はじめて借りたあの部屋
7年前、役者を目指して20歳で上京してきた。初めての一人暮らし。
土地勘もなく相場もわからない、何とかして決めた家は築50年以上も経つ古びたアパートだった。
近くをトラックが通ると揺れる家、どこからか吹いてくるすき間風、夜中に友達と電話していると隣の家から物音が聞こえたりして、「もしかして今のが壁ドン?」なんてビビったりしていた。
初めての経験ばかりでがむしゃらに、必死に生活していた。
今はもう引っ越した、あの頃のことはすべてが笑い話だ。でも、あの家のこと、最初に思い浮かぶこ