が視界いっぱいに広がっていました。

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