見出し画像

NO36.「あるくみるさがす」24年夏、涼を求めた旅の結論は?

 「暑いですねー。」という挨拶言葉はここ数年自分からはあまり言わなくなった。夏は暑いのが当たり前だからだ。当たり前のことは言うな、というのが本音である。

 これからも毎年暑い夏が続くと思われるので、夏の涼を求める旅はますます重要なものになる。

 このブログは、自分の心が安らぐ地は地球上で一体どこかを探す記録のようなもので、それ以外の目的で公開しているものではない。

 以下の涼を求めたこの夏の旅で感じ発見したことを残しておきたい。
 
6月下旬:東北海道
7月中旬:尾瀬、川場村
7月下旬:田貫湖
8月上旬:車山・霧ヶ峰高原
8月中旬:南太平洋フィジー

 私は、都会のコンクリートジャングルの酷暑を避けるには、森に逃げるのが一番と考えている。

 太陽の光を断ち切るこの天然のシェルターは、もし風通りもよいロケーションが見つかれば夏の時間を過ごす絶好のスポットと言える。加えて静かな環境であればポータブルチェアなどを持ち込み一日中読書などして快適に過ごしていたいものだ。

 場所探しで注意すべき点はまず熊や鹿などへの警戒だ。蜂、ハエ、蚊など飛んでくるもの、地面からは蟻や虫などの襲来がないという重要な条件もある。その心配があるだけで落ち着いて過ごすことはできないだろう。
 
 そのため必然的に宿泊施設などが近くあり、伐採などある程度整備された場所に限定されることになる。そのような条件の理想的な場所はあるかどうかが今年の夏の旅のテーマでもあった。

 富士山の西側にある湖、田貫湖はこの条件をクリアした。隣接する宿泊施設は「休暇村富士」一軒しかなく静かな環境で湖の背後には整備された森もある。

休暇村富士から見る富士山を背景にした田貫湖

 何より気に行ったのはその静けさ。この湖は周遊自動車道がないのだ。一部岸沿いに車道があるが車は非常に少ない。湖の周囲は自転車および歩行用の専用路になっている。
 日本のある程度大きい湖は周遊できる道路があり、車やバイクが音を立てて走っている。だからだいたい騒音が絶えず折角の環境を台無しにしてしまっているケースが多い。
 一方この湖はそんな交通がないのでシーンとしている。つまり自然を感じ、鳥の鳴き声や虫の音をききながら時を過ごせる場なのだ。そして凉さを提供してくれる森が周辺にはある。富士山の絶景付で。

 このようなわけでとても気に入り昨年に引き続き今回2度目の滞在をした。この湖は富士五湖の山中湖と富士山を挟んだ反対側に単独で存在する。白糸の滝を除き近くにメジャーな観光スポットもないので観光客があまり多くない静かなエリアで夏の穴場とも言えよう。

 森が涼を提供してくれる村の一つが群馬県の川場村だ。

 ここは世田谷区が40年以上前から区民健康村として提携をしている村で、専用の宿泊施設が2か所設けられている。区民であれば2食付きで一人5,900円で泊まれるお得な施設でもある。食事のレベルもその値段に比してとても満足いくものであった。

川場村 世田谷区民健康村 
ふじやまビレッジ

 区民の私としては以前から興味があり今年初めて滞在したが、深い森の中に文字通り川がながれ、森の涼しさにその川の冷気も加わり、炎天下から5度は低い気温が提供されていることを実感した。
 新幹線が泊まる上毛高原から送迎もしてくれるのでアクセスもよい。スポーツ団体など子供たちの夏休み期間は賑やかとなるが、それを避ければゆっくりと涼を過ごす旅が楽しめる。来年も是非リピートしたいと思う。

 世田谷区だけで多くの自治体がこのような保養所を持っているので確かめるといい。お金をかけないでも丹念に探すとよい場所はあるものだ。

 尚、高尾山は都心に近くアクセス抜群、沢山の巨木や背の高い木を擁する深い森があり自分のお気に入りだが、風が通らないと酷暑日はちょっときつかった。

 この夏いくつかの湿原を訪れた。釧路湿原、尾瀬ヶ原、八島湿原(霧ヶ峰高原)などだ。

 湿原はハイキングやボートなどで移動しながら楽しむことが多い。あまりじっくり腰を下ろしてのんびりと景色やその自然を楽しむことは少ないし、それに適する場所が少なくて残念だ。
 また日陰が少ないので、昼間は直射日光を当り続けるとそれなりに暑い。そのため夏は早朝に歩くのがお勧めだと思う。もちろん夜は天然のクーラーを楽しむことができるのは間違いない。
 尚湿原には是非もう少し多くのベンチを置いて欲しい。その景色をゆっくり座り楽しみたいという人が少なからずいることを管理者は理解して欲しいと願うばかりだ。

 

釧路湿原リバークルーズ
八島湿原(霧ヶ峰高原)

 さて舞台は海外に移るが、この夏我が人生で初めて南太平洋のフィジーに行った。
 
 ツーリストの新人の頃、会社がフィジーへのチャーター便を企画して、私はそのパッケージツアーを販売した。中野区の商店街などで募集してもらったがほとんど集客できなかった。そのため残念ながら添乗員として当地に行くことができなかった。
 
 それは「マナ島」という島に滞在する企画だったが、50年後の今年やっとその島を訪れることができた。
 
 爽やかな風が通り抜ける静かな離島、ヤシの木、泳ぐ人がまだらなエメラルドグリーンのビーチ、まさに絵に書いたような昔ながらの「南太平洋の島」がそこにあった。50年前からあるリゾートなので施設は古い部分もあるが、それがかえって古き良き時代を想起させ落ち着きを感じる。

 8月南太平洋は冬になる。冬といってもフィジーの日中は摂氏30度近くになる。夜は20度程度に下がりクーラーはいらない。つまり日本人から見るととても過ごしやすい気候で乾季なので雨も少ない。日本から行けば避暑になるのだ。

フィジーの離島、マナ島のビーチ


 日本からの9時間のフライトはちょっと長い。直行便が飛ぶフィジアン航空は往復とも夜行便で、南太平洋の海を空から眺められず大変残念だった。  
 又、本島のビチレブ島から離島のマナ島まではクルーズで1時間かかるのでアクセスがいいとは言えないが、それだけ時間をかける価値は充分にある。フィジーは沢山のリゾートエリアがあるが、このような離島にできれば1週間は滞在したい国だ。

 さて、これまでの結論としては、東京からの涼を求める旅は、「爽やかな風が通る森」、「川が流れる森」に行くべきだと思う。
 この観点から、これからもさらにリピートしたくなるような場所を探し続けたい。(了)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?