ニューヨークひとりぼっち② 〜初めてのブロードウェイ・ミュージカル前編〜
「アメリカにいるんだから、ブロードウェイには行っときな!!!」
周りの複数の人から、確実に複数回、こんなことを言われた。
ミュージカル、好きだけどそんなに詳しくはない。最近だと映画館で『イン・ザ・ハイツ』や『ウエスト・サイド・ストーリー』は観たけれど、『ライオン・キング』とか『キャッツ』みたいな定番作品を通っていなかったり、日本でも劇団四季とかの公演に行ったことがなかったり。
正直、興味はそこそこ。優先順位はそんなに高くなかった。
でも、自分は「もの消費」よりも「こと消費」の人間だ、ということは分かっていた。つまり、お土産にお金を費やすよりも、現地での体験に大金を叩きたいタイプ。過去に長崎旅行に行った時も、自分へのお土産は一切買わず、旅費の大半を軍艦島ツアーと教会の拝観料に費やした。
ならば、行くしかない。
ブロードウェイ・ミュージカルの当日券は、タイムズスクエアの中にあるtktsという窓口で買える。その日までにキャンセルが出たチケットや売れ残ったチケットを通常より安い価格(30~50%割引くらい)で売っているのだとか。15:00から販売開始だというので定刻通りに行くと、すでに長蛇の列。少し並ぶかどうか迷ったが、長蛇の列を理由に貴重な「こと消費」を逃してしまうのはもったいない。前日にリリースされたばかりのSuperorganismのニューアルバムを聴きながら、列に並んだ。(このアルバム最高でした!!!)
大体45分くらい並んで、窓口にたどり着いた。
『アラジン』、『ハリー・ポッター』、『オペラ座の怪人』、『ライオン・キング』などなど、様々な作品の選択肢がある中で選んだのは、『ディア・エヴァン・ハンセン』。というのも、ニューヨークに行く前にブロードウェイに何度も行ったことのある大学の先輩におすすめを聞いた時、「逆にどういう系が好きなん?」と聞かれ、「んー、ヒューマンドラマ系っすかねー」と適当で雑に返したところ出てきたのがこの作品だった。
チケット自体は手数料込みで$80弱。確かにこの価格で世界最高峰のブロードウェイが観られるなら、アリかもな、なんて思っていた。
公演は夜の8時から始まる。開始約20分前に会場のミュージック・ボックス・シアターに到着した。入り口に立つおっさんにチケットを見せ、中に入る。tktsの窓口では2枚それっぽい紙をもらったので、一応どっちも出す。
「チケット見せてみ。おい、これレシートじゃねえか。こっちがチケットな。お前の席は・・・よし、そこの目の前のドアから入れ。」(意訳)
こんなことを言われ、いざ劇場内へ。
後編に続く…。
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